すだちをいただく。
職場の先輩からすだちをいただいた。
ミニバケツに山盛り2つ、みんなでわけてね、ということで、家族のいる私は必然的に、みんなより多めに袋に入れて持ち帰る。
子どもを迎えに行った先の実家で、三分の一を渡し、残りは冷蔵庫へ。
さあ、どうやって食べようか。
とりあえず、輪切りのすだちに砂糖をかけて、レンジで加熱し、すだちジュースを作っていただく。
次の日は、9月といえどもまだ暑い日だったので、夕飯にすだちうどんにする。
酸味が特に好きではない私にとって、お店でもなかなか選ばないメニューだが、麺類なら部活で食欲減退中の長男でも食べられるだろう。
三人兄弟のお腹を満たすべく、豚しゃぶも大量にのせて、麺つゆをかける。
どうやって食べるの?
このすだちは食べるの?
と、その美味しさに半信半疑な息子たちは口々にたずねるが、まあ、食べてみてよ、と私もどのくらいすだちを入れていいのか、あまりよくわからないまま盛り付けた。
食べて納得のすだちの威力、なるほど!と言いながら、どんどん食べ進められた。
これ、お父さんがいたら、すだちうどんを夕飯に出したと思う?
と、子どもたちに訊ねてしまう。
もちろん、答えはNOだ。
好き嫌いが多く、食わず嫌い、「すだちを取ってくれ」と夫に言われるのがわかりきっているのに、作る気になれない。
もともと食事を作るのが得意ではない私にとって、夫の好み通りの夕食を作るのは、ある意味簡単なことだった。7種類くらいの定番メニューを繰り返し出せば、それで良かった。
しかし、子どもができてからは、本当にそれが窮屈で重荷だった。日本に生まれてきて、これだけ豊かな和食文化があるのに、野菜や魚を食べさせなくていいのか?
田畑から生まれる農作物が美味しいこの地域において、お隣さんからいただく野菜を夕飯に出せないつらさ、くやしさ、不自由さ。私にもっと料理の腕前があれば、夫の偏見を覆し、食べてもらえたかもしれないが、そんな努力ができるだけの時間も気力もない。
でも、今は。
食べ盛りのあなたたちに、どんどん食べてもらって幸せよ、と話す。
ごめんなさい、お父さんのことを悪く言うのは、よくないことと、わかってはいるのだが、本当のところを納得してもらいたい、弱い母を許してほしい。