「この汚部屋、本当に片付けていい?」片付けのプロの言葉に込められた言葉の真意『お部屋は見ての汚楽しみ』
【レビュアー/上原梓】
コロナ禍で空前の断捨離ブームの中、逆に部屋がどんどん汚くなっている仲間はいませんか〜!?
こんにちは!レビュアーの上原です。
コロナの影響でみんなが家に引きこもり、断捨離を進める人が多かった昨今。私はと言いますと、逆にストレスからか余計なものをポチりまくってしまい、いつしか部屋の収納能力を超えたモノに囲まれて生活をするようになりました。
いや、まだ床は見えますよ!? でも、明らかに収納しきれないものが増えている状態。
これはヤバい…これ以上ものが増えると、ゴミ屋敷路線に乗っちゃうのでは…!? と、ストレスを募らせていた、そんなタイミングで出会ったのが、本日ご紹介する作品、『お部屋は見ての汚楽しみ』です!!
お部屋の悩み解決コンサルタント・ニコマル本舗で働く更屋敷保(さらやしき・たもつ)。彼は、「自分の部屋をなんとかしたい」という悩みを抱えた依頼者の問題を解決する、エースクラスの整理収納コンサルタントです。
そんな彼、実は汚部屋が大好き…!
『お部屋は見ての汚楽しみ』(束ユムコ/講談社)1巻より引用
更屋敷さんは、汚部屋を冷静に観察し、分析。その結果、依頼者がどうしてこういう部屋を形成するに至ったのかを「褒めながら」指摘し、ついには片づけコンサルタントとしてはあり得ないようなセリフを言ったりもします。
「この汚部屋 本当に片づけてしまっていいんでしょうか?」
『お部屋は見ての汚楽しみ』(束ユムコ/講談社)1巻より引用
そう。彼は、汚部屋を片っ端から片づけるコンサルではなく、心のつっかえを整理整頓し、なんなら汚部屋を保存し守っていこうとすらする変わり者なのです!
ああ、優しい。彼の言葉は、収納に物が収まりきらなくなった私の心にとっても響く…!
この作品、単に汚部屋を肯定するだけではありません。例えば「収納にストックをつめこみすぎて、本来しまうべきものがしまえない」「大量収納で一見便利な家具が、モノが置きやすいがためにどんどんモノが増え、ホコリもたまり、汚部屋製造機になってしまう」など、ギクッとしてしまうような汚部屋あるあるをたくさん教えてくれます。
それらを読むと、「仕組みが分かったから片づけられるかも…」という気持ちになる人も、絶対にたくさんいるはず!
もちろん、更屋敷さんの思惑通り、「いろいろあってこうなったんだから、無理して捨てなくても良いのでは?」なーんていう結論に達したりもするのです。新しい…!!
さらに、更屋敷さんに片づけを依頼する人たちの、汚部屋を作り上げてしまったそれぞれの背景も、実に多岐に渡っていて面白いのです。中には目頭が熱くなるようなストーリーも…!
圧倒的に「ヤバいもの」という位置づけの汚部屋を否定しない、むしろ肯定すらしてくれる、全く新しいお片づけ漫画『お部屋は見ての汚楽しみ』。多様性が叫ばれる令和にオススメの一冊です!
ちなみに、作中に出てくる表現で言うと、CCR(ちょっと・ちらかってる・ルーム)で暮らす私ですが、ときめくモノに囲まれていることですし、しばらくは無理に処分せずに現状維持でやってみようと思います!!(ええんか…)