はじめに/GSHの音楽背景 000
ギル・スコット・ヘロンの詩に注目して調べてみようと思ったのはずいぶん前のこと。そのテーマだけでブログを書こうと思ったものの、5年で2曲という少なさ。noteのマガジン機能がふさわしい気がしたので、こちらに移行することに。
開設の経緯
ギルの歌詞には人の名前がよく出てくるが、ある日「We Almost Lost Detroit」を聴いた時に、以下のくだりで、カレン・シルクウッドって誰?しかも死んでいるってどういうことなんだ?と疑問が湧いた。
And what would Karen Silkwood say
If she was still alive?
カレンとデトロイトは直接関係はないものの、こんな風にも作れるのかと感心し、何よりもこれらの事実を知らないことが私にとって衝撃で、ギルの他の歌詞も調べたくなった。
また、他に誰か解説してくれれば、それを読むだけで満足なのだが、ギルの曲の背景をまとめて解説している読み物がみつからず、自分でやるしかないのかと思った次第。
私は、決して長年のギル愛好家というわけではない。
ギルの生前に持っていたものは、アルバム「Secrets」、コンピレーションの「Anthology」、ライブ盤「Winter In America, Summer In Europe」、DVD「Black Wax」、他界する前の年にでた「I’m New Here」のみ。
2009年に日本語字幕版が出たBlack Wax(ライブ映像とギルの話で構成された、1982年の映画)がとても面白くて、ユーモアを交えながら難しい話をするギルが、時には語り部、ときにはスタンダップコメディアンのように思え、いろいろ聴きたくなった。というものの、ギルのユーモアに触れられるライブ盤を聴いて満足だった。
そのような思いに変化をもたらしたものは、2013年に日本語訳が出たギルの自伝「ギル・スコット=ヘロン自伝」。ギルが本を書くきっかけが冒頭に書かれていた。曰く、スティーヴィー・ワンダーのとあるキャンペーンでの働きぶりをみな忘れてしまっているからだ。ここが衝撃的で、野次馬的に知りたくて読み進めていった。そのキャンペーンとは、スティーヴィーがマーティン・ルーサー・キングの誕生日を国民の休日にしようと運動を起こしたもの(知りませんでした)。スティーヴィーの「Happy Birthday」がマーティン・ルーサー・キングをたたえた曲(ということはギリギリ知ってたものの)で、キャンペーンソングに使われていて、ギルがそのツアーに参加していたというのですよ!
また、本を読み進めると、大学に進む経緯やブライアン・ジャクソンとの出会いなど、ページをめくるのを止められなくなるほど夢中になってしまい、このような人物の作品はちゃんと全部知っていた方がよいだろうと思った。
まずは、インターネットで探したところ、KCRWという米国ラジオ局のギル没後の追悼音楽番組(2時間くらい、ギルの曲を流しているもの。残念ながら今はリンク切れ)のアーカイブに出会い、最初の曲が「Peace Go with You, Brother (As-Salaam-Alaikum)」だったのだけど、これまで全く聴いたことがなく、これはちゃんと聴かないとダメだなと痛感した次第。