屋久島(三日目①)
昨夜も同室の人の激しく強烈なイビキ攻撃でよく眠れなかった。それでも、宮之浦岳日帰り登山の疲れから時々は眠りに落ちていた。朝は目覚ましなしで7時前に起きた。ベッドから立ち上がると腿がパンパンに張っている。ゆっくりとぎこちなく歩き、洗面所で顔を洗って、ダイニングへ行った。まだ誰も居なかった。お湯を沸かし、フリーのドリップコーヒーを淹れて飲んだ(もちろんブラック)。思いの外、美味しく、ぼんやりとしていた頭も少しシャッキとした。
しばらくダイニングで屋久島の本をペラペラとめくっていると、長身の若い男がやってきて朝食を作り始めた。目が合うとニコッと笑う。出身を聞いてみると、ドイツの大学生だった。3週間の休みを利用して日本を旅している、東京から京都、姫路、熊本から屋久島までやって来た。今日は白谷雲水峡に行くつもりとのこと。日本の印象について聞いてみると、自然豊か、街も綺麗で食べ物も美味しいとベタ褒めだった。ヨーロッパでは美味しい店を見つけるが難しいが、日本では不味い店を見つける方が難しいと言う。3週間ではとても足りない、卒業したら就職前に3〜4ヶ月の旅行を考えていると嬉しそうだった。英語の発音も綺麗で優しい人柄が滲み出ている。今日の予定は決めてなかったが、昨日断念した白谷雲水峡に自分も行ってみようかなと思い始めていた。
二人で話しているテーブルに若い女性が座ってきた。モンゴルから来たという。韓国人かなと思っていたので、モンゴリアンと聞いて驚いた。流暢な英語を話し、速くてなかなか聞き取れない。モンゴル成田間には直行便があり約5時間のフライトで近いよ、と笑顔で話すその目を良くみると、不思議な色をしており魅力的だった。「VIVANTは知っているか?」と一応聞いてみたら「知っている」と笑っていた。もっと3人でいろいろ話をしていたかったが、8時54分のバスに乗って今日の宿に行き、まず荷物を預けてから行動しようと思っていたので、またね、と言ってダイニングを後にした。二人とも手を振ってくれたので振り返した。