チームにイエスマンがいないということ
ヘッダー画像は、最近なんとなく導入されたGatherで遊んでいる様子です。Gather、いいですよね。話しかけたり話しかけられたりが割と気軽になった気がします。雑に遊んで誰も片付けないままになってしまったのは今後の課題です。
さて、2022年、noteを月1回更新していくぞ、といってからしっかり1ヶ月空いてしまいましたが、今月も最終営業日にしっかり滑り込んでいきます。
去年の11月頃から、英会話のレッスンも兼ねて英語でのビジネスコーチングを受けておりまして、そのセッションの中でとてもいい気づきがあったのでその話をします。
その気づきは、一言でいうと今のDeployGateチームにイエスマンはいないということです。
スタートアップや小さい会社なら、イエスマンが居ないのは当たり前……と言えるかと、そうでもないです。どれだけフラットを意識していても、人は年齢差であったり、所属の長さや経験の違いなど様々な要素から、意図せず何らかの力関係を見いだしてしまいがちです。あなたの言うことなら何でも従います!みたいな全面的イエスマンな人はそうそういませんが、議論において疑問があっても黙って自分がやれば丸く収まるからとそのまま受け入れてしまうことはありがちです。
「チームメンバー全員が各々の立場を気にせず、忌憚なく意見を出せる」ということは、とても健康的で素晴らしいことです。解決しなければならない課題がある時に、メンバーそれぞれが立場を気にすることなく議論を行うことができれば、様々な視点や知識や能力を存分に活かして価値を生み出すことができ、得られた経験からチームとしての成長を続けることができます。
これまで自分達をこの観点で捉えてられていなかったのですが、言われてみると、確かにいまのチームは、それが実現できています。
そんな素晴らしいチームを、では自分が指示して作ったのかというと、そんな実感はありません。実際、今の動き方を作っているのはメンバーの働きかけによるものです。
DeployGateチームは、これまで様々な成果を出し続けてきましたが、ほんの数ヶ月までは直近やっていることがいつ終わるのか、次に何があるのかぼんやりとしか見えてない状態でした。昨年、これからプロダクトをどうしていきたいのか、どういう順序でどういうものを作って行くのか認識を共有し、なんとか走り始めましたが、この先の進行で何が必要になるか、あるいは必要とされているか、具体的な手順までのイメージは私にはできていませんでした。
1年ほど前まで、私は「いいリーダー」であろうとしていました。クリアに未来を見通して、常に最適な判断を下し、チームを正しい目的地へ向かわせる。そんなステレオタイプな「いいリーダー」像を頭に浮かべ、自分でこれからの仕事を明確に定義してから伝える必要があると考えていました。開発をやり、カスタマーサポートをやり、プロジェクトのマネジメントをやり…といったタスクスイッチのコストが大きいことを自分自身がよく理解しているつもりで、当時エンジニアが3人しかいないチームで、メンバーがしっかり開発業務にフォーカスでき、極力開発以外の時間を割かずに済む環境を作りたかったのです。結果から言うと大失敗で、こんな反省記事を書きました。
そこから1年が経ち、今のDeployGateチームはどうなっているかというと、エンジニアの henteko が開発の傍ら、プロジェクトマネージャとして活躍しています。今後のロードマップの全体像が見えて、事前準備となるマイルストーンを1〜2個終えた頃、「raiが上から下まで全部見るの難しい思うので、マイルストーンからプロジェクト化して進行する部分やります、SHIROBAKO見た人向けに言うと宮森あおいと本田豊の役割です」と動き始め、開発以外のメンバーも含め全員を巻き込み、日々物事がしっかり進んでいます。ちなみに rai は木下誠一です。特に自分がう〜んと悩んだり、ぼんやりしたまま終わらせがち話を、つまり結論は何ですか?と遠慮無く詰めていく風景も当たり前になりました。
明確にした要件をもとに、開発やサポート、広報それぞれのメンバーを巻き込みながら、しっかりタスクを洗いだし、見積もり、リリース日を決め、進捗感を持って進行する——文字にすると当たり前にも見える動きですが、それがしっかり行われるようになりました。半年前にはできていなかった動き方です。
デプロイゲート社は、先月1名、今月さらに1名新しい社員が増えました。新しい方が入る前にこうやってしっかりプロジェクトとして物事が前に進められる状況を作ることができ、スムーズにオンボーディングも進み、明確にやることを持って動いてもらえる状況になり、本当によかったなと思います。
プロジェクト以外にも、カスタマーサポートで上がってきた課題のハンドリングや、社内で利用している外部サービスの棚卸しやセキュリティの維持など、能動的な課題解決が行われています。毎週課題を共有し、必要なことは個々とチームの判断で組織の境目が壁がなることなく実行に移し、それぞれの持つ能力を活かして日々チームを前進させています。
私は「チームをこうしてくれ」という指示はしていません。その一方で、進めていること、詰まっていること、推奨すること、しないことなどをとにかく見える化することを進めていて、「できてなさそうだけどこういうことしたいんだよね?」という部分を拾ってもらえるようになりました。今回ちょっと振り返ってみて、実際に自分でやるより圧倒的にできるメンバーと、具体的な指示がなくても理想とする世界に近づくことができるチームがここにいることを再認識でき、感慨深い気持ちです。
拾ってもらうというのは同時に、権限委譲でもあります。オーナーシップを持ってもらうことは、さらにイエスマンがいなくなるという状態と繋がっている感触があります。各々の立場から理解を明確にすることでやることが明確になり、その上でチームとして前に進むためにどうすれば良いか、という本質的な課題解決に注力できるようになってきた感じがします。
当初懸念していた、別の種類の業務をまたぐのに掛かるタスクスイッチのコストはやはり存在します。しかし、そのハンドリングにどれぐらいの負担があるかは、実際にはその人次第です。自分が上手くやれないことは課題だけど、自分にできないことが人にできないと思い込んで、できる人のやり方を変えてもらう必要はありません。みんなが100%フォーカスができる状態を作れているか、というと、今はまだ遠い道のりに感じますが、少しずつ良い状態へ変化していると感じています。
最近、GitLabの方がデブサミで話していたGitLabでの働き方の資料が話題になりました。
この資料はめちゃくちゃ参考になり、真似ていきたいこともたくさんあったので、まだ見てない方には是非見ていただきたいのですが、個人的に一番良いと思ったのは最後のスライドの最後の行でした。
ともすれば誰かに頼りがちな「働き方」を、みなさんがオーナーシップを持って考えて作られていることが分かります。GitLab社にもイエスマンはいなさそうです。
我々もこんな感じで最高だぞと公表したくなるような、そんな環境を自分達で作っていくぞ!
ということで今月も終わりです。また3月にお目にかかりましょう。ご意見ご感想などあればぜひコメントくださいませ。