世界の半分、贈与税は○%?! 銭ゲバ勇者の税金対策で税の仕組みを楽しく学ぶ『剣と魔法の税金対策@comic』
【レビュアー/澤村晋作】
確定申告。
年末調整。
源泉徴収。
控除。
名前はよく聞くし、税金もちゃんと払ってるけど、実はよくわからない。そんな人も多いかと思います。
僕もよくわかってませんでした。
自分はエンタメ性がないものに対してエネルギー消費が激しく、役所手続きどころかスマホの機種変とかでもぐったりしてしまうタイプですから、税金の仕組みを調べても全然頭に入らない。
しかし、この『剣と魔法の税金対策』の原作小説は、楽しく税金の仕組みがわかるので、社会人としてもとても助かります。
本作はその小説のコミカライズです。
絵でわかるぶん、より敷居が低くなった本作をご紹介。
1・世界の半分の贈与税
「勇者よ、我が配下となれば、世界の半分をくれてやろう」
魔王になったら言ってみたいセリフ第一位ですね。
本作の魔王も、勇者に世界の半分で手を打つよう提案します。これは悪だくみではなく、人類と魔族との停戦を意図したものでした。
とはいえ、勇者が乗ると思って言ったわけではありません。
ところが、勇者が銭ゲバだったので、あっさり同意します。
こうして、世界の半分を勇者と魔王で分け合うことになりました。
めでたしめでたし。
とはなりませんでした。
そんな二人の前に、創造神の使いである税天使が降臨します。
そして告げるのです。
「贈与税がかかります」
と。
なんと、世界の半分にかかる贈与税は55%。とんでもなく高額であります。
それでも貴方なら、世界の半分を貰いますか?
2・世界の半分の税金対策
たいていの人はそう言われたら、まず腰が引けるのではないでしょうか。メリットに考えを巡らすより、桁外れの税金のインパクトが甚大ですから。
しかし、この銭ゲバ勇者は躊躇なく世界の半分を貰うタイプ。それも、絶対にそんな莫大な税金は払いたくないタイプ。
そこで税金対策に乗り出します。
実は贈与税を免れる方法がありました。家族の共有財産であれば、税金はかかりません。ところで、この銭ゲバ勇者は女性で、魔王は男性です。
「こいつと夫婦になればいいわけよね!」
こうして、勇者と魔王は結婚するのでした。めでたしめでたし。
とはなりませんでした。
次なる難関、税務調査が待ち構えていたのです。
3・勇者と魔王の税務調査
税務調査(作中ではゼイムチョウサ)とは、税金が正しく納められているか、税務署(作中では税天使)の調査が入ることです。
みなさんもお察しのことかもしれませんが、勇者と魔王の経理はザルそのものでした。結果、莫大な追徴課税が発生します。
その額なんと、一兆円。
※作中ではイェンという単位ですが、コミックスの帯でも円と書いているので、イェン=円と考えて頂いて問題ありません。
しかも、財政が火の車の魔王領では、とてもそんな額を払えない。このままでは、何もかも差し押さえられてしまう。そんなとき、一縷の望みが見つかります。
税理士(ゼイリシ)です。
古の職業、ゼイリシなら助けてくれるかもしれない……!!
というわけで、白羽の矢が立ったのが、一族最後のゼイリシである少女でした。
はたして、彼女はこの一兆円の追徴課税を、どうにか出来るのでしょうか?
そう、勇者と魔王は、税金対策に成功するのでしょうか?
まとめ
というわけで、このように、楽しい物語を読んでいるだけで、税の仕組みやその意義が頭にするする入って来る。本作はそんな作品です。
本作を読んだら、多くの人がきっとこう思うのではないでしょうか。
「もっと早く読みたかった」
「高校生の時にこんな本があれば」
「子どもに読ませたい」
「経理のみなさんいつもありがとう!!」
フリーランスもサラリーマンも、大人も子どもも、納税経験のある全ての人に、きっと役に立つ本だと思います。