劇場短編仮面ライダーセイバーと劇場版仮面ライダーゼロワンの感想(ネタバレあり)

はじめに

仮面ライダーセイバーとゼロワンの映画を見に行ってきましたので、忘れないうちに感想を書きたいと思います。

ネタバレなし感想

最高でした。

微量のネタバレを含んだ感想

【劇場短編・仮面ライダーセイバー】
 仮面ライダーセイバーとはどんな作品かを表すために、とにかくそぎ落とせる肉を極限まで削いで、テレビ本編以上にエッセンスだけ描写しているあたり、本当に見事としか言いようがないと思いました。

【劇場版・仮面ライダーゼロワン】
 とにかく
 変化球の連発で、暴投に近いんじゃないか?東映大丈夫か?
 とすら思っていましたが、数々の変化球が
 軸を中心にうねりを描き、話が進むにつれて豪速球
 として視聴者へぶつかってくるあたり、本当に見ごたえありました。
 個人的には仮面ライダー555のパラダイスロスト、仮面ライダーWのAtoZレベルで好きな劇場版作品となりました。コロナ禍でよくこんな映画が作れたなあと思っています。一発逆転サヨナラホームランって感触があります。やはり大森P悠也先生のコンビはすごすぎです。

本格的なネタバレ感想

 さてネタバレ感想です。
【劇場短編・仮面ライダーセイバー】
 テレビ本編以上に人間ドラマを必要最小限まで削ぎ落してバトルのみ描写するあたり、本当にセイバーって思い切ったことするなあと思いました。だがこの思い切りが本当に心地良い。コロナ禍を受け止め、コロナ禍でしか作れない作品を作ってらっしゃるスタッフ・キャストの皆さんは本当にすごいです。
 テレビ版では顔芸担当な芽依ちゃんが劇場短編ではゲストの子どもに諭すシーンがほんといい味出してます。ラストの倫太郎との掛け合いもほっこりします。
 あと本来なら不死鳥のごとく甦るはずのファルシオンが滅亡に拘ってる一方、相対する飛羽真があきらめず何度でも立ち上がるという不死鳥みたいな行動原理を提示していたあたり、どちらもモチーフと行動原理が真逆で非常に興味深いです。仮面ライダーファルシオンの行動目的が全く語られてませんでしたが、上記のことからおそらく死んでも復活ばかりするので自身を滅亡させるべく世界を滅亡したかったんじゃないかと邪推しています。ただセイバーという作品では
そんな説明は不要!大人なら自分で補完するか他の人の考察を参考にしろ!
って言わんばかりに描写を省いた英断は本当にすごいと思います。そういう意味では子ども向け作品って子ども向けという部分を突き詰めていけば大人向けになるのかなあとか思ってます。

【劇場版・仮面ライダーゼロワン】
 最初見てて何の説明もなしに決闘やってたり、或人がいきなり地獄送りになったり、或人がヘルライズホッパーになり暴走したりと、全くわけがわからず
 いよいよコロナ禍で暴投するようになったか
とまで思いましたが、
 すみませんゼロワン舐めてました。
 決闘についてはセイバーのファルシオンは補完できてもエデンとゼロツーの決闘は補完できないとか思ってましたが、話が進むにつれて説明がありました。また地獄送りについても地獄が単に形容詞であり、データ化された人々の生体パターンがAIによって再現された世界であるという解釈がとにかく理にかなっていると同時に尖っており、見ごたえあったと思います。
 仮面ライダーゼロワンはこのデータ化された死後の世界の他にも、テレビ本編と同じく人工知能の技術監修があってこその設定としてAI搭載ナノマシンは実に上手いと思いました。ナノマシンについては仮面ライダーTHE NEXTでも使われてましたが、このナノマシンをAIと組み合わせることにより医療技術や操り人形型兵士に使うって設定は実に上手いと思いました。この操り人形型兵士という設定が、ゼロワンのテーマの一つである「人間の悪意」とリンクしているのも上手いと思いましたし。
 人間の悪意で思い出しましたが、作品テーマ的には
 2011年に行われたフジテレビ抗議デモ
 を裏モチーフにしたのかなあとか邪推しています。あれこそ悪意とまでは言いきれないとしても、不満や怒りなどネガティブな感情がネット上で爆発した結果としてのデモだったと思いますし。しまいには
 異性関係を理由に主催者が活動を終了
するところまで今回の話と共通していますし。

 もっともフジテレビ抗議デモのほうはデモで彼女ができたという後発的な理由で主催者の活動が終了しているのに対し、今回はもともと婚約者のためにテロを仕組んで婚約者の真意のために中断したという違いはありますが、異性関係のために活動が終了という話に納得がいかないという
 参加者のヘイトというか悪意が高まったあたりは共通している
かと思います。そして今回に至っては、そのヘイトが(アズの助力もなしに)高まって真のラスボスが生まれるあたり、ゼロワンのテーマの一つである「悪意」を体現していて本当に構成うまいなあと思いました。
 だらだらと語りましたが、「悪意」「AI搭載ナノマシン」「人間の思考パターンが実装されたAIたちの住む異世界」これらの要素が最初は別々の方向を向きながらも、軸を中心にうねりが加わっていき、最後は豪速球となって視聴者に訴えかける展開が非常に心地よかったです。ただネット民の悪意をラスボスにしているあたり、見る人を選ぶ感はあるかもしれません。

 あと推しキャラ的には
 安心と信頼の副社長組とイズ
 でした。副社長組は或人の支援に徹しているあたり管理職として最高のパフォーマンスを発揮していますし、何より前年の冬映画の過去編にて先代社長に賛同して熱量で支援した頃の姿を彷彿させる描写が何より泣けます。てかここで涙腺決壊しました。
 それとイズ。どことなく初代イズを引きずっていた或人に対し、二代目イズが或人社長を知らないので知りたいと訴えかけるシーンは、これまた前年の冬映画にて初代イズが自分の夢が欲しいと訴えるシーンを彷彿させるものがあり、これまた泣けました。さらに二代目イズの訴えをきっかけに或人社長がイズを二代目と認知する展開が、テレビ版最終回のモヤモヤを吹き飛ばしてくれて本当にありがたかったです。
 そして二代目イズがゼロツーとして変身。二代目でゼロツーという組み合わせがこれまた泣けます。(原作版仮面ライダーでも1号は途中で死んでしまいますし。)イズもいずれ変身するんだろうなあと思っていましたが、こういう形になるとは。劇場版予告で予想はしていましたが、いざ見てみると本当に感慨深いものがあります。

おわりに

 最初から説明を省いてエンターテイメントに徹した仮面ライダーセイバー、コロナ禍で説明不足に終わりかけた伏線を見事に拾い上げて話を畳んだ仮面ライダーゼロワン。いずれも本当に見てよかった映画だと思いました。

 しかし・・・

 来年戦隊ツギレンジャー(仮)の出落ち感あふれる容姿に余韻が消滅w

 あのデザインは一体何なんでしょうねw

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