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安楽死と余命の関係~安楽死制度を議論するための手引き03(第2部)

論点:安楽死制度に「余命要件」「疾病要件」を盛り込むべきか

 さて、前回に引き続き「余命要件」と「疾病要件」を設けることの利点と問題点について考えていきましょう。

 まず、大前提として(再確認ですが)「余命要件」と「疾病要件」を安楽死制度に付与することの最大のメリットは「反対派の数を減らすことができる」点です。
 例えば、「安楽死制度を利用することができる人は余命半年以内と診断されたものに限る」とか「がんの終末期と診断されたものに限る」という要件を設ければ、その要件外の事柄を理由として反対意見を述べていた人たちを、議論から遠のけることができます。反対派の声が小さくなることは、安楽死制度を成立させることの近道になるでしょう。

 また、適応範囲を広めにとる(つまり対象者の数が膨大になる)よりは、対象者に最初から制限を設けておいて、「小さく始める」ほうが、制度を円滑に運用する上で楽であったり、制度上のエラーが後々に見つかったとしてもその修正コストも小さく動かすことができます。
 これは、「運用」という点だけから見れば理にかなった選択肢であり、あらゆる商売を考えてみても「小さく始める」ことから開始して試行錯誤を重ねながら徐々に大きく育てていく、というのは常識といえるでしょう。ただ、先に述べたように安楽死制度は人権問題なので、運用のことだけを最優先に考えて良いのか、については分けて考えなければなりません。あくまでも、多方面から制度を考える場合の「視点のひとつ」くらいの意味合いです。

適用外となった集団からの批判へは

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