チェーンの攻勢と撤退
戦争の話ではありませんので、タイトルに書籍は本文と無関係です。
チェーン店において基本は「出店」という名の攻勢ですが、やがて均衡が訪れ、場合によっては撤退「閉店」が始まります。攻勢において「いきなりステーキ」が行ったような大攻勢による市場の奪取は、えてして人的資源の枯渇や商圏の重複などの攻勢限界点を迎えて撤退に至ります。一方で餃子の王将が年間20店舗程度しか出店をしないような慎重姿勢で時間をかけて版図を増やしてくパターンもある訳です。
チェーンの本部機能には店舗数に応じて必要な部署と人員が決まりますが、商品、販促、システム、教育、店舗開発の各部署において攻勢局面において、より早く人員を用意できずに10店舗そこそこで出店が頓挫してしまう例などは、いくらでもありそうです。
さて、私の場合は100店舗からの均衡戦を1度、200店舗までの攻勢と撤退戦を1度づつ経験していますが、撤退戦においては本部人員が少しづつ減っていく過程において、それまで分業化されていた業務を兼業化していくのが難しい作業になります。100店舗と200店舗では管理システムも随分違ったものになりますが、徐々に規模を落としていく過程で、業務の進め方も変えていくことが必要です。この業務縮小に耐えられない方々は、いち早く抜けていくので業務が崩壊しないようにしていくのが撤退戦ということになります。
他部署で出来た欠員の業務を他の2つの部署から人手を出して埋める。別の欠員の出た部署の業務はその部署を廃止して大きめの別部署で吸収します。
こうなって来ると、今まで部署ごとに管理していたメールやファイル管理のグループ別けなどもぐちゃぐちゃになります。撤退戦がいつまで続くのかは分かりませんが、均衡戦にもっていくことが出来ればチェーンは存続し、次の攻勢に出るための種である業態開発を進めることが出来ます。チェーン業態には寿命がありますので、本来は下り坂を迎える前に次の業態を開発するのがセオリーですが、絶好調の業態を尻目に新規業態を立ち上げることは案外難しくてうまくいかないことが多くなります。昨今閉店が聞かれるすかいらーくグループでも、中心のガストの閉店は案外少なく、他の規模の小さい業態から先に閉店が進んでいることからも判るように、ヒットした業態は均衡戦に持ち込むことができる可能性が高いものです。
なるべくゆっくりと撤退戦を戦う昨今ですが、均衡戦に持ち込めることを祈りつつ今日も業務を行います。