「いい親になれない」と溺れそうな人に読んで欲しい『おかあさん、お空のセカイのはなしをしてあげる! 胎内記憶ガールの日常』
私の日課の一つに、「Instagramで育児漫画を読む」ということがあります。現在私に子どもはいませんし、自分自身が親になりたいのかも正直分からないでいます。
それでも毎日毎日、色んなお母さん・お父さんの日常をみて、たくさんの笑いと涙と幸せをもらっています。三者三様の子育てを見ていると、「そりゃあ色んな人間が育つよなあ」となんだか楽しくなるし、同時に親になった人々の偉大さも日々感じています。
そんな私が出会った育児漫画で、「これは確実に誰かの人生を救うんじゃないか」と思った漫画があります。そして私と同じように思った出版社の方が、それも編集経験のない営業部の方が、熱い思いを持って、なんとか書籍化までこぎつけてくれました。
それが、竹内文香先生の『おかあさん、お空のセカイのはなしをしてあげる! 胎内記憶ガールの日常』です。竹内先生は『友達ごっこ』など描いているプロの漫画家で、現在は三姉妹のお母さんです。
ひぃちゃんの「胎内記憶=お空のセカイ」のお話
タイトルにある通り、竹内先生の長女・ひぃちゃんには「胎内記憶」と言われる「お母さんのお腹の中にいた時や、それ以前の記憶」があります。
竹内先生は、そんなひぃちゃんが教えてくれる”お空のセカイ“の話をInstagramで公開しています。
スピリチュアル系の漫画と言えばそうなるのかもしれません。でも実は竹内先生自身も100%お空のセカイを信じているわけではありません。常に慎重に表現を模索しながら、一つひとつの漫画を丁寧に描いています。本作でも冒頭の著者挨拶に「有る人には有る世界 無い人には無い世界 それでいいと思います。」と書いてあります。それでもこの作品には、竹内先生が想像する以上に、たくさん救われる人がいると私は思います。
『おかあさん、お空のセカイのはなしをしてあげる! 胎内記憶ガールの日常』(竹内文香/飛鳥新社)より引用
ひぃちゃんの語ってくれたセカイのお話、それは「どうしてママのところに生まれてきたのか」「双子ちゃんはどうやって双子ちゃんになるのか」「生まれてすぐお空のセカイに戻ってしまう子」のことなど。ネタバレになってしまうので詳しくは書けませんが、ひぃちゃんの話はどれもなんだかストンと腹落ちするような、「これが真実と信じてみたい」と思わせてくれる希望に溢れた話ばかりです。
「いい親になれない」と思っている人に届いて欲しい1冊
子育て経験も出産予定もない私が、この作品についてレビューを書くことに少し抵抗もありました。それでもこの世界のどこかには、
「いい親になれないのは自分のせい」と自身を強く責めながら、溺れそうになっている人がたくさんいる。
どんな言葉よりきっと伝わるこの1冊を、届けたい人がいる。
そんな人たちを繋げたいという思いでレビューを書きました。あるいは、もしこのレビューを読んでいる人が、私と同じように誰かにかける言葉を探しているのなら、ぜひこの作品を読んで、思いと共にこの一冊を届けてあげてください。
WRITTEN by 本村 もも
※東京マンガレビュアーズのTwitterはコチラ