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Heart Of A Coward Interview

Heart Of A Cowardが帰ってきた!! それだけで単身ロンドンへ飛んだ日の事を今でも昨日の事のように思い出す。

ミルトンキーンズ出身のこの漢気溢れたメタルコアバンドは、Vo.の脱退とそれに伴うブランクから遂に2018年帰還を果たした——しかしその後のコロナ禍によって再び活動は停滞。けれど彼らは決して折れなかった。
今年9月に待望のフルアルバムをリリース、力強い言葉や音の数々がまるで背中を押してくれるような——彼ららしい作品に勇気づけられたキッズも少なくはないだろう。

今回はそのHeart Of A Cowardを支え続けた3代目のVo.Kaanより、最新作についてやバンドの活動について、様々なお話を聞かせていただきました!


Interview/Translate : Marina
Answer name : Kaan - Vocals


・今回が初めてのインタビューとなります。まず初めに、あなたのバンドについて聞かせてください。Heart Of A Cowardというバンド名の由来を聞いてもいいですか?

こういう機会を作ってくれてありがとう! えっと……気を悪くしないんで欲しいんだけど、このバンド名の由来にそんな大きな意味はないと思うんだよね。多分直訳そのまんまというか。実を言うとこれって2007年結成当初の古いメンバーの中の誰かが選んだらしいんだけど、これ以上はわからなくって😂

(笑)



・Heart Of A Cowardは2007年にミルトンキーンズで結成したとお伺いしました。その頃のミルトンキーンズではメタルやロックなどの音楽シーンは盛んだったのでしょうか?

2007年頃のミルトーンキーンズはめっちゃ盛り上がってたというか、そんなバイヴスがあったよね! Tesseract、Monuments、それにHeart of a Cowardは全てこのミルトンキーンズ出身でね、でもこの3バンドはどれも更に古いバンドであるFell Silentってバンドにルーツがあるんだ。
彼らがUKのヘヴィミュージックシーンの道を切り拓いたと言っても過言じゃないね。Fell SilentのThe Hidden Wordsってアルバムを聴くことを、100%オススメしておくね。このアルバムは完全に時代を先取りしてたんだ!!



・2018年のロンドンショーを観に行ったのですが、とても素晴らしいショーをありがとうございました! Kaanは3代目のシンガーですよね、貴方がこのバンドの一員となったきっかけは何だったのでしょうか?

そうだなぁ(笑)俺がこの質問に答えちゃうのってなんか不思議な気分だけど……、だって俺自身の事だもんね! はははっ。
そう、俺はHOACの3番目のシンガーで、キミの来てくれたロンドンでのショーがこのバンドでの初めてのショーだったんだよね。Tufnell ParkのBoston Music Roomsでソールドアウトでさ! めちゃくちゃ騒がしくって、皆汗だくのショーだったよね。今でも間違いなく最高の思い出って言えるショーさ!

何でバンドの皆が俺を新しいヴォーカルに選んでくれたか、「これだ」っていうのは難しいところなんだけど、オーディション中のクリエイティヴなプロセスがその一因だと思ってる。
俺は二分間の新曲のトラックにヴォーカルをあてなきゃいけなくって……バンドメンバーはオーディションを受けている人間が、実際にどうバンドの中で精力的に動けるのかを見たかったようなんだ。

本当ピンときた瞬間だった。最初のデモを聞いて自然に感じたものを取り入れて制作し始めて、それは凄くオープンでとても楽しいクリエイティブなプロセスだと感じたよ。摩擦や議論はなく、ただ協力して素晴らしいものを作り上げていくことができたんだ! その過程でこれだ……としっくりきた感じかな。
俺たちはこのバンド内でのオープンさを今回のアルバムでも維持していこうと思ってさ、まあ悪くなかったよ。何でも思ったことは全て曝け出すようにして、バンドとしてひとつひとつ前進していったんだ。


・シングル曲Decayをリリースした際、実に4年ぶりのリリースとなりましたが……久しぶりのリリースはいかがでしたか?


凄く達成感があったし、俺たちは自分たちが書いたアルバムをとても誇りに思ってるよ。バンド内でもいくつかの変化があって、長い道のりになったんだけど。最終的にはこれまでよりもずっと強靭になって、クリエイティブなユニットとしてより良く機能的に動けるようになって戻ってこれたかなって。


・ミュージックビデオの色使いや、歌詞の荒廃した雰囲気と世界観に共通性を感じました。これは何かのプロローグでしょうか...それとも共通のテーマがあるのでしょうか?

そう。このアルバムには明確なテーマとコンセプトがあって、すべてを同じような配色と視覚的な雰囲気に収めるように意識的に努めていたよ。
そして今回のアルバムは、全体を通しての歌詞で喪失と死について歌っているね。ここ数年、世界は本当に多くのことを経験した。正直、俺が何か前向きなことを書くだなんてほぼ不可能だったんだ。だから俺は逆にその暗闇を深く掘り下げて、痛みの中に小さく光る美しい場所を見出し、そこから立ち上がれるようなものにしたんだ。


・Heart Of A Cowardは2018年にシングルCollapseのリリースでArising Empireと契約しましたね。この偉大なレコードレーベルに所属したきっかけは何だったのでしょうか? またこのリリース後に受け取った反響や周囲の反応はどうでしたか?

『Collapse』への反響は素晴らしかったよ!
ヴォーカリストを変更して、彼らとの最初のリリースがHeart Of A Cowardのストリーミングや実際のライブで最も人気のある曲の1つになったなんて信じられないくらいでさ、これ以上の反応は望まないよってくらい嬉しかった!
それからArising Empireに所属する話がきて、考えるまでもないくらい全部がスムーズにいったんだ。彼らは熱心に働きかけてくれるし、常にバンドをサポートし、異なる視点や創造的なオプションを提供してくれる素晴らしいチームなんだよ。


・Heart Of A Cowardの楽曲はとてもパワフルかつキャッチーなメロディーを含んでいて個人的にも凄く大好きなんです。また、作品ごとに技術的な要素がどんどん追加されていっている印象を受けます。
音作りについて、現在はどのようなプロセスで進めているのでしょうか?

曲を書くときは、いつもギターのリフや大まかなドラムのパターンを作るところから始まるよ。それを俺たち全員が納得するまで何度も何度も試行錯誤しながら進めていって、より洗練されていくように仕上げていくんだ。

コーラスについても同様で、そこに含まれる特別な感情を上乗せして表現したいと思っていて。コーラスが入る事でその表現がうまく機能するか、「これだ!」って感触が得られるまでアイデアを出し続けるね。 このアイデアがドラムパート、ギターリフ、ボーカルを作成した誰のアイデアから来るかどうかに関係なく、より良い作品に仕上げていく事が全てだと思っているからさ。全員で協力して制作を進めて、俺たちのできる限り全ての事を出しきって最高のトラックを作るよう意識してるよ。


・Heart Of A Cowardの楽曲は、どれもメッセージ性が強いと感じています。前作『The Disconnect』のコンセプトや歌詞のテーマについて教えていただけますか?

The Disconnectには多くのテーマと階層を盛り込んでいて、主に社会的、政治的問題と、あとは個人的な問題に焦点を当てた作品なんだ。
正直今のイギリスはかなりひどい状態にある。特に多くの政治的および社会的決定に対して多くの人たちが反対の意思を持っていて、一体何がどうなっているんだと不満を感じずにはいられないんだよね。だから俺はこのアルバムを、イギリスで自分達の生活が置かれている現状に対する怒りと、そのフラストレーションを発散する機会の一つとして用いたんだ。


・UKのヘヴィミュージックシーンについて、どんな印象がありますか? また現在のシーンに動きについても聞かせてほしいです。

UKのシーンは今メチャクチャ盛り上がってるよ! あらゆる規模感のバンドがそれぞれひしめき合っていて、それこそSleep TokenからArchtectsのようなバンドから小規模なローカルバンドに至るまでね。ヘヴィシーンは今現在のUKの中でかなり強いシーンだと思う。

Heriot、Thecityisours、Forager、Bleed From Within、Malevolence、Pintglassとかね。彼らのようなバンド達のおかげで、シーンは凄く栄えているよ。

俺たちUKのバンドが直面している唯一の問題というと、ライブ会場の閉鎖だったり音楽会場やアートスタジオ等の、そもそものクリエイティブな活動の基盤となる場所への財政的支援の欠如だと思う。 O2 やその他の国際企業のような巨大企業がすべての会場を買い占めて、コストを増加させ、マーチの値段を釣り上げ、ビールの提供金額もアホみたいに上がってるし、イギリス自体で独立し続けることがますます困難になってるよ。それは今イギリスで深刻な問題になってるね!


・コロナ禍はとても深刻で厳しい時期でしたよね。その数年間の中で、貴方がバンドとして活動する上で大切にしていたことは何でしょうか?

乗り越えきった! それに尽きるかな。
新型コロナウイルスはバンドに大きな打撃を与えたし、当時活動していたバンドはほとんどが生き残れなかった。俺たち自身ももれなくさ。健康で創造的なメンタルの状態を取り戻すには、凄く多くの時間がかかったよ。出口が見えないようにも感じたし。だからこうして乗り越えて、あの辛い時期を経た事でこれまで以上に強くなれたことは凄く嬉しいことだよね。

・Heart Of A Cowardはこれまで世界中の色んな国で多くの著名なバンドとステージを共にしていますよね。その中でも特に印象に残っている出来事を教えてください。

これはもう間違いなくTriviumとの出逢いだろうな! 当時俺はまだバンドに加入してないんだけど、メンバー皆がこれまでツアーを行った中で最も素晴らしくて最高のバンドだといつも言っているんだ。凄く親切で色んな事を温かく迎え入れてくれる、全て通してとてもいい人達なんだ。バンドもスタッフも皆ね!!


・日本や、日本のミュージックシーンについての印象は何かありますか?

俺日本が大好きなんだ!!
ずっと前から日本の文化や歴史、エンジニアリング、芸術、武道、タトゥー文化、ポップカルチャー、ゲーム文化、それはもうあらゆるものに憧れているんだよ。
ミュージックシーンに関して言えば、日本のヘヴィミュージックとの最初の出会いはMad Capsule Marketsで、その時俺はまだ10代だったかな、もうヤバいくらい超ハマってて。最近ではCrossfaith、Crystal Lake、Paleduskみたいな日本のバンドにハマってるよ!



・今後の活動予定やヴィジョンについてお伺いしても?

Heart of a Cowardは、2023年9月22日にArising Empireから5枚目のアルバム『THIS PLACE ONLY BRINGS DEATH』をリリースして、そのリリース活動の一環でUK/EUをツアーするんだ。
2024年の初めにもう一度EUツアーを予定していて、その後は夏のフェスティバルシーズンに入るかな。2024年後半には今まで行ったことのない新しい地域へのツアーを予定していて、それに向けて準備しているところだよ。


・最後に、日本にいるHeart Of A Cowardのファンへ、メッセージをお願いします!

まずは心の底から感謝を! 世界の反対側のファンが俺たちの音楽を楽しんでくれるなんて思ってもいなかったし、それは俺たちにとってとてもとても大きな力になっているんだ!!
近いうちに日本でプレーできるといいな! バンドにとっての夢がまた一つ叶うし、皆のためにショーをすることができるのなら本当に光栄な事だと思ってるよ!


ありがとうございました! 『THIS PLACE ONLY BRINGS DEATH』のリリースもおめでとう。そしていつか皆のショーを日本で観られる日が来ますように!



Heart Of A Cowardといえば、群雄割拠のUKメタルコアシーンの中でも多くの支持を得ているバンドの一つ。
前任Vo.脱退からの活動休止、前Vo.のインパクトはやはりファンの中でも大きく、誰もがあの時もうHeart Of A Cowardは戻ってこないかもしれないと心の底で諦めそうになっていた事だろう。

そんな中、そのHeart Of A Cowardを心から愛し、バンドを復活させる原動力ともなったのが今回インタビューを受けてくれたKaanだ。インタビューの言葉の端々から滲み出る、「アツくていい奴」というのは凄く伝わったと思う(笑)
バンドが厳しい局面に立った時も、もがいてもがいて、それでも歩みを止まることはしなかったHeart Of A Coward。最新作はそんな彼らの底力がまさにこれでもかと込められているような作品だった。
これからの彼らの躍進にも期待したい。

私、Marinaの今後の取材や活動費、または各バンドのサポート費用に充てさせていただきます。よろしくお願いいたします!