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テクニカルなことを、わかりやすく

「編集・ライター養成講座」で最優秀賞を受賞した記事のことについて、取材時の写真を挟みながら振り返ります。


<ドラムテックに興味を持ったきっかけ>

 ライターとして、世の中で言われている「一般的なこと」を体系的に学ぶべく、宣伝会議という出版社が主催する「編集・ライター養成講座」なるものに半年間通っていました。
 
 受講生は130名ほどいて、これからライターや編集者になりたい人、もしくは現職でもさらなるレベルアップを目指す人や、さまざまな動機、年齢の方々が集まっていました。
 
 最後に卒業制作として記事を1本提出するのですが、そのテーマとして僕が選んだのは、「ドラムテック」。取材は、僕のバンド(Glimpse Group)の最新EP『Her Waves』にもテクニシャンとして入っていただいた、北村優一さんにお願いしました。

 ドラムテックという職業に興味を持ったのは、そもそもそういう人たちがいるということを知らなかったのがきっかけです。「ローディー」とも違うし、「ボーヤ」でも「付き人」でもない……初めてお会いしたとき、「あなたは何者なんですか」という旨の質問をしまくったことを覚えています。
 
 そして実際にレコーディングでご一緒したときの仕事ぶりを見て、楽曲にマッチしたドラムサウンドを実現していく過程に、少し衝撃を受けました。いったい、どんな知識があればできる仕事なのだろうか……? 自分が違う楽器の専門であることは関係なく、ひとりの人間として強い興味を持ちました。

自宅とは別に借りている作業場で撮影させていただきました。6畳もないくらいのスペースには、足の踏み場もないくらい楽器がびっしり!

<記事のハイライト>

 北村さんは、人に自分の仕事を紹介するときに「ピアノの調律師のドラム版」と答えることが多いと言います。しかし、ピアノには決められた音階があるけれど、ドラムにはそれがない。ここが大きく違うところです。
 
 演奏者が叩きやすいような楽器の調整に始まり、「こんなかんじの音にしたい」という要望を受け、それに合った機材の提供をすること。ドラムのサウンドメイキングにも筋のとおった理論があって、無数の選択肢のなかから適材適所のセレクトをする職人の仕事の一端をお見せできればと、1本の記事にまとめました。音楽制作の世界にこんな人がいるということを紹介するだけでも、とっても価値のあることのような気がします。

北村さんが所有する楽器の数、はっきり言って異常です……

 そして、この話に説得力をもたせるためにはプレイヤー目線での話も欠かせないと思い、DATS、yahyelなどで活動する大井一彌にもインタビューしました。
 
 ドラマーとしての実力は言わずもがな。地元が一緒で古くからの付き合いでもあるこの男の言葉は、非常に重みのあるものでした。プレイヤーにとってドラムテックはどういう存在なのか、というところにフォーカスしています。加えて、普段から生ドラムだけでなくパッドも多用するプレイスタイルなので、デジタルとの融合という部分でも重要な話が聞けたと思います。

<ふたりの先輩に大感謝>

 さて、卒業制作ですが、皆さん思い思いのテーマで記事を書いておられ、僕も新たに知ることが多く、刺激になりました。

 観光、スポーツ、教育、音楽、絵画、経済など……とてもひとくくりにはできないほど、あらゆるジャンルの記事が集まっていました。

 そんななか、ドラムテックというこのニッチなテーマで受賞はないだろうと思い、途中から「せっかく好きなことを取り上げたのだから、楽しみながら書こう」と気持ちを切り替えていましたが……終わってみれば2名選ばれた最優秀賞のうちひとりになりました。僕に原稿執筆や写真撮影のイロハを叩きこんでくれたふたりの先輩には大感謝です。

今回の取材で衝撃だったもののひとつがこちら。北村さんの所有する1920年代のLudwig社製スネア。骨董品レベルです。日本で持っている人もかなり少ないとのこと

<これからについて>

 インターネットでプライベートなことを言うのを避けてきたのですが、これを機に最低限の自己紹介をしておこうと思います。
 
 僕は今、バスフィッシングの専門誌である月刊『Basser』、フライフィッシングの専門誌である季刊『FlyFisher』などで記事を書いたり写真を撮ったりしています。
 
 いずれもカテゴリーとしては「釣り雑誌」という理解でいいんですが、釣りにもいろいろあって、両誌ともに特定のジャンルの釣りを取り上げる専門誌という位置づけになります。淡水海水問わず、ほぼすべての釣りを取り上げる雑誌は、「釣りの総合誌」と呼んだりします。音楽雑誌にも、ひとつのジャンルに特化したものがあるのと同じですね。
 
 こうした専門誌での経験があったからこそ、今回のようなテーマの記事をまとめることができたのは間違いありません。講座での経験も重ねたので、これからは釣り以外のことにも挑戦していきたいと考えています。とくに、こうした音楽のテクニカルな部分を、わかりやすく解説するようなことに興味があります。noteは、どう運用していくかは未定です……。ひとまず「雑報」と銘打って、いろいろと自由に書けるようにしておきます。
 
 今回の記事で伝えたかったことは、タイトルとリードにほぼ集約されています。書き出しだけ先に公開して終わります。本公開になったらまたお知らせします!■


(タイトル)
言葉にしてたどり着く
理想のドラムサウンド
 
(リード)
音楽制作の世界には、「テクニシャン」と呼ばれる楽器の調整を専門とする人たちがいる。
パソコン1台あればハイクオリティな楽曲を全世界に発信できる今、演奏者とテクニシャンが顔を突き合わせてサウンドメイキングしていくことに、どんな価値があるのだろうか。
ドラムの音づくりを専門とする「ドラムテック」という職業をとおして、生身のコミュニケーションでしか生まれない“理想のサウンド”を追求する世界を紹介する。

▽2024.03.10追記
ずいぶん放置してしまいましたが、こちら公開されています。よろしければどうぞ!
https://www.advertimes.com/20230912/article418552/?utm_source=advertimes&utm_medium=article&utm_campaign=share-url

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