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[再録 : REVIEW] Famous Last Words "THE INCUBUS TOUR"

2016年12月5日、気温はマイナス表記となっていたアメリカのユタ州ソルトレイクシティへと行くことになった。ロサンゼルスで乗り換えて日本からは約13時間ほどのフライト、空港から一歩外へ出ると路面の水たまりは凍り、辺りの山には真っ白な雪が降り積もっていた。

空港から20分ほど車で行った先にあるダウンタウンの一角、ライブハウスがならぶ建物の奥にこの日の会場The Loading Dockはあった。アメリカの中での比較的田舎の都市に入るらしいこの街、小さな倉庫のような会場だったが開演前になるとこの日のメイン、ヘッドライナーであるFamous Last Wordsのマーチに身を包んだファンが寒空の下、嬉しそうに話しながら会場を待つ光景が見られた。

前座に恐らく地元のバンドであろう女性ボーカリストのバンドが一組、まずは登場。地元ならではのアットホームなやり取りをフロアの人達と交わしながらショーは行われた。


そして二組目は今回のツアーに帯同しているウィスコンシン州出身のバンドVersus Meが登場。

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以前インタビューを行った、ALESANAのパトリックらが結成した新星のスクリーモ/メタルコアバンドである。9月に発売した1stアルバムからまずは"An American Tale"を披露。元々それぞれのメンバーは著名なバンドで活躍していた人物ばかり、出だしから完成度が違う。少し小ぶりなステージながらも、ダイナミックに統率のとれたステージングを披露する楽器隊。

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クリーンを担当するギターのパトリックの歌声も、まさに音源と差のない美しいもの。

そしてにこやかにフロアを見下ろすフロントマンのジェームスが放つスクリームは、その甘いマスクからは想像がつかない程低く、こちらが震えてしまいそうな迫力がある。

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もう1人のギターであるクリント、そしてジェームスと実の兄弟であるベースのリー、彼らのキレのある動きと演奏もまさに見事の一言。

MVにもなっている彼らの代表曲"Partyblood""Just so You Know"等も披露し終盤には何度もモッシュが巻き起こる。そして最後は全員の笑顔と大合唱のコール&レスポンスの中始まった"(A)tention"、個々の持つポテンシャルの高さを見せつけるステージとなった。


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次に登場したのはジョージア州出身のポストハードコアバンドThe Funeral Portrait。12月の16日に最新作アルバムをリリースするという彼ら。その中から先行で公開されている疾走感のある1曲"The Water Obeyed the Gravity"を披露。ポストハードコアと言いつつもシアトリカル要素を含んだ入り込み易いリズム、そしてヴォーカルであるLeeの声の使い分けや表現力がまた一層目を引く。
彼らを待ち望んでいたファンも多いようで、開始早々から大合唱とヘッドバンキングの連続である。曲のバリエーションも多く、まるでミュージカルを見ているかのようなステージ。


中盤、これまた最新作から先行公開された"Like Father Like Son"ではその伸びのあるサビに酔いしれ。そしてラストは彼らの代表曲である"Casanova"、フロアは更に盛り上がり、サビでLeeが煽ればファンは一斉に飛び跳ね、ラストの大サビ前では全員が手を挙げ歌う光景が印象的だった。


そしていよいよ、トリはこのツアーのヘッドライナーFamous Last Words

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ソルトレイクシティの小さい会場だからだろうか、日本ではまず想像もつかない光景が。ステージに上がるにはフロアの小さい階段を使わなければならないため、メンバーが普通にフロアを通るのだが、他メンバーが機材準備をしている間にヴォーカルのJTがにこやかにファンと会話を交わし、写真撮影に応じていたのだ。寒空の下この会場に来て、1バンド目から前で待機していたファンにとっては最高の思い出となっただろう。

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照明が落ち、大歓声の中ショーがスタート。1曲目は最新作のファーストソング"Trophy Wife"…と思いきや、その曲の冒頭部分をサンプリングした音声が。少しホラーチックな音声の混じった音が鳴り続ける中、それまで背を向けていたメンバーが一斉にフロアを振り返る。

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そこからスタートした1曲目はまさかの"The Show Must Go On"、再生数1300万回以上を誇る彼らの代表曲である。サプライズともいえるこの演出に、叫び声にも近い歓声が沸き起こり会場のボルテージは一気に上がる。撮影をしている私自身でさえ、この曲を目の前で、まさか一番に聴けるとは思わず感動してしまったほどだ。


そこから最新作THE INCUBUSより"Pretty in Porcelain"、そして今度こそ"Tropfhy Wife"も演奏。クールでダークな世界観はそのままに、しかしながら曲中にJTやDr.のCraigがファンやカメラと交わす目くばせはとても優しく人懐っこい。MCでも時折ギターのEvanがふざけてファンに叫び返す等、当初バンドに持っていたイメージよりかなりフレンドリーな一面も見せてくれた。しかし彼らの演奏はそんな一面も覗かせながらも、スピーディかつ正確。

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JTの声に合わせインパクトのあるシャウトやコーラスを挟むBa.のMathew。そして着実なギタープレイを見せるのがバンドのもう一人の要でもあるGt.のTyler。

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JTの盛り上げ方は、やはりこれまで踏んできた場数の違いか、がっつりと観客の心を掴んで離さない。モッシュやWoD、ダイブも巻き起こりファンは大暴れ。

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『皆ありがとう、Salt Lake Cityには何年振りかに来たんだ。でもこんな皆の表情が見れて今日は本当に嬉しいよ。新しいアルバム"THE INCUBUS"を聴いてくれたって人、どれくらいいる?』
手を挙げたファンに微笑みながら『ありがとう、じゃあ次の曲はそのアルバムからこの曲を…』彼が続けた曲は"Your Escape"サビの美しいミドルテンポに聴き惚れたかと思えば、激しいシャウトで再びモッシュが巻き起こる。
新譜からは更に"The Judged"、"The Dark Your Fear in the Night"のシアトリカル要素全開のキラーチューン、そしてこちらも彼らの代表曲である"To Play Hide and Seek With Jealousy"を次々に披露。もはやフロアの熱は収まる気配がない。

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小さな会場の為かステージから引くタイミングがなく、そのままの状態でアンコールも行われた。ファンとのやり取りも愛に溢れたものばかり、ショーの巧みさと本国でのFamous Last Wordsの愛され様を体感できる一夜となった。

〈all photo and review by MARINA ISAMI(TASHIMA)〉

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