[書評] 入社1年目で知っておきたい クリティカルシンキングの教科書
本を読んだ上でクリティカルシンキングについて自分の解釈を以下にまとめたので、紹介します。
クリティカルシンキングについて
クリティカルシンキング(批判的思考)とは、ある物事に対して、主体的に課題設定を行い、分析したり考えた上で最適解を目指す思考である。
勘違いされがちですが、クリティカルシンキングは、何でも相手の言うことを批判しろというのが本質ではなく、前提となる事実や状況を無批判に受け入れないと言うことで、この「批判」というのは、相手に対する批判ではなく、自身の思考プロセスに対する問いかけを指しています。
例えば、「TVで専門家の○○さんがXXと言っていたのでそのXXは正しい」「○○さんは☓☓をしていたので、私も☓☓すれば同じようになれる」という物事の一面で、自分自身であまり考えることなく安易に物事を判断してしまうことは、誤った判断や情報に流されてしまうことがあります。
そのため、日常的に自分で課題を再定義して考える癖をつけるとよいでしょう。
もちろん、結果として最初の話が正しい場合もあるのですが、ここでは自分で課題設定をして考える習慣づけが大切だという意味です。
もう1つ、課題設定の時の考え方を話します。
ある課題があったときに過去の知識や経験から正しい答えを導き出すというのは正解の1つですが、その考え方だけだと、専門外の問題に直面したときに、その前提となる知識や経験がないためにその物事を考えられなくなってしまいます。
自身が知らない話題について考えるとき「専門外なので/知らないので、わからない」「○○さんと同じ」と安易に答えを出すのではなく、自分でゼロベースで前提の仮設設定をし、そこから論理的な展開を通して答えを出すことができるかどうかが重要です。(フェルミ推定にも近いかもしれないですね)
クリティカルシンキングの観点で必要なのは、知識を増やす事や経験を積むことではなく、こう言った考え方を適用し実践する事です。
そのため、クリティカルシンキングには年齢や経験に関係なく関係はなく行えます。
ロジカルシンキングとクリティカルシンキング
ロジカルシンキングでは与えられた前提から答えを導き出します。
一方、クリティカルシンキングでは、論理的な思考に加えて、主体的に課題設定を行い、自身で考えた上で最適解を目指します。
ロジカルシンキングでは、論理の破綻を確認する思考ツールとしては有効ですが、どういった前提で何をすべきかという要素が入っていない。
前提と命題が与えられたアカデミックな内容と違って、実際の現場ではそれらがない場合もあるので、単に論理的な思考ができるだけでは、実際の課題解決に活かすことは難しいでしょう。
クリティカルシンキングのポイントとして、何を信じて何を行うかの決断に焦点を置く必要があると言えます。
所感
最近この「クリティカルシンキング」という単語を聞いたので気になって調べて見ました。
私もよく「前提がこうだから、ググったらこうだから、答えはこれだ!きっと間違いない!」という安易な考え方に行き着いてしまうのですが、普段から意識して実践することで物事の考え方や議論に幅が出るので、有効な手段であると思いました。
余談
完全に余談ですが、大学の研究室でテーマとなる書籍や論文を読んで、数学の定理や理論などについてまとめてプレゼンテーションで発表する機会が多くありました。
そのときによく元の定理を理解しないでプレゼン発表をする人がいるわけですが、教授に突っ込まれたときに「教科書に書いてあった」「あのサイトにはこう書いてあった」ので正しいという説明をすると、「教科書に死ねって書いてあったら死ぬのか!!」「そのサイトが正しいとする根拠は何だ。いくつのサイトや文献を調べたか?」と(やや過激な)叱責をされる事がありました。
要するに自分で情報を整理した上で、教科書やググった結果に書いてあることをそのまま鵜呑みにせず、自分で考えることと、どうしてこの課題を与えられているのかよく考えた上で発表に取り組みなさいということだったんだなとこの本を読んで気が付かされました。