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POLARIS SPRING JAPAN TOUR 2019 ありがとうございました!

[ All photo by YPK_photo ]

2019年4月12日〜4日間にかけて日本国内を回った、
POLARIS SPRING JAPAN TOUR 2019
w/LANDMVRKS & PALEDUSK

ご来場いただきました皆様、出演してくださった各公演のバンドの皆様、そして会場スタッフ/関係者の皆様、本当にありがとうございました。

MHz FEST始まって以来、過去最高のツアーができたと思っています。


オーストラリアからは、今の若手メタルコアシーンを牽引する存在
POLARIS が自国オーストラリア外では初のヘッドラインツアー

フランスからは、昨年リリースしたアルバムで話題となったメタルコア
LANDMVRKS なんと彼らはヨーロッパ外でツアーをすることが初めてという

そして日本、福岡からはPALEDUSK
ツアー直前に公開したNO!のMV観ました?やばすぎました。ヘッドライナーの事は大好きだけど、それすら食ってやろうという気合いが滅茶苦茶見えた。このバンドはこの先もっともっと化けるでしょう。


始まりはLANDMVRKSとの出逢い

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2018年の4月末。ベルギーのGenkという地域で開催された小さなフェスティバルに訪れたことがきっかけでした。
ベルギー到着10分前、飛行機の中で知ったヘッドライナーBetraying The Martyrsの当日キャンセル。あれは本当にショックで、正直ベルギーまでわざわざ行った意味を50%ほど失った気でいました。
それでもせっかく来たのだから、と気を取り直して向かったフェスティバル。そこに出演していたのが彼ら、LANDMVRKSです。

元々この直前に新曲"Scars"のMVを公開したばかりだったLANDMVRKS。
曲も好みだし目当ての一つのバンドではありました。

他に出演していたのはUKのDEADTHRONE

同じくUKのOur Hollow, Our Home

そしてこの後MHz主催で来日することが決まっていた
UKのOCEANS ATE ALASKA


……あれっ?今思い返してみるとUKバンドばっかだな。
どうなってるんだベルギー。ちなみに地元のバンドはDEADTHRONE以前のタイムテーブルで出ていたよう(当日の午前中に到着した事と、Genkまで電車を乗り継ぎ一時間以上かかったため前半のバンドは残念ながらあまり観られなかった)

そうそう、あとはSTRAINSというドイツのバンドがなかなかカッコよかった。

そんな感じでベルギー特有の言語はわからないし、唯一知り合いのOHOHには全員から可哀想な目で見られるし、OAAにアポを取ろうにも誰も見当たらないし。LANDMVRKS観るのだけが楽しみになりつつあった。


しかしここでまさかの機材トラブル。LANDMVRKS始まるまでに一時間ほど時間を要することになる。どうやらイヤモニからなんの音も聞こえないらしく、Vo.がひたすら"Non"(フランス語の否定の言葉)とマイクで言いながら首を横に振っている。その首にはまぁまぁゴツいネックレス。
この時の彼の姿を見て"インテリヤクザ"と呼んでいたのは私だ、Floすまん。

この時の話を一年後の来日した彼らに聞いてみたところ、本当に会場スタッフがてんでダメで、ケーブルは刺さってないし、違うところにささってるし散々だったそうだ(違うところに勝手にさしていたのは、素人の私が見てもわかるほどだった)。
さて、若干イラだっているようにも見えるメンバー。大柄な人間が多いヨーロッパの中では比較的小柄である。ただその若干アウトローなそぶりが見え隠れすれど、バンドに嫌な印象は全く受けなかった。
そしていよいよ一時間押してLANDMVRKSのショーが始まる。

なんだこれは。
何よりもまず、そう思った。先ほどのトラブルをものともしない、素晴らしいステージ。音源よりもライブが巧いバンドは本物だ、と個人的に思っているのだが、まさにLANDMVRKSはその言葉を体現するようなバンドだった。
『えっとさ、俺たち今日がベルギー初めてなんだよね。ベルギー?ベルジャン?どっち?国名あってる俺?』
そう少し照れ笑いしながら途中MCで話すVo.のFlo。これには驚いた。
そもそも今日の会場にLANDMVRKSのファンはほとんどいない。しかも国自体に来るのが初めてだという。
にも関わらず、だ。3曲ほどが終わった時点で会場の空気と視線は全く別のものに変わっていた。全員がFloのその言葉を、彼の一挙一動を食い入るように見つめている。ギターの音色が、曲のリズムが、何よりFloのその声とパフォーマンスが、観ているものの心臓を鷲掴みにして離さない、そんな錯覚さえ覚えるようなステージだった。
日本に来た時にプレイしなかったOutside and Inという曲がある。
陳腐な表現かもしれないが、その曲のサビで手を伸ばしたFloの背中には翼が生えてるようにすら見えた。それほどまでに惹き込まれる、ものすごい魅力を持ったバンドにここで出逢ってしまったのだ。

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『めっちゃかっこよかった!アルバム4枚ください!日本で知り合いに広めたい!!』
必死に興奮を抑えて、ショーの後にLANDMVRKSのマーチテーブルに行った。そこでFloに最初に言った言葉がこれだ。彼は驚きながらも『ありがと、いいよ値段は2枚分で』とCDを5枚くれた。そっけないように見えて優しいというか太っ腹。なんだこいつ、インテリヤクザ+イケメンか?

ファンとして物販を買ってから……。これはいつも海外公演の時に自分に課してるルールのようなものだ。最初からブッキングやってます、なんて言ったらバンドの態度変わっちゃうからね。
『日本ツアー、興味ないですか?』
そう切り出した私を見るFloの目は『は?こいつ何言ってんだ?』があんまり隠せてなかった(笑) なぜ今日わざわざ日本から来たのか(BTMが一番観たかったとも話した)、そして今のショーがやばかったから是非日本に呼びたい、いろんな人に貴方達を知ってもらいたい!そう話す私を観てFloが笑った。
『てか、Betraying The Martyrs観にわざわざ超遠い日本から来たの!?うっは、マジで!?お前超ついてねぇじゃん!(笑)』
その日会う人皆に残念そうな顔しか向けられなかった私を、いたずらっ子のように軽快に嫌味なく笑い飛ばしてくれたFloに、この時更に好感を持った。その後もいろんなバンドに『なんで日本からわざわざ来たの?』と聞かれる度になぜか現れ、『聞いてやってくれよこいつの話!』と爆笑しながら言うFloにはとても助けられた。いい友達になれそうだ、と心から思った。

その後、帰国してすぐにリーダーであるギタリストのNicoと連絡を取り合い、翌月である5月の中旬にはツアーのスケジュールや契約内容の全てが決まっていた。やんちゃなFlo、しっかり者のNico、皆を支える聞き役のRudy、とてもいいバランスで話を進めることができて本当に助けられた。


実は後から知ったPOLARISの存在

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時を同じくしてオーストラリアの若手メタルコアPOLARISの話が私の元に舞い込んで来た。
別件で仕事の話をしていた某大物マネージャーに、『俺の面倒見ている若手なんだが、絶対この先もっと上に行く子達だ。ぜひ会ってみてくれないか?』と突然話を切り出された。
まぁ、貴方の頼みでしたら断るわけにはいかないじゃないですか…。

そう言ったものの、実はこの時の私はデスコア関連の仕事が多すぎてクリーンのあるバンドを久しく聴いておらず、POLARISというバンドをあまり知らなかった。
“あーこの間THE PLOT IN YOUがオーストラリアで一緒に回ったって言ってたバンドじゃん、あのツアーほとんどソールドしてて凄かったよね…。”
そんな印象しか正直持っていなかった。

マネージャーから打診された期間は、奇しくもLANDMVRKSと話し合っていた4月の2週目。被っているから断ろうとさえ思った。

しかしここでいつも興行を手伝ってくれている子にこう言われる。
「POLARISは絶対にやったほうがいいっす。皆待ち望んでるバンドなので」

その時なぜ私がそう動いたのかはわからない。
ただ、単純に面白そうだと思った。POLARISのあの綺麗なクリーンと盛り上がるライブ、そしてLANDMVRKSのパフォーマンスを同じ日に観られたら最高じゃないか?
気づけばLANDMVRKSのことを全く知らないそのマネージャーへ彼らのライブ達者ぶりを売り込み、逆にLANDMVRKSにもこのツアーをやってみようと持ちかけ、世界初となる両者のツアーが決定した。

いざPOLARISが日本に来ると決まると大絶賛の嵐。
そして音源を忠実に再現する演奏力を兼ね合わせたすごいバンドだった。
いい意味で力の抜けたその人柄やスタイルが、このツアーの雰囲気を一層よくしてくれた。先入観のあまりない私との仕事は、やりやすかったとも言ってくれた。会って2日目でお母さんと言われる羽目になったけど(笑)

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このバンドがこの規模で今ツアーをやれたのは、契約したのが1年前だったからだったのかもしれない。そしてPOLARISがPOLARISでいてくれたから。だからこそ実現したツアーだったと思う。
きっと彼等はこの先もっともっと大きくなるだろう。

PALEDUSKへの感謝

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今回のツアーへの参加を、地元が同じであるPALEDUSKはまさに勝ち取ったと言ってもいい。詳細は彼らのことなのでここでは省くが、その想いがPOLARISのマネージャーの首をやり取りの1ターン目で縦に振らせるものになるとは想像もしなかった。純粋に、彼等の帯同が認められ、ロゴも掲載していいと言われた時は嬉しかった。

糸口を見つけたのは私かもしれない、きっかけをくれたのはこのカップリングツアーの提案を聞き入れGOサインをくれたマネージャーかもしれない。ただ、今回のツアーでPALEDUSKは最高の結果を出してくれたと思う。

共演したバンドの国へ呼びたいと思ってもらえること
共演してるバンドに日本の子がfeat.すること


どちらも、今回のツアーでPALEDUSKが叶えてくれたことだ。
それは私が海外のバンドを招聘する上で観たくて観たくてたまらなかった景色でもある。

彼等のステージもとても素晴らしかった。
話題となった新曲NO!はもちろん、発売した新譜の曲全てにそれぞれ味があり、聴くのが楽しみになっていた。

POLARISもLANDMVRKSも彼等のことが大好きで、帰国する直前までPALEDUSKのことを話していた。絶対に日本に帰って来たらまたPALEDUSKと回らせてくれ、そうメンバー全員が言い出すほどに。

何より私たち運営陣がとても助けられた。
比較的真面目で歳も上のLANDMVRKSと元気一杯で話の止まらないPOLARISが仲良くなれるか少し心配していた私だが、上手く両者を引き合わせてくれた。そのおかげで日本のファンが見ることができたのが、あのFat Lipのカヴァー。
本来、あの曲はセットリストに記載していたものの、やる予定のなかった曲。しかし、共演バンドからの『いいじゃん!やろうぜ!』という言葉で急遽後半の3公演でやることになったのである。
あとはご存知の通り、無法地帯気味の動物園のようなステージを見た人も多いと思う(笑) あれがまさか日本で、自分のツアーで見られるなんて思いもしなかった。

そして連日人も多く、対応に追われる私達の手の回らないところを楽しみながらカバーしてくれた。日本語が読めない彼等をご飯に連れて行く、その一つの行動がまず本当にありがたかった。
そして裏方として日々機材や物販を運んでくれたメンバーやスタッフの皆にも心から感謝を。

海外のバンドが好きな人に心ない言葉を向けられることもあった。
しかし、いくら海外のバンドを日本に呼んだとしてもここは日本で、日本ならではのバンドやシーンが存在する。日本のバンドはいらない?そんなことはない、自国のバンドをハナから否定して外の世界ばかり見るのは違うと思うのだ。私がこの3バンドをパッケージツアーとして提案して組んだその理由が、自国の同じ言語の人にほど伝わっていなかったかもしれない事実は少し寂しい。
でもそんな気持ちも連日PALEDUSKは吹き飛ばしてくれた。それは観た人には十分すぎるほど伝わっていたと思う。
彼等がいなくてはこのツアーは成し得なかったのだ。

駆けつけて手伝ってくれた人達。カメラクルー、ドライバー。派手なことをするわけではなく、自身がステージでパフォーマンスをすることのないそんな人達にも。皆に助けられてやり通せたツアーでした。

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最後に。

このツアーを終え、残り2本のツアーでMHz FESTは終わります。
誰かの残した傷跡や置き土産はあまりにも大きすぎた、今回のツアーがとても素晴らしいものだったとしても、それでもまだ返しきれないほどの。私にはまずそれを全て返しきる義務があります。


POLARISにもLANDMVRKSにも、楽屋やホテルのロビーで説得された。
やめないでくれよ、と。また一緒にツアーしたい、と。
その言葉はとても嬉しくて、とても励まされた。
今だから言えるけれど、彼等は私の身に何が起きたのか知って、それでも私を信じて日本に来てくれたバンドだ。その行動が、どれほど周りの人達へ影響を与えたか、救われたか、彼等自身は知らないだろう。

あれほどレベルの高いバンドだからこそ、次はもしかしたら大きな場所でやって来ることになるのかもしれない。
その時はその時で、笑って観に行きたいと思っている。
彼等は表現者であり、夢に向かって努力する子達であり、一人の人間だ。
その彼等の一つの思い出になれたのなら単純に嬉しいし、だけどそこに縛るべきではない。どんな道に行ったとしても、手の届かないような存在になったとしても、ずっと応援していたい。

MHz FESTは終わるけれど、全部が無になるわけじゃない。
何かの形でこの縁が残り続けて誰かの支えになるのなら嬉しい。

またいつか、日本で彼等の素晴らしいステージとあの笑顔が見られますように。

そして何処かの国で、この3バンドが出会った時にまた楽しく過ごせたり、一緒に世界を旅する仲間となれたらいいなと思う。

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皆、またね:)

私、Marinaの今後の取材や活動費、または各バンドのサポート費用に充てさせていただきます。よろしくお願いいたします!