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マルチロジックEA「MS-06S」補足説明ーパフォーマンス低下の3つの要因ー

当記事は、広告が含まれます。
「FXの学校」で提供されるEA「MS-06S」の補足情報です。


概要

この度、2024年9月に開講となった、オンラインスクールの「FXの学校」内で、私のEAが提供されることになりました。
そのEAが、3マルチロジックEAの「MS-06S」となります。

オンラインスクール内で、私も講師として動画出演した際、質問の受け答えや、提供しているEA情報で不十分と思われる点がありましたので、いくつか補足をさせていただきます。

「FXの学校」については、簡単に下記記事に紹介ページ等のご案内をまとめました。

提供EAについて

ビギナーの方にEAについて学んでいただくにあたり、できるだけオーソドックスで、かつ広く経験できるような素材として当EAを用意いたしました。

よく商材やプロモーションにあるような「勝てる」「稼げる」といった文言で、将来に対して期待を強く持ちながら、EAを購入・運用していくのは、大変なリスクです。
まずは期待よりも、リスク対策を重視できるよう、EAのバックテストも、極力地味なパフォーマンスにしています。

EAのバックテストは、その通りにフォワードで再現されるとは限りません。
むしろ、必ずといっていいほどパフォーマンスは低下します。
その理由は大きく3つに分類して考えられます。

1.相場
2.ブローカー差
3.ヒューマンエラー

次項で、詳細を解説いたします。

パフォーマンス低下の3つの要因

1.相場

EAは、開発時点までのヒストリカルデータで作成されます。
開発時点が最も好調になるように調整されがちです。
そうすると、その相場が変動した際に、一気に不調になり、低迷するということが起こり得ます。

例えば、2021年までのUSDJPYのデータで作られたEA。
ボラティリティが低く、逆張り系のスキャルピングが猛威を振るっていました。
しかし2022年、戦争を期に各国が急激な利上げを行い、相場もボラティリティが急上昇しながら、USDJPYも急上昇していったということがありました。

当時開発したスキャルピングEAで、この相場変動に耐えられず、いきなり連続大損失となり、長期不調に陥るというのを体験しました。
10年以上のバックテストがいかに綺麗だろうと、それは起こります。
統計は大事ですが、統計に頼りすぎると、判断を誤ります。
統計を過信するのも、陥りやすい罠です。

通じなくなった際に、原因を見つけられれば、改善ができます。
過去バックテストとフォワードは相関関係でしかなく、因果関係はありません。
過去バックテストがこうだから、将来も同じ推移には必ずはなりません。
相関関係ではなく、因果関係を重視して経験を重ねることで、緊急時の判断精度が上がり、生き残ることに繋がると考えられます。

2.ブローカー差

EA開発時は、バックテストを行ないます。バックテストでは、特にMT4ではスリッページもなく100%約定します。
もしブローカーのリアル口座で運用する際は、

  • セットするMT4の状態

  • PCの稼働状態

  • VPSの通信状態

をクリアして、ブローカー側に注文を流して、それをブローカーが受ければ成立し、そうでなければ約定されないことになります。
約定に至るまで、いくつもの関門を突破しなければなりません。
ブローカー毎に、配信レート・スプレッド・スリッページ・スワップ・手数料・通信速度・約定力、それぞれ全く異なります。
ブローカーによっては、VDPと呼ばれるプロトコルを導入し、ユーザー側に不利になるよう制限をしてくることもあります。
そのような背景から、同じEAでもパフォーマンスはバラバラになります。

3.ヒューマンエラー

  • EA設置ミス

  • ロットミス

  • マジックナンバー重複による誤作動等

  • 不適切なスプレッド設定

  • その他パラメータミス

  • 状態変化見落とし

  • 異常トレード見落とし

  • 約定しないことによる機会ロス

  • ブローカーの入出金トラブル

  • ブローカーのルール変更

他多数。
これらは、トレードする以外の要因での損失です。
バックテストでは再現されない、ムダな失点です。
実際によく起こります。

まとめ

【パフォーマンス低下の3つの要因】
●開発時点が最も好調になるように調整されがち
●過去バックテストがこうだから、将来も同じ推移には必ずはならない
●バックテストでは、特にMT4ではスリッページもなく100%約定する
●リアルでは、約定に至るまで、いくつもの関門を突破しなければならない
●ブローカー毎に条件が全く異なる
●同じEAでも諸条件や環境によって、パフォーマンスはバラバラになる
●ヒューマンエラーは、バックテストでは再現されない、ムダな失点のこと

パフォーマンス低下の対策

前述の3項目について、それぞれで対策を考えました。

1.相場

開発したEAの中で、長期1年以上堅調な、3種類の別々な得意相場を持つロジックを合成することで、対策してみました。

  • 相場の状態とほぼ無関係に、定時で稼働するアノマリーロジック

  • レンジ相場が得意な、長期順張り中の、短期逆張りデイトレ

  • トレンドで利を伸ばす、トレンドフォロースイング

極力どれかが不調時、どれかが好調になるよう、相関の低いロジックで組み合わせました。
ただし絶対ではなく、好不調はどうしても出るため、ロジック毎に稼働ON/OFFできるよう、パラメータでスイッチを備えてあります。

2.ブローカー差

これはEAでは約定力に範囲を絞って対策します。
約定力は、内部コードの効率化・軽量化、そして独自開発のリピート注文を行うことで強化しています。
ただし、それ以外の要素、例えばVPSの通信速度やブローカー側のコントロールなどはできません。
MT4にセットしてからのEAの稼働状態としては、できる限りのことは行ないました。

3.ヒューマンエラー

主に設定ミスを減少させるような補助機能を充実させて、EAとして対策しています。

  • 自動チャートセット

  • 状態エラー時のチャート変化

  • チャートにトレード履歴表示

  • チャート中央情報

  • チャートコメント

  • オートスプレッド

上記のような機能を搭載しています。

まとめ

【パフォーマンス低下の対策】
●長期1年以上堅調な、3種類の別々な得意相場を持つロジックを合成
●好不調対策で、ロジック毎の稼働ON/OFFスイッチ搭載
●内部コードの効率化・軽量化・独自開発のリピート注文による約定力強化
●主に設定ミスを減少させるような補助機能を充実

バックテスト

固定1.5pips

バックテストは7月20日までとなっています。直近は上昇トレンドでした。
直後、8月5日にショック相場となり、以降下降トレンドが続きます。
その推移は、フォワードで確認必要です。
バックテスト詳細は、以下よりダウンロードできます。

フォワード

計測開始:2024/5/13~
REALTRADEのpips表示です。
ロジック毎に個別で表示可能です。

チャートでトレードチェック

当EAでは、チャートに取引履歴ライン・pipsをロジック毎に表示できます。
ロジック毎に、好不調がどの相場で訪れるか、チェックしながら運用可能です。

ロジック1
アノマリー
暴落中に何度かSL。下落相場は少々危険
ロジック2
逆張りデイトレ
期間中はまんべんなく推移
ロジック3
スイング
下落相場・レンジで不調

8月のショック相場から9月FOMCにかけて、苦しい相場が続き、スイングロジックが低迷しています。

【当スイングロジックの苦手相場】
・下落トレンド
・レンジ
・乱高下
※これだけではないかもしれません。執筆時点の判断です。

アノマリー・デイトレ・スイング。
どんなジャンルでも、必ず苦手相場があります。
運用では、単純に成績だけを眺めるのではなく、チャートと照らし合わせて、「どのような相場でどのロジックのパフォーマンスが低下するのか」を確認できると理解が深まります。
経験を積むと、危ない相場というのが察知できるかもしれません。

まとめ

EA運用ではあらゆるリスクに目を向け、対応していかなければなりません。
今回はそのリスクを3つに分類し、それぞれ対策を提示しました。
不十分かもしれませんが、それらの対策ノウハウを1EAで体験できるのが、今回提供のMS-06Sとなります。

  • 「勝つ」ことよりも「負けない」ことにフォーカスして対策を重ねていく。

  • このような原因・根拠による結果、という「因果関係」を考えて経験を積んでいく。

その先に、あくまで結果として利益が残っていく。
というのがEAの本質です。
ご理解を深め発展していくキッカケになれば幸いです。

ご注意・免責事項など

▶ 「FXの学校」で提供される当EAは、ロジックや助言に関わるアップデートは行うことができません。ご理解の上、ご判断をお願い致します。
▶ 自動売買システム(EA)は過去のチャートによって作られた、ただのプログラム商品です。相場によって、一方的に損失が膨らむ場合もございます。
▶ 本商品は、将来の利益を保証するものではありません。
▶ 当記事は、海外FX業者を推奨したり、EA運用に対する助言を行うものではありません。
▶ 当記事は、執筆時点の筆者の見解で、不勉強な部分もあり、全てが正しいとは限りません。
経験を積むに連れ、今後全く違う見解になる可能性もあります。

謝辞

ヒューマンエラーの対策にあたっては、多くの方の発案や技術提供をいただいて実現されました。この場を借りて御礼申し上げます。

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