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感想文の書き方は、みんなが教えてくれた。

 7月から8月にかけて、こんな企画をした。

 僕が7月に刊行した『だから、もう眠らせてほしい』を読んでもらって、その読書感想文を書いていただこうという企画だ。
 最初にあがったのは悲鳴だ。
「企画は面白い!参加したい!でも読書感想文なんて何十年も書いてない!」
 って。
 確かにね。最後に書いたのってせいぜい中学生くらいまでが関の山で、高校卒業してから読書感想文書いた人なんてかなりまれだろう。

 しかし、多くの方が唸りながらも書いてくださった感想文、その数50作以上!
 本当に感動!ありがたい・・・。

 よしじゃあ、皆さんの思いに応えるべく、感想文を読んでいくか!
 って思ったんだけど・・・

 あれ・・・・

 あれ・・・・

 読書感想文って・・・

 どうやって読めばいいの?

 そうなのだ。
 よく考えたら僕自身も、読書感想文なんてこの30年ほど書いた記憶がない。書き方もわからなければ、もちろん評価したこともない。
 あああ、勢いで
「賞金出しますよ~!」
 って言ったのに、どうやって評価すればいいのかわからないなんて!
 もう
「ぜんぶ、満点で!」
 って言いたい気分。

 落ち着け。
 そんな時こそGoogle先生だ。
「読書感想文 書き方」
 で検索すればよいのだ。
 すると出てくる山のような結果。さすがは先生。
 片っ端から読んでみる。

 なになに、
「最初は本を選んだ理由を書きましょう」

うんうん、確かにその本を手に取った理由は大事かもね。

「次はあらすじ。最小限に」

うんうん・・・まあ、あらすじも書いてもらったほうがいい・・・のかな。短めであればね。

「本を読んで気づいたこと、あなたの主張を書いていきましょう」

う、うん。そうだね、どう思ったか自分の意見を書くのは大事、だね。

「そして締めくくりは、これからの自分の行動について書きましょう」

ああなるほど、これを読んでどう変わったか、学びをどう活かすかということを書くのね・・・。

「このように書けばよい点数が取れるでしょう。上司や先生に褒めてもらえるでしょう」

・・・・・

 いや、僕って上司や先生だったっけ。
 僕が読みたいのは「正しい読書感想文」なんだろうか。

 違うよね。
 僕が読みたかったのは
・めっちゃ共感できる解釈の文章
・僕が思わず「ぐぬう」ってなる鋭い批判(誹謗中傷でなく)
・えっ、気になったのそこ?っていう目の付け所
・なんか文面からめっちゃ熱を感じる・・・!
っていう「おもしろい文章」だったはず。
 正しい書き方、点数が取れて評価されやすい感想文っていうのは確かにあるのだろうけど、その型に則って結果的に面白くない文章になってしまうのではもったいない。

 というわけで、Google先生さようなら。
 もうとりあえず、なんの先入観も無しにみんなの文章読むわ。

 って読み始めたところ。

 僕は泣いた。
 鳥肌が立った。
 ああ、これだよこれ!
 確かに「感想文」っていう型は取っていないかもしれない。感想文コンクールに出したら予選落ち間違いなしだろう。感想文コンクールに予選とかあるのか知らないけど。
 でも僕が読んだそれらの文章は間違いなく「感想文」だった。
 いかに僕の本から発想を飛ばし、自分事になるように嚙み砕き、もう僕の本のことなんてひとかけらくらいしか残っていなくても、それはやっぱり「感想文」だったのだ。

 僕は確かに読書感想文を評価したことはこれまでない。
 でも、どう評価すればいいかは投稿してくれたみんなの文章が教えてくれた。
 この51作品の中で、僕がびっくりしたり、笑ったり、「ぐぬう」となったり、とにかく「こころが大きく動いた振れ幅の順」に並べてみよう。

 そして絞りに絞った15作品。
 その最初の作品に僕は「70点」と点数をつけてみた。それは振れ幅を可視化するだけの単なるラベルだったのだけど、少し心が痛くなる。ほんとうは「ぜんぶ、満点で」なのだ。
 こころの痛みを感じながら次を読む。そしてまた点数をつける。
「70点・・・」
 その次を読んでまた点数をつける。
「70点・・・」
 おいおいこれじゃ全部70点になるんじゃないのか?
 どうなる賞金!?

※次の記事で、最終的な結果を発表します。あなたの作品は入賞しているのかどうか?お楽しみに!
※発表のnote公開日時は
・入選~特選→9/19 11:00
・天地人の席→9/19 14:00
となります!


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西智弘(Tomohiro Nishi)
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