「僕ヤバ」は、ラブコメじゃなくて百合なのかもしれない『僕の心のヤバイやつ』
大人気漫画「僕ヤバ」の正しい(?)読み方は"後方保護者面"
今回ご紹介する『僕の心のヤバイやつ』という漫画、通称「僕ヤバ」は、もはや説明不要の大人気作品かと思いますが、作法に則ってまずは簡単な紹介を。
本作は、自己肯定感が低く中二病が炸裂している少年・市川京太郎と、学園トップクラスの人気者で明るい山田杏奈とのいじらしい交流を、読者みんなで見守る漫画です。
読者たちはアイドルのがんばりを壁際や二階席で見守るような後方彼氏面なことはしません。それは保護者のような温かい目です。温かい目で毎回、二人の青春に心臓を撃ち抜かれているのです。
これはラブコメであって、ラブコメ漫画ではない
さて、本作は、いわゆるラブコメ漫画ではあるのですが、一般にそのジャンルの漫画においては、恋の鞘当てをするライバルが登場します。
ところが本作では、そういった三角関係になりそうな存在はいません。
一応、軟派な南条先輩が山田にアプローチをかけたりもしましたが、市川と山田の間に入る余地はありません。
そうして考えてみると、これは恋の鞘当てを楽しむラブコメではない。誰にも二人の間に入ってほしくないのです。
……まてよ。
この感覚、どこかで……。
もしかして、本作は百合なのか……?
もはやWヒロインなのではないか(違)
百合とは、女性同士の恋愛を描くジャンルです。
その百合の間に挟まろうとする男は、鞭打ち100回の刑に処す、とハンムラビ法典にもあります。うそですありません。
でも、それくらい怒られる主張なのは間違いありません。
市川と山田の間に誰も入ってほしくないという感情は、これと同じなのではないか。
ただ、『からかい上手の高木さん』や『イジらないで、長瀞さん』のように、ヒロインと主人公の関係性が極めて強く、間に他者の入る余地がほとんどない作品は、近年増えています。
本作は、そういったジャンルとも少し違い、Wヒロインな作品ではないかと思っています。
もちろん、市川は男性です。
でもヒロインみたいなところあるしな……。
まとめ: 読者はみんな「ヤバイやつ」かもしれない
そんなわけで、僕は過激さのない「ノスタル爺」となって、これからも二人のヒロインを遠くから見つめていきたいと思います。
そう、僕もまたヤバイやつなのかもしれない。
みんなで、ヤバイやつになろうよ……!