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ついに1巻発売!間違いなく次にくる「カオスなのに王道」な少年漫画『ダンダダン』
【レビュアー/南川祐一郎】
次々と現れる新星にワクワクが止まらない
漫画雑誌とか最近だと「少年ジャンプ+」、「コミックDAYS」などのWeb・アプリを読んでいると、好きな漫画に多く出会え、ワクワクしながら次の号、次の更新を待つっていう楽しさがあると思うんですけど、そこまで応援して好きになった作品が連載終了した時の喪失感ってツライですよね…。
なんならもう「この作品を超える漫画なんて出ないだろうなー」、「読みたいものなくなっちゃったなー」なんてブルーになって、時にはそれで本当に漫画を読むのをやめちゃう人もいるかもしれません。
ぶっちゃけ僕もそれで、ずっと読んでた雑誌をいつの間にか読まなくなっちゃったということがあり、一度やめちゃうとなかなかまた買い始めようって気にならないんですよね…。
ただ、特にWeb・アプリで出版社さんがどんどん新しい作品を投下してくださるようになってから、次々と面白い作品が始まっていて、しかも新人作家さんの連載デビュー作品との出会いがめちゃくちゃ増えたと思うんです。
もちろん連載を経験された先生方の新作も、作品の質がどんどん上がっていったり、前作とはまったく違うテーマに挑戦されていたりと、これはこれでワクワクします。しかし、新人作家さんとの出会いは、また一味違うワクワク感がありますよね!
そして、僕に限らず、今多くの人をワクワクさせてくれているのが、今回ご紹介する『ダンダダン』です。
画力・ストーリー・キャラ・セリフ…すべてが圧倒的!
本当はもっと早くレビューを書きたかったんですが、なぜ今頃? と問われれば、そう、やっと単行本1巻が発売になったからなんです!
この漫画のすごいところは、いろんな要素をごった煮にしてるのに、とんでもないクオリティとバランスで見事に全部をプラスにし、相乗効果で面白さを爆上げしてるところなんです。
・美人で人気のあるヒロイン×地味でSFオタクな少年
・宇宙人を信じないヒロインVS妖怪を信じない少年
・宇宙人や妖怪との激アツバトル
・台詞回しなどちょいちょいどころじゃなくいっぱい挟まれるギャグコメディ
・高校生のドキドキアオハル恋愛
どれかひとつの要素でも十分特徴になりそうなのに、これが全部入ってる。
あと、画力もこれまたとんでもない。
作者の龍幸伸先生は『チェンソーマン』の藤本タツキ先生や『地獄楽』の賀来ゆうじ先生のところでアシスタントをされていたそうで、ただでさえ画力のバケモノだと言われていた賀来先生に「総合的な画力は一番高い」と言わしめるほどの圧倒的な画力を持っています。
そんな超絶画力で描かれているので、もう全コマどこを見てもすごい。
そして漫画にとってとても大事なキャラクターですが、ここのチョイスもひねりが効いていていいんですよね。
ヒロインとオタク少年ももちろん十分魅力的ですし、宇宙人は色々と自由に設定やデザインもできるからまだ理解の範疇なんですが、特に注目して欲しいのは妖怪です。
普通妖怪を描くなら、みんなが知っているメジャーな妖怪を出した方がイメージも共有できて、読者がすぐに設定を理解してくれるからいいと思うんです。しかし、この作品で出てくるのはターボババアとかアクロバティックサラサラとかなんですよ。
「なにそれ?宇宙人と同じように自由にオリジナル妖怪作ってるの?」と思ったんですけど、この妖怪、本当にちゃんと都市伝説とか妖怪としている存在なんですよねw
なんでそんなマイナーなやつをメインに据えてくるの?ってなりませんか?
ただ、これがメチャクチャ怖いし、迫力あるし、キャラ立ちもしまくってるし、ただの理不尽な絶対悪じゃなく、ちゃんとバックボーンまで描かれていて、「なんでさっきまでガチバトルしてた敵の話で僕は泣いているんだろう」と思わされることが、1巻発売の時点の今すでに何度もあります。
ここまでいろんなものがハイクオリティに混ざり合って、奇跡的なバランスで成り立っている。カオスなのに王道と言えるのがこの『ダンダダン』なんです。
まだ単行本も1巻が出たばかりですが、間違いなくこの漫画は爆発してくると思います。まだ未見の方がいたら是非今のうちに追いかけておきましょう!