仮面ライダーゼロワンにおけるアズの行動原理に関する考察【劇場版ネタバレあり】
はじめに
仮面ライダーゼロワンの劇場版を見てアズの行動に疑問を抱いたので考察を書こうと思いきや、特に必然性がなかったので後回しにしてました。しかし、私と違う解釈がTwitterにてUPされましたので、この機会にアズの行動原理に関する考察を中心に、私の解釈をたらたらと上げていきたいと思います。
ゼロワンテレビ本編振り返り
ネタバレ回避のためにまずゼロワンテレビ本編の遍歴を以下にUPします:
第35話までは仮面ライダーサウザー/天津垓がヘイトを買いまくっていたのに対し、翌週ではいきなりアークの秘書と名乗るアズが登場し、第35.5話で滅亡迅雷の4人からデータを吸い上げ仮面ライダーアークゼロを誕生させます。
このアークゼロの存在により他のライダーは圧倒されてしまいますが、全ライダーの総力と初代イズの助力によりアークゼロとアークを第41話で倒します。ここでめでたしめでたし…かと思いきや、滅は人類を滅ぶべき存在という認識を変えませんでした。
それから滅が或人を倒そうとしますが、アズの煽りにより駆け付けたイズが身代わりとなり蘇生不能になります。アズの誘いにより或人が仮面ライダーアークワンとなり、滅に復讐しようとして今度は迅が滅の身代わりとなってしまいます。滅もアズの誘いにより仮面ライダー滅アークスコーピオンとなってしまい、悪意の連鎖が続いてしまいます。
しかし、悩む或人は衛星ゼアの導きにより仮面ライダー001/飛電其雄(のヒューマギア)と出会い、本当の強さについて諭されます。その後、或人は滅と死闘の末和解に至り、物語に一定の決着がつけられました。しかし・・・
【ここからは劇場版ネタバレを含みます。ご注意ください。】
あともしかしたら劇場版の内容が間違っていた李、ディレクターズカット版で追加描写があったりする可能性もあるかもしれません。あらかじめご了承ください。
劇場版振り返り
テレビ本編ラストでアズはエデンにプログライズキーとベルトを渡す一方、或人はイズとそっくりのヒューマギアニ号機を作りイズと名付けます。(ここではニ代目イズと呼称します。なおテレビシリーズで再起不能になったイズは初代イズと呼称します。)
そして劇場版が始まります。仮面ライダーエデンが多くの信者を引き連れて世界滅亡を企みます。或人は仮面ライダーゼロワンとなって仮面ライダーエデンと戦いますが、イズを二度と死なせたくないために二代目イズを連絡係に徹させます。
二代目イズは自分が何をすればいいのか悩んでいたところ、衛星ゼアに電脳空間へ連れられ、初代イズと出会い記憶を転送してもらいます。
一方、滅は得体のしれない信者と戦う中、アズに誘われるがままに懺悔室みたいな場所へ連れられます。その場所にはエデンの恋人・朱音の頭脳が埋められた機械が設置されてあり、その機械は死んだ朱音の意識をデータ化して精神世界(朱音は地獄と称していた)に住まわせていました。
エデンの目的は朱音を寂しくさせないために世界を滅亡させ、人類の意識をデータ化して精神世界へ転送することだったのです。しかし朱音自身がその精神世界を地獄だと揶揄していたこと、そして朱音がエデンの恋人だったことを或人社長が知り、ヘルライズホッパーになり暴走してまでもエデンを止めようとします。暴走の末、或人社長の拳を止めたのはゼロツーに変身した二代目イズでした。二代目イズは或人社長を守って思い出を作りたいという心境を語ります。そのときエデンも朱音の本音を受け止め、世界の滅亡を止めようと決意します。
しかし、ここで信者の一人がエデンの持っていたプログライズキーとベルトを使って仮面ライダールシファーに変身し、人類滅亡を続行させようとします。ルシファーに襲われるエデン。
或人は二代目イズと一緒にルシファーと戦い、滅たちヒューマギアと人類の垣根を越えて、信者の変身したアバドンと戦い、勝利します。エデンも精神世界で朱音と再会し、世界滅亡を食い止めることができました。
そしてラストにて或人は初代イズのリアクションだった「アルトじゃーないと!」が二代目イズからなかったことにより、或人が目の前にいるイズを二代目と認識して物語は幕を閉じます。
アズに対する認識の誤解?
・・・ここで「あれ?アズがあまり暗躍していない。おかしい。」と思いました。そもそもテレビ本編見てるときには人間の悪意の塊だったアーク=アークゼロの秘書ということで、
アズは悪意の象徴だと思っていました。
しかし劇場版を見てみると、アズが悪意の象徴であれば、同じ人間の悪意の象徴であるルシファーたちに加勢してもいいはずなのに、全く出てこなかった。しかも滅を懺悔部屋へ誘導していてなんかおかしいぞ?
・・・と思い、改めて考え直してみましたが、実は
アズって悪意の象徴ではなく世界の調停者
なんじゃないかと思えてきました。いわば衛星ゼアの化身であるイズと、衛星アークの悪意を象徴する赤を混ぜた混血児という。衛星ゼアは善意だけで、衛星アークは悪意だけで、それぞれ物事を判断していますが、お互いそれだけではダメだと判断したのでしょうか、悪意を踏まえた善意、善意を踏まえた悪意をもって世界の最適解を見つけようとした結果、アズが生まれたのかもしれません。
そんなわけでアズの行動に着目して、再びゼロワンの遍歴をたどってみました。
アズは滅亡迅雷4名からデータを吸い取り仮面ライダーアークゼロを誕生させますが、このときサウザーがヘイトを買いまくって人間とヒューマギアの悪意を集めまくっていたので、アークがサウザーの身代わりとなるべく強敵・
仮面ライダーアークゼロとなって全員のヘイトを自分へ向けさせ、
キーパーソンである或人と天津社長と滅亡迅雷とAIMSを仲良くさせようとしたのだという仮説を立てました。悪意を熟知したプロであるアーク様は「誰か一人がヘイトを買っているとき、仮想敵を作ればヘイトがそちらへ向くだろう」と判断したのかもしれません。その目論見は成功…したかのように思えましたが、
滅はまだ人類を敵視
していました。一方、
或人社長も初代イズへの依存が強くなり、
ゼロツー初登場戦では初代イズに心理的負担を強いている状態でした。なので、アズはこれを一挙に解決することを目論みました。
まずは初代イズに退場してもらうためアズは、或人が滅に倒される夢を初代イズに見させることで初代イズを煽ります。初代イズは或人の身代わりとなり再起不能となってしまいました。ただ
初代イズの意識は消滅していない
ことが劇場版で明らかになりますが、或人の前に出てこなかった理由としては、
或人のイズ依存症を絶つため滅にイズを大破させた
ということをアズから聞いたため、アズの真意に同意して二代目イズの前には出ても或人達の前には出なかったものと推測しています。一方、アズは
或人の自分の中にある悪意を具現化させて頭を冷やすため、
プログライズキーとベルトを渡したものと思われます。で、
或人が滅を倒そうとして迅が滅の身代わりに入ることも想定内
だったのでしょう。で、滅にもアズがプログライズキーを渡しますが、
或人と滅に納得いくまで殴り合いをして和解させることを目的
としたものだったんじゃないかとみています。また或人が悶々とした状態だったので、アズは或人に全力を出させようと
其雄の魂にも助力をお願いした
のではないかと思っています。いやもしかしたら
其雄に擬態したアズ
だったのかもしれません。で、その目論見は成功し、滅は人類への一定の理解を示した…かのように思えましたが、
或人はイズそっくりの秘書ヒューマギアを作り、イズと名付けます。ここでアズは「或人にはイズへの未練がある」と判断し、エデンの恋人を失った悩みと一緒に救済することを考えました。エデンの悩みも正攻法だと誰も取り合ってくれないため、あえて構ってちゃん的な手法を使い、或人たちに問題意識を植え付けて根本的な解決を図ろうとしたのだと思います。なので、
エデンの救済には協力的だったので滅をあえて懺悔部屋へ誘導
したのかもしれません。
で、自分を初代イズとしてしか見てもらえず悩むイズの前に初代イズが現れて記憶を転送して二代目イズに自分の思いである「社長を守って一緒に思い出を作りたい」ということを悟らせるのですが、このときアズは
イズ依存症から立ち直らせるために初代イズの魂に助力を求めた
のかもしれません。また、こちらも実は
衛星ゼアから初代イズの記憶を受け取ったアズの擬態
の可能性もあると思います。
そして問題のラストバトル。アズが人間の悪意の象徴であるルシファーたちに加勢しなかったのは、
人間の悪意なんかに力を貸しても何の問題も解決しないから
だったんじゃないかと思います。
おわりに
てな具合にアズの行動原理を「世界の調停者」だと考察してきましたが、ここまで考察の余地がある仮面ライダーゼロワンはやはり名作だと思います。余談ですが、年末特大考察記事を作ってきましたが、何が一番大変だったかというと
パワポでゼロワンとかの絵を描くこと
だったりしますwしかも最初に描いたゼロワンは明らかに雑なのに、最後のほうで描いたエデンやルシファーは比較的よく描けてるというw
以上、ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
追記
他の方の考察を見てみましたが、「アズがウエディングドレス風の衣装を着ていたのはイズを失った或人と同様に朱音を失ったエデンを落とすため」ってあってこちらもなるほどなあと思いました。確かにこの考察でもルシファーたちに加勢しなかった理由をエデン以外興味なかったと説明できますし。
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