見出し画像

日本一自殺の少ない町の話

地域づくりがテーマの講演会が近くであったので聞きに行ったのですが、その本題の話の前に日本一自殺の少ない町の話がありました。地域づくりの話よりその実在する町に強く興味が湧き、ネットにもいろんな情報が出ているから興味のある人は見てとのことでしたので、その資料を調べるうちに、興味が湧きまして、いろいろ調べた結果をみなさんにも紹介させて頂きます。興味深いなと思ったページは最後にリンクを貼っておきますのでご参考にしてください。

自殺者の現状
日本はG7の国では自殺率が1番高く、これ以外の国を含めても全体で5位(2023年データ)とかなり高い数値になっています。
国内を見ますと令和5年の自殺者数は21,837人で、前年に比べ44人減少。男女別では男性は116人の増加で14,862人(全体の68%)。女性は160人減少6,975に(32%)ですが、20歳代以下の若者においては、男性は減少し、女性は大きく増加しています。ただ、男性の自殺者数は、女性の約2.1倍とびっくりするほどの差があり、男性がかなり高いのが実情です。
年齢別では、50歳代が4,194人で全体の19.2%を占め一番高く、続いて40歳代が3,625人で16.6%、その次に70歳代が2,901人で13.3%、そして60歳代が2,798人で12.8%と続きます。40歳代から70歳代で全体の72.8%と、年齢の高い方が自殺率も高い傾向にあります。
職業別では無職者が11,466人で全体の52.5%を占めて最も多く、続いて有職者が8,858人で40.6%、学生・生徒等が1,019人で4.7%の順となっています。
原因・動機が明らかなもののうちでは、健康問題が12,403人で最も多く、続いて経済・生活問題が5,181人。家庭問題が4,708人、そして勤務問題が2,875人という順番になっています。

警察庁 自殺者数のデータより

日本一自殺率の少ない町の特徴は
徳島県旧海部町という県南端にある太平洋に面した人口3,000人の小さな田舎町が日本で一番自殺率が少ない町です。この町は江戸時代に周りの地域から移住した人たちで急速に発展した歴史があり、いろんな考えの人とも協力しないと生活できない地域だったそうです。また現在もとても密集した地域で、隣の家の電話や物音、大きな声の会話も筒抜けくらい密集した町のため、逆に人の生活に関与しない。ある程度の距離をおいて緩やかに繋がる。関心があるんや、監視しとるんやない。と言う言葉があったりします。このような町で発展した考え方のお陰でこの町では意図せずして自殺率が低くなっていると言うのがいろんな方がいう自殺率の低い理由でした。

そんなこの町の考え方をご紹介させて頂きます。
いろんな人がいてもよい いろんな人がいた方が助け合って生きていけるし、人と違う他人を否定すると言うことは、人と違う自分も否定すると言う事。人はみな違います。他の地域では特別支援学級を作るとなると大変なのに、そのことに対してもいろんな人がいてもよいとこの町では考えます。
一度目はこらえたれ 失敗したり、迷惑をかけることも 一度目は許してやろうという広い心がこの町にはあります。何かあっても、あいつはもう駄目だと切り捨てない。いろんなことにチャレンジしやすいし、生きやすいと思います。
おまいにも出来ることがある 今のままの自分でも出来ることはあるという考えのお陰で、どうせ自分なんてと思わない。現代では、自分なんてと考える人が多いのが実情ですが、この町ではそうは考えないのです。
病(やまい)は市(いち)に出せ 心配なこと 病気やお金やその他もろもろ。問題が小さいうちに自分から外に出そうという考えがこの町にはあります。やせ我慢しない。助けがくるのを待たない。一人でなんともならないこともみんなならなんとかなるだろうし、大きくなってからでは何でも難しくなってしまいます。
またこの町では損得勘定もすごく大切にしていて、ただのいい人にはならない。得したり損したりすることこだわる。ただし、こだわりながらも自分の利益だけを求めていてはこの町の中での関係は成り立たないから、自分よし、相手よし、世間よし を考えます。自分も含めて利益があるから続けられる。無理はしない。
この町では赤い羽根募金が集まらないというのも面白い話で、募金する人もいれば、しない人もいる。他の町のように強要はしない。人と違った行動をとっても責められない。違う意見や、やり方があっても、こういうものの見方、考え方があったのかと考える町なのだそうです。
自分も相手も追い詰めない状態を保ちながら多様性を認めるというのは大切なことだなと感じました。

意外なことに秋田県が・・・
意外なことに秋田県は自殺率が高いことで有名です。日照時間の関係じゃないかと思ってしまうものの、宮崎県も高いということで今では日照時間とは関係ないということになっているそうです。そうした中で、自殺率が高い原因と考えられているのは、汗水たらして一生懸命に働くことがあたりまえという考えが強くあって、でも歳をとると今まで出来ていたことが出来なくなってしまう。寡黙で一生懸命で愚痴も言わず、真面目だったり、見栄っ張りなかたにも自殺は多いそうです。秋田県の方は真面目過ぎるのかもしれません。外に想いを伝えない寡黙さが仇となっているのかもしれません。
自分の理想と自分がかけ離れてしまって自分を許せなくなってしまう。病を市に出せない。心をさらけ出せない。
自分を許してあげられたらどんなに楽でしょう。

意外なことに世界の自殺数は緩やかに下がっている
こちらも意外なのですが、世界の自殺率が下がっているのです。2000年から2016年では世界の自殺者は33%減少しているのです。その理由のは、例えば石炭の使用が一般的な家庭暖房ではなくなったことで石炭での一酸化炭素中毒での自殺者が減ったことや、世界では農業を行っている人の生活は厳しく農薬で自殺されるかたも多くいらっしゃいますが、産業が発展したことにより農業従事者の割合が減ったこと。さらには毒性の低い農薬に変わってきていることなどで自殺者が減ってきているのです。これらの時代の変化による手段制限で自殺者は大きく減ってきているのです。
自殺は、自殺の衝動を感じてから行動を起こすまでの5分間で行われるとされています。以前は、人は長く苦しい抑うつ状態が続くことで自殺を選ぶのだと言われてきましたたが、ほとんどの場合は違うようです。精神疾患が自殺を予見させる強力な要因であることは確かですが、精神疾患をもつ人のうち、実際に自殺を図る人は極わずかなのです。
つまりどういうことかというと、自殺の手段にたどり着きにくくすることで、その衝動が去るまでの時間である5分以上を稼ぐことが出来て、それはとても効果的だというのです。また、それにより自殺を逃した本人は二度と死にたいなどと思わなくなると、ある研究では自殺が未遂に終わった人のうち、その後、5年以内に再び自殺を図った人の割合はわずか7%ほどだそうです。刃物、農薬、ロープなど自殺する手段にを5分以内では手が届かないようにするだけで、自殺の衝動は抑えられるそうです。そう考えると防ぐ準備はいろいろとあるのかもしれません。

最後に
自殺の少ない徳島県旧海部町で感じたことは多様性を認めるということ。寛容さがあるということ。他人、そして自分にも、とても寛容だし、他人、そして自分も許せているなと感じました。これは以前調べた幸福度とも通じることでした。
誰かのためになればなと思い今回記事にしてみました。幸福度について気になった方は幸福度について書いた「山高し 海広し 心深し(複雑な世の中を幸せに生きる②)をご参照ください。
穏やかな生活をおくるためのご参考になれば幸いです。

今回の記事に関する資料が見たい方は以下をご参照ください
日本の自殺希少地域における自殺予防因子の探索 南山大学
自殺をテーマにした異色の2冊の著者が語る「なぜ徳島県海部町は日本一自殺率が低いのか」
警視庁 自殺者数
平成10年度における自殺者数の急増要因
海外の自殺の状況
世界の自殺率が緩やかに下がっている理由


いいなと思ったら応援しよう!