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023:「鳥籠と空」 鳥籠みたいなこの世界で 生きるのが上手になった // 窮屈な自由がちょうど心地よく空まで届かなくとも踊る --- 田中ましろ
022:「優しいだけの」 柔らかい光に 刺されるような気分で // 夕暮れに心をひたす 僕がただ優しいだけの人でいること --- 田中ましろ
021:「日々に心は」 ただ生きることが こんなに苦しいのは何故だ // 日々、日々に心は擦り減るものだからあなたに告げる Take it easy. --- 田中ましろ
009 時計の音が響いていた 言葉が邪魔になるときもあるんだ 蜃気楼 あなたの息の気だるさが狂わせている針のあること
008 その景色を伝えたいと思うのは ひとつの愛のカタチ、かもね さみどりのぬるい木陰に風は来て会いたい人に会わねばな、夏
007 こころの在り処を 探す日々でした 脇役としての暮らしに飽きてきてその日、少女は窓をひらいた
006 美しく生きるのではなく 生きていることが美しいのです 今日もまた光のなかに終わる今日 生き方を嗤うやつが馬鹿だよ
005 希望と呼べば歯がゆくて 照れ隠しのように微笑んだ 失敗のあとに出会えたひかりとか やさしい夕を小走りでゆく
004 強さってなんだろうね 生きてるだけですごいことなのに 強くあれ、なんて言わない ひだまりに命をひとつ遊ばせながら
003 記憶の中の春が 色褪せないのは何故だろう はなびらのひとつひとつが光るから走っても走っても春の坂
002 そこにあった日々を それでも僕は愛していたい どの過去も僕から遠ざかるばかり 四月 あなたの記憶を追えば
001 あなたのいない季節に 慣れたくないと何度も思う はじまりは春のひなたのあたたかさみたいでそれが恋だったんだ
世界は美しいか。 その問いに躊躇なく イエス、と答えられたらよかったけれど。 世界は美しいか。 否、世界は混沌に満ちている。 だから僕は、 僕というフィルターを通して 世界と向き合うことにした。 それは一片の言葉で。 それは数枚のレンズで。 混沌の中から掬いあげる、 あるいは救いだすように、 光を探す旅だ。 世界は美しいか。 答えのない、果てしなく続く旅だ。 言葉とレンズで、ひかりをすくう。 写真歌集『すくう、すくうよ。』 はじめます。