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DJ Tasaka 本日よく聴いた音楽
「テクノにはヒップホップなどと違いフックアップ文化がないから衰退した」という意見を聞いたことがありますが、確かに少ない気がしてはいます。かと言って全くなかったかというとそんなことはなく、今回紹介するDJ Tasakaなどはその一例かと思います。
もちろん彼はフックアップなどなくても必ず出てきたとは思いますが、大注目を浴びて早々にメジャーからのリリースにまで至ったのは、きっと彼らからの恩恵は受けているのではないかなとは思います。
DJ Tasakaは元々ダブハウスという浅草にあったレコード屋の店員でした。柏の方に住んでいた自分としては比較的近くにある都内のダンスミュージックのレコード屋ということで、また当時には珍しく試聴機を置いてあったので、足繁く通っていました。どうやらKAGAMIもバイトしていたと後から知りました。途中から表参道に移転となり、移転してからは一度も訪れることはなく短命に終わったのですが、日本のテクノシーンにおいて大きな役割を果たしたお店であったと今でも思っております。
ダフトパンクのファーストを買いに行った時、ちょうどお店で流れており、売ってますか?と聞くと、「今流しているこのレコードしかないんだけど・・・」「それでいいですよ」という会話の元、DJ Tasakaから購入したのは個人的にちょっとした思い出です。
名前の通りDJとしての活動がメインであり、ヒップホップ上がりというスクラッチの腕前は相当なもので、テクノのDJばかり聴いていた自分にとってはとても鮮烈なプレイでした。そしてとにかく「楽しい音」を繰り出す彼のプレイはずば抜けており、尚且つグルーヴ感たっぷりな選曲と構成には本当に参ったものです。
トラックメイカーとしても「Passport for Disco」「Go DJ」などの名盤を産み出しながらも、彼の得意とするアッパーなテクノ・ディスコ的な音は当時の流行から外れていき、時代はミニマル・テクノへと移行していきました。テンポもどんどん落ちていき、音数も削ぎ落とされる当時のシーンに合わせるように彼の作るトラックもだいぶ地味になっていきました。WIREで彼のDJを聴いた時も、「TASAKAですらこの音なのか・・・」と思うくらいユース・カルチャーと呼べるような音とはちょっとかけ離れた音になっており、この時に自分もハウスという音楽を初めて意識した気がします。
「SOUL CLAP」がリリースされた頃は、本人にとってはバリエーションの一つだったのでしょうし、個人的には好きな音でもありましたし、ムラーレコードから出たアナログ盤などもしっかり購入しましたが、「こんな音楽若者は誰も聞かないよ!」などと勝手に危機感を募らせていたのを思い出します。
その後自主レーベル「UpRight Rec」からリリースするようになり、アルバムをリリースしエンジンを暖めた彼は5年ぶりにアルバム「Goodie Bag」をリリースしました。
これが本当に素晴らしく、地味過ぎず派手過ぎず、だけどグルーヴィーという大変自分好みの作品でした。ジャケットデザインも秀逸で、カラフルでもあり、かと言ってビカビカではないこのアルバムの方向性を見事に捉えていると思います。
サブスクリプションでのリリースはなく、CDのみの発売となっているようですが、これを機に久々にCDを買ってみるのはいかがでしょうか。