平和な村に突然、連続強姦殺人犯がやってきたらあなたはどうする?『ノイズ【noise】』
※本記事は、「マンガ新聞」にて過去に掲載されたレビューを転載したものです。(編集部)
【レビュアー/堀江貴文】
この漫画は、平和な村に突然やってきた連続強姦殺人犯の物語だ。
私がいた刑務所にも強姦魔はいたが、さすがにA級という比較的刑の軽い受刑者しかいなかった刑務所だったので、殺人までは犯していなかった。 しかし強制わいせつ罪で懲役6年の、とある受刑者の「自慢話」は酷いもので、これまで数十人を強姦してきたという。
日本は裁判員裁判制度の適用が強制わいせつ致傷以上と定められており、挿入ありの強姦ではないケースが適用されることが多いらしい。 なぜなら裁判員の前で証言することを避けるためだ。
強姦されてショックな上に、加害者を追い込むために見ず知らずの人たちの前で自分が受けた酷い仕打ちを包み隠さず証言しなければならない。そのため多くの受刑者がその罪とは比較にならないくらい軽い刑で出所してくる。そしてそれは特殊性癖なので、多くは病気のようなもので治るものではないのだ。
実際私が刑務所で会った連続強姦魔も全く罪の意識はなく、法務官僚が適当に作ったとしか思えない矯正プログラムを形だけ受け、シャバに戻されてしまう。簡単に連続強姦魔が復活するわけだ。
彼は地方都市のショッピングセンターから、夕方の暮れかけの時間帯に、人通りの少ない田んぼの畦道みたいなところで待ち伏せて女子高生などを強姦すると言っていた。それを聞いてすぐに女子達に気をつけるようにアドバイスした。人ごとではないのだ。 抵抗されてもそれが快感に変わるのだそうで、こうなるとどうにもならない。
そんな連続強姦殺人魔が、一見平和なのに人間関係はわりと複雑で訳ありな村にやってきたらどうなるのか、それがこの物語の主題である。
主人公は名産品のイチジクが全国区で当たって経済的には調子が良かったのだが、配偶者とうまくいってなかった。そこに運が悪いのだが、連続強姦殺人魔が出所してやってきた。
もちろん強姦殺人魔自身がそんな経歴を言うわけがないのだが、話し振りなどから怪しさを感じ距離を置こうとする。しかし、同じようにそれを感じた連続強姦殺人魔に配偶者が狙われてしまう。
そこからザワザワする物語がスタートする。 実際のところ彼らは有り得ないトラブルに巻き込まれ予測不可能な、戻れない泥沼にはまり込んでしまう。。連続強姦殺人魔を排除するために。。。