地球戦隊ファイブマン感想序章:祝・Youtube配信!脱・不遇戦隊への道

はじめに

 去る2021年4月30日(金)に地球戦隊ファイブマンが東映特撮YoutubeOfficialで配信開始された。個人的には戦隊シリーズの中でも不遇だと思っている本作品の待ちに待った配信で非常に嬉しい。ではなぜ本作品が不遇で、なぜ配信がうれしいか、この際にしっかり語っておきたいと思う。

第1章:俺氏、ファイブマンにハマる

 地球戦隊ファイブマンが放送開始されたのは平成2年。私が大学1年の頃だった。
 以前は宇宙刑事シャイダーや超電子バイオマンにハマっていたものの、バイオマンに匹敵する大人向け戦隊が見たいと切に願っていた。そんな中、昭和63年に電脳警察サイバーコップが放送開始され、おニャン子の結婚や聖闘士星矢ブームの沈静により乾いていた私の心を潤してくれた。このような感じで、サイバーコップみたいな戦隊が見たい、と思うようになった。
 その矢先、ターボレンジャーにて途中で敵幹部の大半が退場するという革命が起こり始めていた。で、キリカ登場以降見たかったが、放送時間が変更になり大学受験のための塾通いと被ってしまったため、ターボレンジャーが見られなくなってしまった。
 そのような抑圧があったのと、大学1年になり一人暮らしを始めたのとで、地球戦隊ファイブマンにハマるようになった。大人向け戦隊かどうかはおいといたとしても、矢継ぎ早に打ち出される数々の新機軸を、毎週楽しみにして見ていた。10月からは学生実験と時間が被ることもあったが、ビデオに録画してまで見るようになった。そして最終回まで視聴しきったのである。

第2章:ゴーカイジャーまでの不遇の歴史

 しかし、地球戦隊ファイブマンは私の住んでいた九州地方でこそ違っていたが、関東地方ではらんま1/2という強力な裏番組があった。加えて新しい放送枠で初めて夏枯れを迎えたためか、それまでの中で史上最低視聴率を取ってしまうことになる。後半に視聴率こそ持ち直したが、裏番組に勝ったことは一度もなかった。(ただし裏番組が放送休止のときの視聴率は金曜夕方時代では最高だった。)しかし、地球戦隊ファイブマンの試行錯誤を踏まえて作られた次回作の鳥人戦隊ジェットマンにて、裏番組に勝利することとなる。
 そのため、戦隊最新作についてはジェットマン以降の作品のレンタルビデオがリリースされることとなり、過去作は例外的にターボレンジャーの傑作選がリリースされることとなった。他には太陽戦隊サンバルカンと科学戦隊ダイナマンが全話レンタルビデオリリースする予定であり、おそらく大戦隊ゴーグルファイブ以降もリリースされるつもりだったのかもしれないが、サンバルカンとダイナマンの途中でリリースが中止してしまうこととなる。そのためか、ファイブマンのレンタルビデオはリリースされることがなかった。
 一方、CS放送の東映チャンネルで1999年にジャッカー電撃隊が放送開始され、電子戦隊デンジマンも放送開始された。以後、年代順に放送開始されていったが、途中で未放送だった秘密戦隊ゴレンジャーとバトルフィーバーJが挟まれることとなり、予定より1年半待つこととなる。そしてようやくレンタルビデオ未リリース作品では一番最後に地球戦隊ファイブマンがCS放送された。
 DVDのほうも次々とリリースされていったが、過去作についてはゴレンジャー→タイムレンジャー→ジャッカー→ゴーゴーファイブ→…というように、古いものと新しいものを交互にリリースしていく形式だった。そのため、地球戦隊ファイブマンのDVDリリースは最後のほうだった(ライブマンとターボレンジャーより先ではあったが)。
 レンタルDVDのほうは、マスクマンからファイブマンまでの戦隊が一番後回しにされており、ようやく最後にまとめてレンタル開始となった。

 このようにファイブマンは、ビデオ・DVD・CS放送いずれも後回しの魔女に憑りつかれたかのごとく後回しにされ続けるという不遇っぷりだが、不遇っぷりはそれだけではなかった。
 1998年。新戦隊の情報が入ってきたとき、驚きを隠せなかった。その名は星獣戦隊ギンガマン。ギンガマンといえばファイブマンの敵戦隊の名前である。その敵戦隊の名前をそのまま採用するとは。
 それだけならまだしも、当時のパソコン通信でも「銀河戦隊ギンガマンなんてなかった、いいね?」みたいな書き込みがあり、憤慨した覚えがある。地球戦隊ファイブマンが黒歴史化されそうで、本当に嫌だった思い出がある。

 さらに2011年。戦隊35作品記念として海賊戦隊ゴーカイジャーが放送されることとなる。その戦隊では過去戦隊の役者さんが出演なさることが多かったが、そのときに「バスコという敵に大いなる力を奪われた戦隊からは役者さんが出ない」というネタバレを聞きかされた。さらにまいったことに、地球戦隊ファイブマンもバスコに大いなる力を奪われてしまうという展開があり、放送当時は気が気でなかった。
 しかしそのネタバレは結果的にガセであり、竹本監督のご尽力によりバスコに力を奪われた5戦隊からそれぞれ役者さんが出演なさってて、その役者さん演じる戦隊メンバーにゴーカイジャーが変身して混成戦隊を組んで戦うシーンは夢中になって見ていた。その回の前日なんて、ずっとバスコに力奪われた戦隊のサントラをドライブ中に聞き続けた思い出があるぐらいうれしかった。

 このような不遇な状況がありつつも、粛々とファイブマンを応援し続けた思い出がある。

第3章:老害マウンティング疑惑事件

 そんな中。Twitterで2011年前後だったかで、「酔拳を使った戦隊ヒーローは誰か」という話を元フォロワーと話していたときのことである。元フォロワー曰く、ダイレンの知とデカレンのウメコの名を挙げていたが、私が「ファイブマンのレミもいる」と話したら元フォロワー曰く「ファイブマン見てない」と返されたことがある。ここからはうろ覚えだが、「ファイブマン見てくれ」という趣旨の話をしたら、「年配であるのをいいことにマウンティングするのは良くない」とか、元フォロワーじゃないかもしれないが説教された覚えがある。
 あと東映の白倉Pがインタビューにて「特撮作品をシリーズ化すると、ずっと見てきた古参が有利になりマウンティングする傾向があるから新しいファンが参入しづらくなるからよろしくない」と語ってらした覚えがある。
 私としてはマウンティングする意図は全くなく、戦隊の歴史を語るなら作品を可能なら全部…は難しいとしてもできるだけ多く見てほしい、ファイブマンを黒歴史化しないでほしいと純粋に思っただけである。
 とはいえ、当時のファイブマン視聴に関する敷居が高かったのも事実である。やっとDVDが発売されたぐらいの頃であり、レンタルDVDもなかった。いやレンタルDVDや東映特撮ファンクラブの全作品見放題があったとしても、見る作品の選択肢が多すぎて未視聴の皆さんが手を出すには敷居が高いように思えていた。せめて昔みたいにテレビで再放送でもやってくれれば…と思ったが、最近はテレビ局の自主規制が強いため、地上波ではなかなか再放送が見られない。
 しかし、2011年に東映特撮YoutubeOfficialという配信チャンネルがYoutubeに開設された。そこでは(広告こそ流れるけど)無料で1週間限定で特撮作品の配信がなされている。期間限定なので作品を見る動機がつけやすく、しかも無料なので、まるでテレビの特撮番組再放送みたいな感覚である。そうだ、この配信チャンネルがあればより多くの人々にファイブマンという作品を見ていただけるだろう、と思い、期待を寄せた。

第4章:度重なる配信すっ飛ばし

 しかし、現実はそんなに甘くなかった。地球戦隊ファイブマンはなかなか配信してもらえなかったのである。近い時期の戦隊作品では開設当初こそ超新星フラッシュマンこそ配信されていたものの、チェンジマン、マスクマン、ライブマン、ターボレンジャー、ファイブマンは全く配信されなかった。某大型掲示板では、レンタルビデオがリリースされてなかったとか他所で無料配信中とか、様々な言い訳がなされていた。
 そんな中、2014年に90年代戦隊作品枠が作られ、配信が開始されるも、ジェットマンからの配信であり、ファイブマンの配信はすっ飛ばされてしまったのである。
 さらに2018年にすでにニコニコ動画で星獣戦隊ギンガマンが配信されており、Youtubeのほうで配信すると追いつかれて同じ週にニコニコとYoutubeで同じ回を配信されることになるから星獣戦隊ギンガマンの配信はなくファイブマンに戻るだろうと予想されていたが、結局星獣戦隊ギンガマンが配信されることとなり、またすっ飛ばされてしまった。
 そして2019年。90年代最後の作品である救急戦隊ゴーゴーファイブの配信が終わってやっとファイブマンの配信だ!…と思いきや、00年代の未来戦隊タイムレンジャーが配信されることになり、またすっ飛ばされてしまった。

 なぜすっ飛ばされたか理由を考察してみたが、おそらく広告収入料が再生数に依存するYoutubeというプラットフォーム上では、再生数を見積もれない未配信作品より、実績のある既配信作品、特に再生数の多い作品を選んでいるのではないかと推定している。

 以上の事情があるためか、二度も三度もすっ飛ばされたため、もうファイブマンの配信に対してトラウマができてしまった。2018年末からチェンジマンが配信開始され、2019年11月から光戦隊マスクマンが配信開始されることとなった。しかしこの枠は元々昭和スーパー戦隊枠だったため、ライブマン完了の時点で打ち切られる可能性があった。80年代スーパー戦隊枠に鞍替えしたとしても、80年代だからまたデンジマンに戻るのではという危惧もあった。

第5章:配信の神様カミタマン降臨、そして配信へ

 しかし。そんな流れも一気に変わることとなった。
 不思議コメディシリーズ枠にて、ロボット8ちゃんからどきんちょ!ネムリンまで年代順に配信していたが、2016年12月に不思議少女ナイルなトトメスへすっ飛んでしまい、以後は配信実績のあるシリーズ後期の作品が配信されていた。
 しかし、2020年10月からどきんちょ!ネムリンの後番組である「勝手に!カミタマン」が配信され、続いて2020年4月からその後番組である「もりもりぼっくん」が配信開始されたのである。
 カミタマンもぼっくんも未配信作品で、しかも既配信作品と違って音楽の権利関係とか未整備なはずである。しかし新しい変革を起こすためか、未配信作品の配信が開始されたのである。まさにカミタマンは未配信作品好きな私にとって配信の神様になったわけである。

 さらにファイブマン配信の好材料はそれだけではなかった。なんと地球戦隊ファイブマンDVDの廉価版が2021年7月に発売予定である。DVD廉価版出るから配信ないとかいう説もあったが、いつでも見られるDVD廉価版と期間限定のYoutube配信は棲み分けができてる感あるし、そもそもYoutube配信でファイブマン気に入った人をDVD購買に駆り立てることができる。これはファイブマン配信は現実的かも、と思えてきた。

 しかし、ファイブマン配信に疑問を抱かせる材料もあった。しくじり先生とゼンカイジャー第8話である。
 しくじり先生のほうはファイブマンが史上最低平均視聴率をとりしくじった作品と紹介があった。さらにターボレンジャー最終回配信の二日後に、ゼンカイジャー第8話でいくら敵の作った偽者とはいえ、マスクマンとファイブマンを巨大ロボで踏みつぶして何のフォローもないという、悪い意味で春映画を思わせる扱いがあった。
 これだと運営のほうで戦隊間に序列をつけてファイブマンを叩いていい戦隊に仕立て上げようとしてるんじゃないか、という被害妄想じみた考えすら浮かんでしまうようになった。また、放送機会を少なくすれば歴史から抹消されて好き放題叩けるとか考えてるんじゃなかろうかと邪推したため、またファイブマンの配信は絶望的かと思っていた。
 そしてゼンカイジャー第8話放送後、不安な気持ちを吐き出しつつ、ターボレンジャーの次枠作品の情報を待ち続けた。枠消滅の可能性を考えて不安になったが、前日にターボレンジャーのプレイリストに非公開動画が追加されたので、枠消滅の可能性はなくなった。
 しかし次枠がファイブマンかどうか、心配性な私としては不安で仕方なかった。Twitterでも不安に思っている人と楽観視している人で二分していた。私自身相当ピリピリしていたので、Twitter上でも普段ならスルーしていたであろう厄介行為(具体的には一部の問題あるファンのために何の罪もないダイレンファンやデカレンファンを十把一絡げで叩く行為)に対しても𠮟りつける始末だった。
 そうはいってもターボレンジャーの二次創作物であるむさしのタイムズがまだ完成していなかったので、メンタルに負荷がかかりながらもどうにか完成させようとがんばり、寝落ちしつつ仕上げようとした。

 そして2021年4月30日2時50分頃。ようやく地球戦隊ファイブマンのプレミア配信が告知された。

配信開始5時間前

のことだった。本当にハラハラしたと同時に、うれしさが込み上げてきた。

ありがとう配信の神様カミタマン。ありがとう東映特撮YoutubeOfficial。

 でもって運がいいことにゴールデンウイークで会社休みだったので、堂々と地球戦隊ファイブマンのプレミア配信を視聴した。Youtube上で地球戦隊ファイブマンのオープニングが流れてきたときには、配信を待ち続けてきた10年間の思い出が走馬灯のように思い浮かんで、本当に胸にこみ上げるものがあった。それはまるで学生時代のとき、自分の部屋にあったテレビで特撮番組の再放送(仮面ライダーだったか仮面の忍者赤影だったか)を見た時の感動に近かった。これぞオタク冥利に尽きるというものだった。

 そんなわけで普段はすらすら短文でまとめている特撮番組の感想も、ファイブマンだけは思いが強すぎて全くまとまらなかった。ファイブマンだけは今までの不遇さの穴埋めをするつもりで、感想をしっかり書いていきたいと思う。再生数が少なかったら配信中止の可能性もゼロではないので、しっかりと応援することで配信完走を支援していきたいと思う。

おわりに

 以上、ファイブマン配信に対する思い入れを思いっきり書かせていただいた。私のツイートを見て「なんでこの人ファイブマンに対してここまでお熱なんだろう」と思った方にとって、この記事が私の背景を理解する一助になれば幸いである。
 長文をお読みいただき、ありがとうございました。

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