産地で飲むビール
ビールをテーマにしたアンソロジーを読んでいたら、どうしたって運ぶ過程で劣化は免れないから結局作ったところで飲むビールが1番うまいに決まっているということが書かれていた。
いやたしかにそりゃそうだよな。野を越え山越え海越えていたら作られて日も経つし、完璧に温度やらなんやらを管理っていうのは難しいだろうし、詳しいこと知らなくてもそりゃそう。
ビールを愛する作家たちは今も昔も熱心だし、海外のビールにも造詣が深い。
チェコやドイツのビールはとくに何人もうんたら語っていて、つまりまぁまとめて言えば最高なんだろうなと察した。
ドイツといえばミュンヘンで開催されるオクトーバーフェストが有名で、もちろん行ったことはないのだけど、Xで流れてくるすごい数のジョッキを運ぶ美しい女性スタッフや血眼になって場所取りをする陽気な人々の動画を見ては楽しそうだなと指を咥えている。
以前に読んだデイリーポータルZのオクフェスレポートもドイツ人の生の熱量が感じられてものすごくよかった。
少しでもその気分を味わいたく、横浜のフリューリングフェストに参戦して気分を味わったりもした。そのときに飲んだドイツビールも十分おいしくて、音楽と一緒にビールを揺らせて乾杯したりと陽気な気持ちになった。だけどそうか。本場で飲むビールはもっとおいしいっていうのかい。やれやれだぜ。
作ったところが1番おいしいと聞いてそういえばと思い出したのが、アサヒビール工場で飲んだ作りたてビール。たしかに泡がものすごくきめ細やかで、肥えていない舌でもいつも飲んでいるビールと違うぞ!うまーい!と心が湧き立った。
楽しかったな、工場見学、夫を連れてまた行こうかなと予約サイトを確認したら、めちゃくちゃ予約埋まってた。そうですよね。多分リピーターいっぱいいるよね、あれ。
かと思うと、岡本太郎さんの文章ではどんなビールよりも飲む側が切に求めているときが1番ビールはうまいというようなことが書かれていた。夏の暑い日、喉カラカラの外ジリジリの中で入ってくる琥珀色の幸せを想像してみれば、それもそうと思った。