一瞬の偶然と奇跡
早朝、通勤途上に車を走らせていると低い空に朝焼けが見えてきました。車を走らせる時間の経過と共に朝焼けの範囲と明るみも増し、夕焼けのようなオレンジ色の空になったところで道路の視界が開けて見えた光景。
それはまだ薄暗さが残る空にパァーとそびえて並び立つ送電鉄塔群でした。
送電鉄塔は、目の前の近いところからずっーと遠くの方まで並んでいて朝焼けの微かな光に照らされて黒い影絵のように見えます。そして赤い衝突防止灯があちこちで点滅していました。それと一緒に遠くの方に見える葉のない枝だけの大きな木もあちらこちらで黒く浮かび上がっていて圧巻の景色。
これは車が通過するほんの一瞬の光景。一瞬開けた視界はものの数秒で元に戻り、視界を遮るものばかりのいつもの道路に。
運転中の一瞬のことなので写真に収めることはできないけれど今でも目に焼きついています。日中に見ても何とも思わない鉄塔なんだろうな。
そういえば、ポスティングをしていた時のことを思い出しました。
私の住む場所は富士山がとても遠いですが、冬の空気が澄んだ天気の良い日は高い場所に行けば小さくその姿を拝むことのできるときがあります。
先日、たまたまポスティングしていた場所の建物と建物の隙間から少し近めに見える富士山の姿に出会いました。もっと開けた場所まで行けば最高だなぁと思ってちょっと歩いた畑のある方へ行ってみたら、全く見えません。建物の間のその場所でしか、その富士山は見れなかったのです。
そしてまた別の日の夕方には、工事中の鉄骨の骨組みだけの駆体を透かして見た後ろの方で、東京スカイツリーが遠くに浮かび上がっている姿が見えました。それもある骨組みと骨組みの間の場所だけ。少しずれると建物や森林に遮られてその姿は見えなくなるのでした。(因みにもう建物は完成して今は見えません)
大きな公園のあまり人のいない手洗い場の近くに身をおいたら満開の桜並木が見下ろせる場所だったとか、やっと登りきった急な坂道の自動販売機で飲み物買ってひと呼吸おいたら街全体が見下ろせる見晴らしの良い場所だったりとか、歩道橋の上からしか見ることのできない打上花火とか、急に出現する偶然と奇跡。
その土地の使用用途や高低差、形状、季節、天候により、その場所の一瞬だけ垣間見れる光景って皆さんの近くにもきっとありますよね。
強い風で外がガタガタ鳴っている今現在、
「あまり気分が乗らない時でも、一瞬の偶然、奇跡探しをしながら生活をしてみよう!」
なんて思うのでした。
午後は時間がありそうなので、風の様子を見てポスティングに行きたいと思っています。
ささやかなことでもいいので、偶然と奇跡の発見があると嬉しいなぁ。