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人助けをする人 しない人 助けてくれる手紙の話
人助けをしない人をどう思いますか?と聞かれて思うこと
人助けと言っても日常に根差したもの、気づかないうちにしているものもなど、いろんなことがあります。そういう意味では、みんな日常的に行っていることです。人は必ず誰かの助けになっています。
それでも確かに、多く行う人、少ない人や、深い人、浅い人などの差は存在します。そういう意味では、あまり人助けをしない人を昔の自分のようだと感じたりします。そして、もったいないなとも思ってしまいます。
その差とは何か?
この人助けの多い少ないや深い浅いが生まれる差は何でしょう?
深く人助けに関わるもの たとえば骨髄バンク。 骨髄バンクは なかなか登録してもらえない現状があったり、登録されている方でも実際に提供に踏み出せない方もいらっしゃったりします。
全く登録する気持ちが無いひともいれば、気持ちは有るが踏み出せないひと。登録後に実際に骨髄提供するかについても同じで、その一歩が踏み出せない理由もいろいろあるのではないでしょうか。仕事のことや、家族のこと。よく知らないからということもあるかもしれません。それによる怖さもあるのではないでしょうか。わずらわしさもあるでしょう。また、正直者は損をするみたいな雰囲気が世の中にはありますし、いろんなことで身構えてしまったり。そのために越えられない。
その一線を越えさせるもの
しないための理由なら挙げたらきりがありません。そんななか、それらの一線を越えさせるものはいったいなんでしょう?
それは【 運 】だと思っています。私自身、ボランティア活動をするようになったきっかけは良い縁があったおかげでした。【 運 】です。その縁に出会ったのはたまたまでしかないと思っています。
大きな災害があった時に募金箱を見つけ、お金をチャリンと入れたことがあるというのは誰でも経験のあることではないでしょうか。募金をしたことが無い人は珍しいと思います。募金だけはありません。人を想い、優しい行動をとることも人助けです。
そう考えると、みんな同じに根はいいひとです。人は必ず誰かの助けになっています。
もちろん、人には良い面もあれば、悪い面もあります。必ずどちらもあります。その日の気分でも変動はあるでしょう。それでも、みんな同じに根はいいひと。募金する優しさを持っています。
そのように人に大きな違いは無い中で、さらに一歩先に進むかどうか、どちらの面を表にして生きていくか。その違いを生んだもの。それはたまたま良い縁、幸せな縁に出会えたかどうか。まさに幸運に出会えたかどうかです。その幸運に巡り合えれば、深く知り、一歩先に進むことが出来るのです。
私に訪れた縁
私にも心を揺り動かされる縁がありました。
・20歳くらいの時に友達の弟が白血病になり骨髄バンクに登録したこと
・33歳の時に笑顔の素敵な病気の子どもと出会ったこと
・初めての骨髄提供で患者さんの娘さんから手紙を頂いたこと
・東日本大震災で2回目の骨髄提供が直前で中止になったこと
これらの縁のおかげで
白血病という病気で、患者さんや、そのご家族、恋人、友達など多くの人が苦しみ、悲しみのどん底に落とされているという事実を知りました。
病院の廊下ですれ違オジサンに、笑顔で「こんにちは!」と言ってくれる明るく優しい子供。まだ悪いことなんか何もしていない小さな子が、癌の闘病で髪も抜けた頭部をバンダナで隠しながら一生懸命に生きている世界があることも知りました。
お陰様で、33歳の時に初めて人助けの必要性を知りました。
これらのことは、実際に出会う以前にもテレビなどで聞いたことはあったはずですが、でも知らなかったのです。頭に入って来なかったのです。
その切実さを目の当たりにしたことで、大きな災害があった時に募金をするだけだった人間が、その一線を越えたのです。
苦しんでいる人がいる。助けられるなら助けたい。
超えてからの苦悩を救ったのも縁
その一線を超えてからはボランティアを行うようになりましたが、始めは健康な大人にとって人助けは義務だとの想いで行っていたから辛いものでした。その辛い修行を楽しいものに変えてくれたものも良い縁でした。
・海外の恵まれない地域への募金を行う中で海外の子どもと文通するようになったこと
・高校生ボランティアの楽しそうに活動する姿に出会ったこと
人助けやボランティア、人生の全ては楽しむものだし、世の中は感謝するべき有難いことに溢れている。自分の周りには幸せが溢れている。奇跡のような出来事や出会いで溢れている。それに気づくかは自分次第だし、それらを大切に育てていくかも自分次第だと学んだのでした。
人助けがもたらす良い効果を知ったのも縁
44歳で人助けを行うことで得られる良い効果に気づき始めました。
前向きに生きられるようになったこと。心からのありがとうが言えるようになり、周りとの関係が良化したこと。より行動的になれたこと。ボランティアをするような良い環境には良い人が多いので、そこに身を置く自分にも良い出来事が多く多く起こったこと。
日々の暮らしの小さな変化では気づきにくいものの、昔を振り返ると素晴らしい変化でした。
明らかに楽しく幸せに過ごしている自分がいました。
もう嫌なことは起こらないのか?
人助けを多く行い、その良い効果を知った結果、もう嫌なことは起こらないのか?と聞かれれば、残念ながら、それでも嫌なことは起こります。不運なことも起こります。凹むこともあります。それはしょうがないことです。でも、そんな時に助けてくれるもの。それは人助けで手に入れたものでした。
私は骨髄バンクで骨髄液の提供を2度行いました。1度目に提供した患者さんからは、患者さんの娘さんと患者さん本人から手紙を頂きました。2度目の提供の後も患者さん本人から手紙を頂きました。提供後は2度まで手紙のやり取りが許されています。名前を明かさない状態でのやり取りです。ただ、骨髄液の提供を受けた患者さんは他人の骨髄液を体に入れたことで拒絶反応が現れ、普通の生活に戻るのにかなりの期間を要するため、手紙を書けないことも多くあるそうです。そんななか、有難いことに私は手紙を頂きました。
私はこの手紙を自分の部屋の入口のドアに貼っています。誰しも生きていれば辛いことや、悲しいこと、壁にぶち当たることがあると思います。そんなくじけそうな時、落ち込んだ時はこの手紙を読みます。そして一晩眠って部屋を出るときに再びこの手紙を読みます。人の命を救ったことがあるという事実と、この手紙に書かれた感謝の言葉のおかげで元気が湧いてくるのです。今まで何度も助けてもらいました。また海外の子どもとも手紙のやりとりも私を元気付けてくれます。どんなに落ち込んだ後もなんどでも不死鳥のように。
救ったことよりも、遥かに多く助けてもらいましたし、遥かに多く勇気をもらっています。
【 情けは人の為ならず 】とはよく言ったものです。まさにこの言葉のとおり、人助けは自分を助けてくれるのです。
だからこそ、人助けを深くやらないのはもったいないと思うのです。
始まりの合図
人生にはきっかけが必要です。この話が皆様にとってより深い人助けへ一歩踏み出す きっかけ、縁になり、みなさんの人生を素晴らしいものにする始まりの合図になればありがたいです。
最後に、人助けするしないに関わらず、全ての人が穏やかに幸せな人生を送れることを祈っています。
私は骨髄バンクのドナー登録説明員もしていますので骨髄提供について少し紹介させて頂きます。興味が湧きましたらよろしくお願いいたします。
日本では毎年約1万人の方が白血病などの血液疾患を発症しています。そのうち骨髄バンクを介する移植を必要とする患者さんは、毎年2,000人以上です。骨髄バンクに登録している患者さん(国内)のうち、実際に移植を受けることが出来る方は約6割です。
2024年8月末でドナー登録者数558,241人、患者登録現在数1,679人、非血縁者間移植数累計28,909人です。
骨髄移植というと、とんでもなく大変な手術のような響きですが、そんなことはなくて、骨髄液の採取方法は、腰と言いますかお尻といいますか大きく張り出した骨の腸骨から注射器で骨髄液を抜き取る方法や、成分献血のように腕などに針を刺して必要な成分を抜き取り、あとは戻すという方法があります。骨髄移植と聞くと自分の骨を切り取って移植することをイメージされる方もいらっしゃいますが、そんなことはないんです。
骨髄バンクへは2mlの血液採取で登録が可能です。献血と平行して骨髄バンクドナー登録会が開催されている場合もありますので献血のついでに登録が可能です。
詳しくは日本骨髄バンクの
~骨髄こつずいバンクのドナー登録とうろくを知しろう!~
をご確認ください。