Gaudiyのビジョンである『ファン国家』を真似て、『ママ国家』をつくってみたお話。
こんにちは。Gaudiy(ガウディ)の従業員代表とPdMを兼務?している43歳、3人の子持ちの西岡(@TakeshiNishioka)です。
何を血迷ったか「Gaudiy Advent Calendar 2022」の最終日を担当します。
そんな僕が何者かというと…
気になった方は、ほんとにほんとにほんとにお暇な時にでも、こちらを読んでもらえたら嬉しいです。
繰り返しになりますが、血迷って最終日を予約してしまったこともあり、テーマを何にするか迷いました。
例えば…
『40代かつ3人の子持ちが、スタートアップに転職して2年と4ヶ月が経ちましたが、なにか問題でも?』
とか
『40代かつ3人の子持ちが、PdMにジョブチェンして日々苦悩しながら右往左往してますが、なにか問題でも?』
なども考えてはみたのですが、「らしさ」は出てるけど、あえてガウディのアドベントカレンダーで書くことでもないなと思い、またさらに考えてみました。
結果、今回はガウディのビジョンである『ファン国家』に関わることを、それこそ「自分らしく」書いてみようと決めました。
『ファン国家』とは?
そもそも『ファン国家』とは何ですか?というお話になります。「雑だ!」と怒られそうではありますが、崩して一言で表現すると「推し活で生きていける世界」です。
例えば、大好きなアイドルがいるとします。
日々の推し活で…
CDやDVDを購入する
ファンクラブに入会する
ライブを見にいく
ファン同士で誕生祭を開く
Twitterの推し活専用アカウントで語る
YouTubeで動画を見る
切り抜き動画を作って公開する
イラストを描いてTwitterやInstagramで公開する
TikTokで歌ってみる
などをして大好きなアイドルを盛り上げていくと、推し活が労働の代替となり、対象のアイドルを中心とした経済圏が生まれる。推し活してアイドルが盛り上れば盛り上がるほど、ファンも一緒に潤っていくという世界線です。
「そんな都合の良い話があるのか?」と思われるかもしれませんが、身近なところではYouTubeで好きなアイドルの曲を歌ってみた!動画を公開したり、好きな漫画の考察動画を公開して広告収入を得ているのにも近いです。
ガウディが目指す『ファン国家』とは?
ただガウディのビジョンである『ファン国家』のイメージには、弊社代表の石川(YuyaIshikawa)のnoteでも考察しているBTSのファン(ARMY)が一番近いと思いますので、ぜひご覧ください。
ここでファンがBTSの所属事務所の株式をファングッズ感覚で購入している話が紹介されていますが、ファンは株価が上昇すれば含み益を得られるのと同時に、“株式を所有する=株主”なので“運営にも参加できる”ことにも繋がります。
またファンの株式購入と併せて、初値で公募価格より高い金額で取引されたため、本来の適正価格よりも時価総額が大幅に膨み、その後は大幅に価格が下落したことで、BTSファンが大損したことも話題になりました。
こちらの記事では、ファンは「価格がどうなろうが気にならない!」と、あくまでもファングッズとして購入している旨の返答をしています。
その気持ちも理解はできます…でも、報われる世界線があっても良いと思う、むしろ報われてほしい。
僕らGaudiyでは、そんなファンの熱量が正しく還元される世界を目指しており、その点に関しては、こちらのnoteで"なめらかな価値分配"と表現されています。
『ファン国家』のつくり方
では、ガウディがどのようにして『ファン国家』を作っていくのか?についてです。またまた弊社代表の石川(YuyaIshikawa)のnoteになりますが、こちらをご覧ください。
そろそろ「?」が多くなっていませんか?
ご紹介したnoteでは、「NFT」と「DAO」というワードがちょいちょい登場します。「NFT」は、22年ヒット予測などで取り上げられたり、著名人の方が「NFT」を販売したりと最近では話題になることも増えてきたのでご存じの方も多いと思いますが、「DAO」に関しては、一般の方には聞きなれないワードではないでしょうか?
また先日、弊社石川に、『ファン国家』をつくるために必要な要素を挙げてもらいました。
いかがでしょうか?ますます「?」になってきていませんか?
安心してください!そんなあなたが今回の読者です。
なもんで、もっと濃いーお話を期待されていた方はごめんなさいです。
濃いーお話をご所望であれば、ぜひガウディに遊びに来てください。
ここからは『ファン国家』に必要な要素を噛み砕いて解説するとともに、我が家でも『ファン国家』を真似て『ママ国家』を実験的に築いてみているので、一緒にご紹介していければと思います。
『ママ国家』のお話に入る前に…
4年前頃になりますが、家で「とーちゃんエコノミー」と題して「トークンエコノミー」の真似事をしていたことがあります。
簡単にやってことを箇条書きすると下記になります。
家で良いことをするとメダルがもらえる。
メダルは1枚10円で換金できる。
メダル1枚でゲームやYouTubeが10分できる。
メダルを貯めて、景品と交換できる。
そんなことをして遊んでいた訳ですが、コロナ禍では同じ思想の『ママペイ』というのが話題になりましたね。
その時の僕の気持ち…
それなりには続いたのですが、結果的には崩壊しました。
崩壊した理由は、以下の2つだと考えています。
メダルが配布され過ぎて、メダルの価値が失われてしまった。
メダル獲得のインセンティブだけでは、良くない行動までは抑制できなかった。
そんな「とーちゃんエコノミー」の次なる実験として、今は『ママ国家』の建国に挑んでいます。
『ママ国家』をつくってみた
本題に戻りまして『ファン国家』に必要な要素を噛み砕いて解説しつつ、『ママ国家』の軌跡も追っていきましょう。
主義・思想を、ホワイトペーパーで
ホワイトペーパーとは、直訳すると「白書」となります。もともとは政府や公的機関が発行する年次報告書のことでしたが、Webマーケティングでは製品やサービスなどの解説や市場分析などの資料を指していたり、暗号資産界隈ではプロジェクトの説明書や計画書の役割を担っていたりします。
そのプロジェクトが信頼を置けるものなのかはホワイトペーパーから判断されるため、ホワイトペーパーが存在しなかったり、内容が薄かったり、胡散臭かったりすると、プロジェクトへの支援や参加が得られなくなります。
事例としては、自民党の「Web3PT(旧NFT政策 検討PT)」が発表したNFTホワイトペーパーなどがあります。
・NFTホワイトペーパー(案)Web3.0時代を見据えたわが国のNFT戦略
・NFTホワイトペーパー(案)Web3.0時代を見据えたわが国のNFT戦略(概要版)
『ファン国家』においては、国としての主義や思想、エコノミクス(経済)などについて語られ、そこに共感した上で入国することになります。
『ママ国家』では、家族会議で主義や思想が話し合われ、ホワイトペーパーを作成しています。
ホワイトペーパーの内容は下記の通りになります。
インセンティブ:良い行動で、ママコイン(メダル)が1枚もらえる。
例)「練習1回で1枚」「XX時までに寝れたら1枚」「その日に宿題を終えたら1枚」
1日で獲得できるコイン数は最大で5枚程度
ディスインセンティブ:良くない行動で、コインがロックされ翌日まで使用できない。
例)「脱いだものを放置している」「コインを払わずゲームをする」
ただしロック中もコインの獲得は可能とする。
ユーティリティ:コイン1枚でゲームやYouTubeが30分できる。
1日最大で平日は2時間、休日は3時間
最長2時間、プレイ後はプレイ時間の半分の時間の休憩を挟む。
ボラティリティ:家の治安の良し悪しでコイン1枚の価値が上下する。
治安が悪化すると、コインの価値が下がる
例えば、ゴミが落ちて誰も拾わずにいると、コインの価値は-1円と下がり、1枚が9円、ゲームの時間も27分(-3分)となる。
最低値は、コイン1枚0円とする。
治安が良化すると、コインの価値が上がる
逆に、部屋が綺麗な状態が続いたり、当たり前の行動が当たり前にできるようになれば、コインの価値が+1円と上がり、ゲームの時間も33分(+3分)となる。
最高値は、コイン1枚20円とする。
ステーキング:コイン使用を1日我慢すると、コイン1枚を獲得できる。
リワード:アマゾンより20%安く購入できる。
ただしコインの価値により割引率も上下する。1円で割引率1%。
エアドロップ:月初に基本となるメダルが配布される。
ガバナンストークン:貢献度の高い行動に対してスペシャルコインが配布される。
スペシャルコインは、家族の意思決定権を有する。
詳細は「DAO」にて後述します。
などなどが記載されています。
国の通貨は、仮想通貨に
上記で紹介した note でも「独自の決済手段を持つこと(法定通貨や銀行に頼る必要がない)」と記載されていますが、『ファン国家』では法定通貨ではなく仮想通貨を使います。
ソーシャルゲームなどのゲーム内通貨や地域通貨などをイメージしてもらうと良いと思います。
『ファン国家』では、推し活を通して、仮想通貨を獲得できます。
『ママ国家』では、ママコイン(メダル)が通貨となります。
法と暴力は、スマートコントラクトで自動化に
ブロックチェーン上に誰でも閲覧可能な状態で登録されているスマートコントラクトにより、プログラマブルに法的契約が自動執行されるため、専門機関が不要、かつ中央集権的に権力者が、法による暴力をふるうことができず、透明かつ公正さを保つことができます。
法律とスマートコントラクトについてはこちらの記事が参考になります。
残念ながら『ママ国家』では人手で運用しています。
国の領土は、メタバース空間へ
みんな大好き「レディ・プレイヤー1」や「Fortnite」、「あつまれどうぶつの森」などで耳にするメタバースです。
一般的に国家を作るには「明確な領域」が必要と言われており、『ファン国家』でも国の領土がメタバース空間に置き換わります。
メタバースには、ブロックチェーンとNFTの技術が使われ、NFT化されたアバターの洋服を仮想通貨で購入したり、何らかのミッションをクリアして獲得したNFTを売買して収益化することも可能になります。
『ママ国家』では、領土はメタバースではなく家ですね、笑
中央意思決定から、DAO(分散型自律組織)的な意思決定へ
上述のBTSのファンが株式所有のところで、“運営にも参加できる”と書きましたが、まさに「DAO」に関係します。
「DAO(ダオ、Decentralized Autonomous Organization)」とは、分散型自律組織と略されます。
上記のコンセプトのもと、下記の特徴を持ちます。
中央管理者が不在で、DAOに貢献すると発行・配布されるガバナンストークンでの投票により、参加者同士で意思決定する。
スマートコントラクトにより透明性が高く、公平な意思決定が行われる。
パーミッションレス(許可いらず)で、誰でも自由に参加できる。
ただ「DAO」のデメリットの1つに、民主的が故に意思決定が遅いという点があります。
ガウディの目指す『ファン国家』では、「一部の中央集権性を残した「Web2.5」を採用する」としてデメリットを回避する考えでいます。
『ママ国家』では、下記ようなガバナンストークンの役割を持つスペシャルコインを発行しています。
ガバナンストークン:家族の決め事の決定権がある。
例えば、外食先、出掛け先、見たいTVなど。
貢献度が高い行動をしたらサプライズ的に配布する。
我が家が好きなメダルゲーム「ギョーテン、がっぽり寿司」のスタンプのように、何をしたらもらえるかはわからない。
1つの決定権に複数人が手を挙げたら、以下の優先度で決める。
投下するスペシャルコインの枚数
ママコインの所有枚数
実は、家族の意思決定の権利は前回も考えていました。通常もらえるコインで決定権と交換できるルールにしていたのですが、ゲームやYouTubeの方でコインが使われて、決定権に使われることがなかったので、今回は別のコインとして再設計しています。
参加や所属は、自由参加(パーミッションレス)へ
前述の通り、『ファン国家』へは世界中のどこにいても、誰でも参加可能で、かつ複数の『ファン国家』に参加できます。例えば、僕だったら「仮面ライダー」と「ハイキュー!!」が好きなので、『仮面ライダー国家』『ハイキュー!!国家』のどちらにも参加することが可能です。
『ママ国家』だと、今は参加している状態なので、子供たちが「やりたくない!」となったら考えます、笑。
信頼の参照が、リアル から デジタル へ
例えば、口座開設や賃貸契約などでは「運転免許証」や「学生証」が身分証明として信頼を担保していますが、『ファン国家』ではデジタルな世界での信頼が必要となります。
例えば、中国アリババグループの「芝麻(ジーマ)信用」などの信用スコアはデジタルでの信頼の証明になります。実はガウディのファンコミュニティでもファンスコアの機能は提供していました。
『ファン国家』では、複数の国家に参加できるので『仮面ライダー国家』では仮面ライダー信用スコア、『ハイキュー!!国家』ではハイキュー!!信用スコアが存在し、それぞれの国家で信頼の参照先となります。
参加している複数の『ファン国家』での信頼を横串しで参照することもあるかもしれません。
その他にもWeb3時代のマーケティング手法として「トークングラフ」という概念があります。これは所有しているNFTから、所有者の趣味趣向が推測できるというものです。
『ファン国家』では、推し活に対して、仮想通貨だけでなくNFTを配ることもできます。
例えば、メタバース空間で行われたライブの参加者にアバター用のペンライトの限定NFTを配布したり、もしくはクイズ大会で一番の方に「クイズ王」の称号NFTを贈呈したりすると、「トークングラフ」からそのファンが、どれだけ熱量高く推し活をしてきたか、はたまた昔から推し活をしていたのかもわかり、信頼の参照に繋がっていきます。
それでは『ママ国家』ではどうなるの?というと、強いて挙げればママコインの累計獲得数になりますかね、正直あまり考えていないです…笑
まとめ
『ファン国家』と『ママ国家』の違い
『ママ国家』の運用がアナログなのが大前提としてあるものの、わかりやすく、もっとも大きな違いは「推しメン(象徴)」不在だと考えます。
『ファン国家』では、大好きなアーティストや漫画などの、推す対象となる象徴が存在していますが、『ママ国家』では推す対象が不在なので「誰かのため…」という高いモチベーションが生まれにくいです。
「ママのため…」というモチベーションは、嫁の誕生日や母の日など限定的には高くなりますが、常に高い状態を保てているわけではなく、モチベーションとしては、ゲームやYouTubeに繋がるコイン獲得という外発的な動機によるものになっています。
逆に共通点も多々あると感じました。
例えば、必要な要素が揃ったら『国家』がまわるのではなく、共感・共鳴・共創における過程(プロセス)が大切であること。
また『ファン国家』が、一部の中央集権性を残した「Web2.5」を採用するように、『ママ国家』では意思決定を委ねる事項を考えるのは親になります。子供たちが、スペシャルコイン(ガバナンストークン)を所有していても家族の決め事を何でもかんでも決められるということではなく、『国家』を良い方向に向かわせるためには、多少の中央集権性は必要になる点などです。
今回、気をつけたこと
「伝えること」より「伝わること」
家族全員が、理解して同意のもとに実施した。
家族会議(AMA)では、小2の次女でも理解できるように、質疑を繰り返しました。長女が次女に説明できるなども。
「複雑」より「シンプル」
ルールはシンプルで分かりやすく。
複雑にすると…
忘れる。覚えない。
理解できない。
飽きが早い。
細かい問題が発生する。
前回は、サッカーの練習時間、コーチに褒められた回数、ゲームでのゴール数など細かく設定したが、運用がどんぶり勘定になってしまった。
今回は、何をやってもコイン1枚。
ただし、前回の反省を活かして詰めるところは詰める。
でも、分かりやすく。
「良き」も「悪き」も最初に体験
「良き(インセンティブ)」はすぐ体験できる。
コインを使ってゲームなど。
「悪き(ディスインセンティブ)」は体験できない。
たまたまですが、今回は早々に長男坊がメダルを使わずにスマホゲームをしてコインがロックされ、ロック中にも脱いだものを放置して連日でコインがロックされる事象が発生したのですが、最初に「悪き」も体験することで、より理解が深まる。
家と子供たちの変化
前回が途中で崩壊しているので、数ヶ月後にどうなっているかはわからないけども、前回との大きな違いは、家の治安は良くなっています。
印象的だったのは、我が家では誰にか分からない消しゴムが転がっているときがあり「誰の?」と聞くと「自分のじゃなーい!」と他人事で誰も拾わないのですが、長女に「コインの値段が9円になったら拾うか?」と聞いたら「拾う!」と即答しました。まだ自分では気付けないことも多いですが、「何あれ?」と気付きを与えると動くようになりました。
また1日のメダル獲得枚数が最大でも5枚ほどで、ゲームを2時間やると1枚しか残らず希少性が高いこともあり、「ちゃんと朝起きれたら1枚」で、朝が苦手な長女も起きてくるようなっています。
『ママ国家』の今後の課題
運営(親)の不正をどう取り締まるか?
チラシが片付いてない
食べ終わった食器を片付けてない
リビングでそのまま寝ちゃう
などなど、親もダメなところあるよね問題です。
子供達に運営を少しづつ権限委譲したい!
呪術廻戦の死滅回遊みたいにルールを追加できる
ドラゴンボールみたいに、何かを集めて願いが叶う
などなど、子供たちにゲーム的な要素を考えてもらいたいです。
最後まで読んでいただけた皆様へ
長々とお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
株式会社Gaudiyとして、初のアドベントカレンダー「Gaudiy Advent Calendar 2022」の千秋楽が、このようなコンテンツで良かったのだろうか?と悩みながらも楽しんで書いてしまいましたが、書きながらガウディのビジョンである「『ファン国家』の創出」は夢物語ではなく、すぐ近く、もう数年で現実のものになる(できる)と改めて感じました。
また「Gaudiy Advent Calendar 2022」には、もっともっと魅力的な記事がたくさん掲載されているので、ぜひご覧ください。
今後も今まで以上に「ファンと共に、時代を進める」株式会社Gaudiyに期待していただけましたら幸甚に存じます。
さいごに告知
先日にシリーズCに向けたプロダクトとファイナンスの戦略がメンバー全員に共有されワクワクが止まらない状態です。
今まででも変化を繰り返していた組織も、「一年前で全然変わったよね」と話していたのが「半年で変わったよね」、「3ヶ月前と比べて…」から、実験組織になり今では「先月と…」と変化のスピードも爆上げ中で、100名規模まで拡大を見据えて、全方面で採用を強化しています。
会社説明資料も貼っておきますので、少しでも興味を持ってもらえたら嬉しいです。