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音楽作りの環境 〜30年間の変化〜 1

こんにちは

僕は演奏だけでなく音楽制作もしているので、ライブ用だけでなく制作用の環境についてもお話ししておかなければならない。

僕が音楽をするようになったいまから30年余り前では、コンピュータで音楽というにはあまりにも環境が非力であった。Macや現在の環境を語る前に僕の音楽制作の歴史を順を追って説明しよう。

中学生の頃は友人のMSXコンピュータを借りてBasic言語のPlay文を使って発音させて楽しむくらいのことしかしなかった。バンド活動をしていたので、それよりも演奏のほうに力を入れていたのもある。音楽制作とは専ら演奏をオーディオとして録音してミキシングするというものであった。もっともMIDIという規格はすでにあり、シーケンサーなどを使っていわゆる打ち込みをするということもこのころから開始してはいる。当時初めて導入した打ち込み用の機材はというと、僕の場合はドラムマシンであった。

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高校生のころに手に入れたのは、YAMAHAのRX17というドラムマシンで、いくつかのパターンを打ち込み、それをソングというモードで組み立てて一曲分のドラムパートを作るものだ。すでにDX7というシンセサイザーは持っていたので、それとつないでRX17から発音させるという擬似シーケンサーのような使い方も自分なりに工夫をしてやっていた。要はドラム音の代わりにDX7の音色をパターンを組んで鳴らすというなんともまどろっこしい使い方である。そんな使い方をしているから当然ちゃんとしたシーケンサーが欲しくなるというもの。次に手に入れたのがQX5だ。8トラックのマルチパートが扱えるシーケンサーであったが、持っている音源がDX7とRX17なのでできることは限られる。その後、TX81ZやKORGのM1Rというマルチティンバー音源を揃え始める。サンプラーにも手を出して、当時デジタル楽器を使った音楽で最先端であったTM NETWORKのコピーバンドなどもしていた。

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シーケンサーはQX3にグレードアップして、シンセサイザーや音源モジュールを買い足して制作環境はどんどん進化した。ただそれを音源化するにはレコーディングをしなければならず、バンドのデモテープなど作品作りにはカセットMTRなんかも導入していった。8トラックと4トラックの2台のMTRをSMTPTEシンクロナイザーで同期させて10トラック分(それぞれ1トラックは同期信号用に費やされる)の録音とMTCによってMIDIシーケンサーも同期させて多チャンネルのミックスダウンをしていたのは今から考えるとすごい環境であった。音質を考えて8Tr MTRにはベースやギターを、4Tr MTRではボーカルとコーラスを入れるというもので、テープの劣化を避けるために楽器系を4Trの一部にピンポンダビングしておき、それを聴きながらボーカル、コーラスのダビングを重ねるということをしていた。

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そのときのマスターレコーダーはDAT(Digital Audio Tape)である。アナログの、それもカセットテープを使ったマルチトラック録音で音質としてはお世辞にも良いものではなかった制作環境で、マスターだけはデジタルオーディオを取り入れたのは当時の環境においては譲れなかった。

バンドではこれらアナログによる録音時代からはじまり、これを第一世代だとすると、第二世代では徐々にコンピュータの性能が上がって、現在のようなMacを中心としたシステムを使い始めることになる。

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