[書籍感想]このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法
このノートは北野唯我氏の「このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法」( https://www.amazon.co.jp/dp/B07DCLSV6H/ ) を読んだ感想です。
書籍では、転職に際しての心構えや考え方が記載されていますが、特に転職に限らない自己の価値やキャリアプランについても述べられている部分があったので、その部分を特に興味深い部分を要点として記載した後、最後にまとめて感想を書いています。
マーケットバリューの測り方
マーケットバリューとは、「業界の生産性」と「技術資産」と「人的資産」という3方向の軸で決まる。少なくとも2つは高いというのが理想的である。
私はエンジニアだが、例えばエンジニアとしての理想的なキャリアの築き方は「業界の生産性」と「技術資産」が高い位置にあることである。
「技術資産」というのは「専門性」と「経験」でできているが、他の会社では展開できないものは技術資産ではない。
特定の場面でしかつかえないスキルは他社にとって価値がないということであり、他社でも使えてなおかつその人にしか使えないスキルは価値があがる。
会社を選ぶときは、福利厚生よりも、専門性と経験を考えてキャリアを選んだほうが良い。これは福利厚生がなくなったり、転職したり転籍すると無くなる可能性のあるものであると同時に自分でコントロールできないものだからである。
「人的資産」というのはここでは「人脈」のことである。
ある仕事をお願いするときに、○○さんだからお願いしているのか、XX社の人だからお願いしているのかでは意味が異なる。前者のような人が多いほどその人のマーケットバリューは高い。
「業界の生産性」というのは、その業界において1人あたりどのくらいの価値を生み出しているのかで定まる。
例としては、激務な金融の業界と、ウエディング業界で同じくらい激務だとしても生み出すお金が異なるので、いくら技術資産や人的資産があっても覆すことは難しいということがあげられている。
ただ、すべての人が金融で働きたいわけではないので、そうした場合はその業界が伸びているかどうかで判断するのが良い。
技術資産も人的資産もない人が伸びていない業界を選ぶのでは駄目で、生産性が高い伸びている業界を選ぶべきである
仕事の寿命
そもそも仕事とは生まれて、消えるものである。
仕事のライフサイクルは次のようなものである
①ニッチ ②スター ③ルーティンワーク ④消滅
①の段階にある仕事は、椅子の数は少ないが代替できる人材がいない仕事である。
②になってその仕事が儲かることがわかると後追いで人が入ってくる。
③になると、ある程度汎用化され、誰でも出来るレベルまで分解される。
④になると、汎用化された代替可能な仕事に大量に人材を投入するのではなく、自動化や機械などによって代替する方向に進んでやがて消滅する。
飽和している、あるいは衰退している事業では新たに人材を雇おうと思わないので、技術資産の価値が目減りする。
マーケットバリューと給料
転職の際に一番気になるのは給料である。
既に給料が高い成熟した企業と、今は給料は低いが自分のマーケットバリューが高まる企業とでは後者を選ぶほうが良い。
所感
本の内容としては、物語形式で話が進むので取っつきやすいと感じました。
私は特に直近の転職を考えているわけではないので、転職の心構えの部分などの章は雑談レベルで流し読みしたが、物語形式なのでそれでも理解しやすい。重要な点は本書の最後の部分にポイントとしてまとめられているので、気になった部分だけを深く読むというのも良さそうでした。
本書のターゲットとしては転職をしようと考えている人だと思いますが、転職を考えていない人でも、自身のキャリアパスを見直す上で参考になると思いました。また、就活をしている学生にも業界/企業選びの方法として参考になるので読んで見てほしいです。
私自身も仕事に関して、一定の将来への危機感は持っていて、日々自分は今の仕事を続けていくので良いのだろうか、10年後も同じ仕事で食っていけるのかという不安にかられていたので、そういった疑問を解消する手助けになったのではと思います。
私は入社以来ずっと同じ会社で長年働いていることもあり、中途で入社した人と物事の捉え方が違うなと感じることもありました。
これはおそらく転職を経験した人にしかわからない何かがあるのではないかと考えていたので、この本を手にとったのですが、正解でした。
マーケットバリューについて言えば、マーケットバリューがないと人材的な価値があがらないものの、ただ儲かるから/衰退しているからという理由で業界を選ぶというのもなかなかドライで難しいものがあると私は思っています。そうした場合でもどのような視点で会社や業界を選んだほうが良いのか、本書の後半でフォローされています。
私の場合、もともと新卒で入社したときにIT業界の中でもモバイル業界を選択したのは伸びている業界であったからです。伸びている業界を志望するというと現金なやつだと思われるかもしれませんが(事実就活中に面接でよく聞かれていい気分をしない面接官もいました)、もともとは「人に多くの影響を与えたい」という軸で選んだ結果なので自分の方向性と、マーケットバリューの上がる方向が一致するといった、うまく行ったパターンだと捉えています。
そうすると、エンジニアとしては残りの軸の技術資産を上げていくことが重要だということなのでそこを伸ばしていきたいです。