ヤンキー漫画の新旋風!喧嘩だけではない強さを手に入れる物語『WIND BREAKER』
【レビュアー/おがさん】
『WIND BREAKER』はマガジンポケット(マガポケ)で連載中の作品です。にいさとる先生が描く本作は、ジャンルとしてはヤンキー漫画ですが、みなさんがイメージするそれと一味も二味も違う面白さがあるので紹介します。
人の思いを守るために戦う者たち
『WIND BREAKER』(にいさとる/講談社)より引用
『WIND BREAKER』(にいさとる/講談社)より引用
この物語は、主人公の桜遥(さくら・はるか)が偏差値最底辺の風鈴高校で喧嘩によってのし上がり、てっぺんを目指す…というストーリーではありません。
なぜなら、風鈴高校の喧嘩は常に守るために行われるからです。
・人を傷つける者
・物を壊す者
・悪意を持ち込む者
この掟を破った者を粛清し、街を守る彼らはボウフウリンと名付けられます。漢字で表記すると「防風鈴」。街を守る自警団的な立ち位置で扱われているのです。ボウフウリンの一員として街を守り、英雄を目指すストーリーが本作のあらすじであり、特徴的な部分です。
イケメンヤンキーパラダイス!魅力的なキャラクターから自分だけの推しを探せ!
この漫画最大の特徴は、ヤンキー漫画特有の無骨な見た目のキャラクターがいないこと。間口が広く設計され、老若男女が気兼ねなく楽しめます。
にいさとる先生のインタビューにもありますが、本作は敵味方問わず、カッコ良くて魅力的なキャラクターが多数登場します。
『WIND BREAKER』(にいさとる/講談社)より引用
多種多様なイケメン勢ぞろい・・・
そんな見た目からは想像のつかない、迫力のバトルシーンも見どころです。
『WIND BREAKER』(にいさとる/講談社)より引用
守るために戦う。彼らの勇姿に惹かれることは間違いないでしょう。
喧嘩だけではない強さを手に入れる物語
桜が偶然助けた喫茶店のマスター、橘ことはから「あなたはヒトリだからてっぺんをとれない」と宣告を受けます。
群れることなく、よその街から1人で入学してきた桜。桜は過去の体験から、人から期待されたりすることに慣れておらず、感謝されてもそっけない態度をとります。
蔑まれ、必要とされなかった桜が、ボウフウリンや街の人との交流によって成長していく。これは、喧嘩だけではない強さを手に入れる物語であり、人と向き合うことの意味や意義を読者にも問いかけています。
『WIND BREAKER』がヤンキー漫画に、新たな旋風を巻き起こすことは間違いなさそうです。