DeployGateを10年続ける中でうまくいかなかった5つのこと
気候もだいぶ涼しくなってきて、9月も終わりますね。
先にお知らせしたとおり、おかげさまでDeployGateは今月サービス提供10周年を迎えることができました。
ひとつのサービスを10年間提供し続けられているというのは、外から見るととてもうまくいってるように見えるかもしれません。実際、資金がショートすることなく事業を続けられているという点では上手くいっていると言えるでしょう。しかしその裏で、期待したような成果や日の目を見ることなく終わってしまったチャレンジも数え切れないぐらいありました。
うまくいかなかったこと
ということで、この10年の間にうまくいかないで終わったこと、ざっと思い返して出てきたものを5つ挙げてみたいと思います。
事業の急拡大がうまくいかない
立ち上げ時から高い目標と価値の拡大を求めて3ヶ月単位でビジネスプランを試行錯誤していたものの、当初のミニマムなサービスの提供以降、根本の課題はおろか目の前の課題になかなか手を付けられない時期が続いた
企業体として独立した後、事業一本に集中できる状況を手に入れたが、全体的に経営の経験が不足しており、細かい改修や火消しに奔走する日々で、プロダクト自体はもとよりセールスやマーケティングになかなか集中できない状況が続いた
海外マーケティングがうまくいかない
最初から世界を目指すぞ、と、立ち上げ2年目からサンフランシスコにオフィスを間借り、現地に行くも、営業経験もなく片言の英語しか話せない状況で、ハードルが高くなかなか足を踏み出せず、いざ飛び込んでも説明もスムーズにできずオフィスツアーをしてもらって終わり、という辛い体験をしたりした
独立後に海外メンバーを迎えて海外マーケティングに力をいれようとするも、DeployGateは誰のための何なのかを明確に言語化してこなかったため、ターゲット市場やペルソナの明確化や発信するメッセージを適切に作ることができず、そもそも立ち上げることができなかった(イスラエルとアメリカのオフィスを閉じることにもなった)
新プロダクトの立ち上げがうまくいかない
提供したい価値の本質に立ち返り、既存の配布サービスを超えるべく時間を掛けて新しいプロダクトのプロトタイプを開発した。ヒアリングを重ね一定の手応えはあったものの、その展開において既存プロダクトの重要さが際立つ結果となり、最終的にはプロトタイプから先に進めることはできなかった
いずれにせよ売上の100%を作っている既存プロダクトの運用が手離れしていない状態で新しいプロダクトに振り切ることはできず、プロダクトの体験や運用面の課題や技術的負債の解消をチームとして運用・開発ができる体制の整備に向き合う必要があった
チームへの目標やOKRの導入がうまくいかない
チーム拡大のため採用を強化し新しいメンバーに入ってもらうことができた。日々のタスクだけでなく長期的な成果を出していくチームを目指すため、目標の言語化を何度か試み、一旦はOKRの導入も試みた
しかし一人が複数のファンクションを兼ねる少人数の会社では、組織としてのObjectiveや目標の定義とメンバーが日々直面している課題との乖離が大きく、キャパを大きく超える目標となったり、業務分掌があいまいで無理が出たり、様々な困難がもたらされる状況となってしまった
プロジェクトの進行がうまくいかない
プロダクトの根幹にある課題を解消すべくユーザーヒアリングを重ね、2019年の年末にリニューアルプロジェクトをキックオフ、2020年後半のリリースを目標としたが、前段のリファクタやデザイン制作と仕様を詰める所から先に進められず、当初の目標を過ぎてなお開発に漕ぎ着けない状況となってしまった
本質的に解消したい課題を解決するために、サービス全体の利用モデルや価格体系まで変わる大幅なものとなり、それぞれの根拠の明確化、告知やマイグレーションの設計、リリースまでの計画が我々のキャパシティを大幅に超える規模となり見通しを立てること自体ができなかった
だいぶ委細を端折って挙げてみたものの、改めて文字にして見るとどれも売上、果ては気持ちが大きく下がるような失敗です。関わった方をだいぶ振り回してしまい、しかも結果が出ていないと申し訳ない気持ちが募ります。
それでも、DeployGateは今日を迎えることができました。どんな失敗があっても、失敗を失敗のまま終わらせずに続けてこれたというのは、日々サービスを使い続けてくれるユーザーのみなさまがいたこと、そしてなによりそれで諦めないメンバーがいたことが大事だったと感じています。
うまくいかなかったことは再活用できる
これらの失敗には、その背景に「言語化が拙くて失敗した」「目標設定がブレブレで失敗した」など様々な理由があります。そこで得られた経験やフィードバックを回収すると、それはそのまま「学び」に変わって未来に活かせます。
たとえば、現在のDeployGateのコアとなっているミッション「開発チームに必要な声を届ける。」やビジョン「ユーザーと共につくり、ユーザーの期待を超える。」は、海外展開が上手くいかなかった経験から「DeployGateは誰のための何であるか」という言語化を進めた先にできています。
また、サービスの今後の展開は、新プロダクトのプロトタイプで得た経験の上に作られています。そこで「現場で起きている課題」が浮き彫りになり、また理想とする状況を作るためには段階的な文化作りが必要であることが明確になったことで、今後の道筋を描くことができました。
さらに今年に入って、チームに必要な能力や行われている業務の言語化がさらに進み、現時点での会社の持つファンクション、各個人の役割、不在となっている役割がクリアになり、最新状態を維持する運用も調いました。不在な役割が明確となり、明確なジョブディスクリプションを持った採用に動けるようになりました。
これまで設定できていなかったチーム目標も、今年に入り会社として追いかけていく指標を定め、指標に繋がる施策をチームで考え、実施し、振り返っていく運用が回りはじめました。そしてリニューアルプロジェクトも、リリースまでのマイルストーンが分解され、年始のお知らせを皮切りに細かくリリースを重ねています。
プロダクトも、チームのありかたも、みんなで変えていく
そんな直近の改善は、どれもこれもトップダウンに起きた動きではなく、メンバーが自らが提案して回りはじめました。誰かが「課題がありそう」と提起しては、みんなでやり方から考え、必要な時に見直して上手くいくように変えていく自然な流れができています。
チームが諦めなければ、プロダクト開発、果ては組織運営で色んな問題が噴出しても、真摯に向き合い続けて課題解決に繋げていくことができます。
上で向き合った「うまくいかなかったこと」は、どれも自分たちを超えて世界のプロダクト開発を良くしていくために乗り越えていく必要があるものです。まだまだできていないものはありますが、「うまくいかない」で終わらずに、これからもたくさんチャレンジしては失敗して学びに繋げていきたいと考えています。
というわけで、DeployGateはプロダクトもチームもこの10年の学びの積み重ねでできています、という、そんなお話でした。
そんなチームで一緒にやっていってくれるメンバーを募集しています。よろしくお願いします!