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Wacken Open Air 2017 レポート①

8月3日 -W.O.A 初日-

[レポート:MARINA 撮影者:MARINA & GIRU]


いよいよWacken Open Airの本戦初日となる3日。この日はメインステージ一番初めのSKYLINEのショーが15時から。
だから12時くらいまで爆睡しよう!と言っていたものの、朝7時には周りのテントから大音量のメタルが、バーベキューの音が、笑い声が……。
結構な大人数で来ている人も多く、10人くらいのおじさんの集団が朝食を囲みながらFire From The GodsやHatebreedを流している空間が個人的に最高だった。

それから隣の大きなテントには男女6人組。結構若い人達のグループやデスコア/メタルコアキッズに出会う。毎日シャトルバスで見かけたお兄さんもThy Art Is Murderのマーチを必ず身に着けていて、こんなメタルの聖地のような場所でもデスコアキッズに会えたことが嬉しかった。ヨーロッパで絶大な人気を誇るオージーメタルコアParkway Driveのマーチは勿論、デカいパッチをデニムジャケットに貼りつけた完全なるParkway Drive戦士が何人も居た事にも結構テンションが上がる。同行していたGiruちゃんも「本当だ~、Parkway Drive結構見るね」と驚いていた様子。ちなみにこの年のWackenにParkway Driveは出演していない、それでもかなりの確率でロゴやマーチを見かけたことに驚いた。

準備をして昼前にはインフィールドへ。
VIP/PRESSエリアにあるサンドウィッチ屋で朝食。いわゆるサブウェイ形式。せっかくヨーロッパに来たんだし、とここで私はヴィーガン仕様のサンドウィッチを注文。野菜マシ、ドレッシングはアボカドソース、ヴィーガンチーズって美味しくないよとヴィーガンじゃない知り合いに言われたことがあるんだけど、せっかくだしと思い入れてもらう。

それからバースペースのカウンターにあったスパークリングティー(干しぶどう味)も一緒に…。ちょっとお酒みたいでオシャレ(筆者はお酒が飲めない人間である)ただ結構な渋さと酸っぱさがあったので、別フレーバーだったシトラスの方が好きでした。

……う、うまい!!普通に何にも意識せず食べられる。チーズも全く違和感なし。これで€4.5だしサイズもヨーロッパサイズだからとても得した気分になる。

とにかく広い!THE HOLY WACKEN LAND

さてここで、Wacken Open Air 2017のステージエリア"THE HOLY WACKEN LAND"をご紹介しよう!

・巨大なメインステージ①FASTER ②HARDER(交互にショーが行われる)
・メインエリアのサブステージ的な③LOUDER(ここは①②のどちらかがショーをしている同じタイミングでショーが行われる)

・メインエリアから走って10~15分ほどの位置にあるWACKEN PLAZA内にあるテントステージ④HEADBANGERS STAGE⑤W.E.T STAGE

・骨董品店や飲食店、ヴァイキング系のお店が並ぶWACKINGER VILLAGE内にある⑥WACKINGER STAGE (The Dillinger Escape Planがこのステージに出演していた。足場も最高に泥んこでハードコアなショーが多い印象)
このエリア内にはパフォーマンスショー等が行われる"25"WESTLAND STAGEもある

・メインエリアとWACKEN PLAZA/WACKINGER VILLAGEの間にあるマーケットエリアの端にある⑦BEER GARDEN STAGE 。ここはバグパイプやお客さん参加型のカラオケステージ、ソロアーティストやトークなんかも行われるらしい。


残念ながら広さと遠さで初日の夜に少し覗いただけになってしまった。
こんな広いエリアを全部見るのは正直不可能(泣)
観たいバンドの出演時間が重なると涙モノである。実際いくつか観たかったバンドが観れずにちょっと悔しい思いをしたことも。PRIMAL FEAR観たかった!

メインステージの撮影の前にまずは雰囲気を掴もう!と、向かったテントステージエリアでは、Metal Battleの本戦がこの日も行われていた。Verge Of Umbraというバンドがちょうど次のステージだったので撮影。Giruちゃん、初のショー撮影である。

曲はミクスチャーコアに近い感じかな?ツインボーカルのバンドでした。
名前は聞いた事があるけど、実際に曲を聴いたのは初めて。そしてここで、予想以上にステージとの間に幅があって、持ってきた単焦点レンズ3つがほぼ役に立たない事が判明。この年に参加したアメリカのWarped Tourの要領でいけばいいと思っていたら、ステージのサイズも規模も全てがケタ違い。勉強になりました…。

そしていよいよメインステージのエリアへ!


メインエリアがオープンすると今か今かと待ち構えていたお客さんがステージに向けて一斉に全力疾走!これYouTubeで見たやつだ!と一人感激。
そしてこの素晴らしいフェスティバルの原点ともなった地元バンドSKYLINEを見よう!と歩き出すも…ここで突然の大雨。慌てて持参していたカッパをバッグパックごと上からかぶり、ステージ横の風を防げる場所に避難。
同じくカッパを着たセキュリティのおじさんに『ようこそ!これがWackenさ!』と爽やかに言われる。土砂降りだけど。
『こんなのはね、まだまだレベル1だよ…(その瞬間物凄い風と雨にグレードアップ)あ、これレベル2ね。でも大丈夫、雷雨と暴風雨がレベル3だから!』
朗らかに言われたけれどこっちは全く笑えない。Warped Tourで経験したスコールがレベル0.7とかに感じるほどの大雨。屋根のあるところに避難する人達もいれば、それでも最前列に陣取ったまま根性で動かない人達に心の中でエールを送った。
これ、最終日のAmon AmarthでTwilight Of Thunder Godとか召喚された日にゃ終わりなんじゃねーの?と1人震える。カメラカバーは用意したものの、Warped Tourの時みたいにどっかのセンサーがヤラれたら本当におしまいである。雨が凄すぎてカメラも携帯も取り出すことができなかったのでこの時の雨の凄さをお伝えできないのが残念。

なんとかSKYLINEが始まる頃には雨も止んだ。

綺麗な声とピュアな音、SKYLINEのショーにはゲストも何人かいて、聴いた事のあるオールドなメタルソングを堪能。とにかくVo.の目が澄んだブルーでとても綺麗だった。ちょっと知り合いのギタリストに背格好が似ていたのでニマニマしてしまう。

いいなぁ、地元の人達とこうやってフェスティバルを作り上げて、30年近く一緒にバンドして歳とっていくわけでしょう?かっこいいな、そういう生き方。
世界的に売れて売れて大物になるっていうのも一つの成功だと思うけど、こうやって人生に添うように音楽をやっていける姿って素敵だと思う。

[ SETLIST ]
1. A Touch Of Evil (Judas Priest)
2. Welcome To The Jungle (Guns 'N' Roses)
3. Bombtrack (Rage Against The Machine)
4. Hush (Joe South)
5. The Trooper (Iron Maiden)
6. Here I Go Again (Whitesnake)
7. Gutter Ballet (Savetage)
8. Wacken Hymne(We Are The Metalheads) (w/Doro Pesch)
9. All We Are (Warrock)(w/Doro Pesch)

偉大なメインステージのSKYLINEですっかりメタルハートになった私達はテンション高く一旦メインエリアからPRESSテントへ…。と思いきや、先ほどの豪雨で足元がかなりぬかるんでいて全く足取りが軽くならない(物理的に)。

粘土みたいになってる地面に、なんじゃこりゃーと思いながら歩く。長靴はいといてよかった…。それは次の日に更に痛感することになる。

この日の昼食はアジアン屋台で焼きそばをセレクト。海外に行くとアジア系の味が無性に恋しくなってしまう。友人はタイカレー。以後、この屋台のタイカレーが美味すぎて二人してハマる。

メインエリアの音を聴いていると、この日私が着ていたロンTのロゴと同じTシャツをきた長髪のお兄さんが後ろから1人歩いてきた。
『わぁ!Analepsyだよね!!?』
Vo.のDiogoとまさかのここで初対面。ゴメン、私手に焼きそばのカップ持ったままだったわ、なんかゴメンこんな初対面で。自分達のマーチ着てるアジア人に逢うとは思わなかったらしく、驚きつつも喜んでくれた。Wacken前にインタビューをしたDr.のTiagoがこの日誕生日だった事もあって、とっても会いたかったんだけどこの時は別行動していたらしく結果会えず。
Diogo、公式のムービーとかで見るより何割増しって感じで爽やかなお兄さんだった(ブルデスバンドです)渋滞で見れなかったから絶対に今度こそはショーも見たいし写真撮らせてね、と約束してお別れ。

その後、モンスターエナジーのブースで赤いマカのフレーバー飲みながらメインステージに出演のEUROPEのステージを堪能。
もうこれが最高!歳とってもかっこいい!(第二弾)
ここで一時間ちょい、彼らのステージを全曲聴いて最高な気分に。

ショーも終盤になってくると聴き覚えのあるイントロが流れ、大歓声と大量のメロイックサインが。そう、彼らの代表曲The Final Countdown

大歓声に鳥肌が立った。
そして思ったのがWackenはスマホを掲げているファンがあまりいない。上がるのはいつもメロイックサインか、手に持っているのはビール。
昨今のスマホで一生懸命写真や動画を撮るオーディエンスを見慣れていた私にはなんだか新鮮だったし、これぞメタルフェス!という気さえした。

EUROPEを堪能し、明日撮影のステージを視察。
この日はまだLOUDER STAGEがオープンしておらず、のどかな雰囲気。

それからタイムテーブルの丸かぶりしてる夜のVOLBEAT観るかNAPALM DEATH撮りに行くかで散々悩みながらPRESSエリアで休憩。
メインエリア出演のACCEPTも名前はよく聞くし、好きそうだと言われることもあったのだが、知ってる曲はMETAL HEARTのみだし如何せんファンが怖いイメージがあったので実は食わず嫌い的な感じで今までちゃんと聴いたことがなかった。
せっかくWackenに来たのだからゆっくり座って大人しくモニターで観ようという事に。

……カッコよすぎる!!(泣)
歳とっても…というかなんだこのかっこよさ!ゲキ渋!(この日3回目)
ちなみに映像内では空がまだ明るいけれどこれで夜の20時過ぎ。

なんだこれ、2人して大興奮である。勿論曲は最高だし、全てがカッコいいんだけど上手にいるスキンヘッドの背の高いギターMr.Wolfがありえんカッコよさとスマイルを醸し出してた。何あの人、あんな素敵なお父さんがほしい!完全に2人の意見が合致。写真の現像も忘れて画面にくぎ付け、Gtが映る度に大喜び。
そのままモニター越しにACCEPTを堪能しながら1時間半ほどが経過し、オーケストラのステージも遠目に見て後ろ髪を引かれつつ、私はNAPALM DEATHを撮りにメインエリアとは逆のテントステージへ。
オーケストラとコラボしたMETAL HEARTが素晴らしすぎた。帰国後、すぐにアルバムを購入しましたよ。
ここでVOLBEATを選択したGiruちゃんとは一旦別行動。

今思えば「ぬかるんで脚は重くなるけど、せっかくドイツまで来たんだから撮れるチャンスのあるバンドは全て撮っておこう」の精神が良かったと思う。
テントステージエリアに着くと…。

えっ……ナニコレ、ガチ宗教?これがブラックメタル?
後から調べるとコンセプトが宗教チックなだけで本物の悪魔崇拝バンドではないらしい、ポーランドのBatushkaというブラックメタルバンドのステージに遭遇。
ただもう世界観が凄い、何言ってるかも一切わからない(日本の方がインタビューされている記事を、この記事を書く前日に見つけたのだがアレはスラブ語だったらしい)、おふざけ要素など一切なく、何ならステージの上にいる人物は全員仮面かベールのようなものを身に着けていて表情すら一切わからない。目に映るものが衝撃的すぎて正直軽く引いていた。
ただ、ただ物凄く曲がカッコいい。発狂気味に盛り上がっている最前列付近のファンがいた事も相まって、ガチの宗教かと思ってしまったけど、普通に滅茶苦茶カッコいい。手以外は微動だにしないのに滅茶苦茶速いギターや、後ろにいる聖歌隊?の低く響く声がまた耳に残る。最後は祭壇に置かれていた肖像画のようなものを掲げ、各方面に礼をし、まるで儀式やミサの終焉のようにステージが終了した。
ゾッとするほどカッコいい、というステージを久しぶりに見た。
しかもこの衝撃が凄すぎて、この後に同ステージに出演したMayhemの存在が脳内からかき消えてしまい見逃してしまった……。

Batushkaの恐ろしい余韻を引きずりつつ、NAPALM DEATHのステージへ。

Vo.大暴れ、健在です。まさかのWackenの地で目にする鉄アレイのTシャツに一人テンションが滅茶苦茶上がる日本人(笑) なかなかレンズの中に納まらないVo.の動きを追いかけつつ、何とか撮影。

とにかくNAPALM DEATHすげぇ!!って言葉しか出てこないステージでした。さすがメインステージに出演した経験もある重鎮。轟音。轟音。イギリスのバンドだということをこの時初めて知る。

テントステージを後にし数曲でもVOLBEATを聴こうかなとメインエリアへ移動。足元の泥が沼みたいになって歩くだけで体力を奪われる。お腹もすいてヘトヘト…と、この時点で23時を回っていたため何か食べながらマーケットエリアでVOLBEATを聴く事に。


Wackenで売っているケバブが大きくて気になっていたところ、ちょうどステージも見える場所にヴィーガンケバブを出している屋台があることを思い出しそこへ。

肉もソイミートを使いつつ、生野菜たっぷりでボリュームも凄い。ちょっと玉ねぎが辛かった。
自分の顔半分くらいあるケバブを食べていると、ふと視線を感じて斜め前を見る。お揃いのウインドブレーカーを着た欧米系の男女が不思議そうな顔をしてこっちを見ていた。首を傾げると視線を逸らされたので、まぁいいやアジア人珍しいんだろうと思ってVOLBEATを聴く。やっぱりVo.の声が良い、夜空に突き抜ける爽快な歌声。飯は旨い、音楽は最高、なんて幸せな時間だろう。1人なのに楽しくてニヤニヤしてしまう。

何気なく先ほどの2人組の背中が目に入る。スターバックスのロゴを更にアニメチックにしたような…イラストの女の人綺麗だけど顔厳ついなぁ…隣に描いてあるクジラはゴンドウクジラかなぁ……ん?
あーーーーーー。(納得)
ウィンドブレーカーのフード部分に隠れている文字はシーシェパードのものでした。日本人に見える奴がヴィーガンのフード食べているのが珍しかったのでしょうか…。ちょっとお互いを気にしつつも、隣同士でご飯を食べ、素晴らしい音楽を聴いてる。音楽は何の変わりもなくて素晴らしくて、なんだか不思議な空間でした。

Wackenに来て1日目、感じた事

Warped Tourの時はどちらかというとLGBTに関する発信をする人が多かったけれど、Wackenには当たり前のようにシーシェパードのパーカーやTシャツ、ジャケットを着ている人が沢山いた。もちろん、今年はVo.のサムが団体の親善大使を務めているArchitectsもいるし、私の大好きなHeaven Shall Burnだってシーシェパードサポーターバンドだ。日本人の私からしたら嫌がらせや漁船に体当たりしてくる人達の印象が強いけれど、この人達の思想って根本はどういうものなんだろう。あれだけポジティヴなステージを披露するParkway Driveもそうだし、海を愛する人達もそこには含まれているのかもしれない。もしかしたら、お互い過激な面をピックアップし過ぎなのでは…?とすら感じた。

以前にヴィーガンに対する文章を書いたり、ArchitectsやHeaven Shall Burnが大好きだと言っているのでそっちの人なのかと問われることがある。でも別に私は何かの思想に従ったり囚われるつもりもなくて、純粋に私の好きなバンドたちが支持している考えとはどういうものなのか知ってみたくなっただけなのだ。私は日本人だし、クジラを食べた事だってある。別にヴィーガンでもない、シーシェパードの人達に嫌がらせを受けた日本の漁船を見たらとても悲しくなる。ハッキリ言って思想の違いで喧嘩することが、それを見るのが大嫌いなだけ。別に誰がどんな宗教を信じていたって、ライフスタイルを選んでいたって良いと思う。私はただ単に彼らの音楽がとても好きで、だけど彼らに心酔して考えまで傾倒するつもりはない。自分の目で見て、自分で考えるから。
日本は島国で、昔はたんぱく質の摂取が今よりもとても難しかった。そんな国のライフスタイルと国外の土壌の違う国の人達の呼びかけるもの。国というか地域というか、それによって掲げているものや訴えかけるものの比率もまた違うんだろうなと思った。どちらが正しいなんて私にはわからない。

だけど、そんな多種多様な人がいて、足元も天気も不安定な中、私が見る限りでは誰も喧嘩なんてしていなかったし皆が純粋に音楽を、メタルを楽しんでいた。それって本当に素晴らしくて尊い空間だと思う。
モッシュピットのマナー?モッシュのやり方が違う?バンド毎のルール?
そんなの誰も気にしてなかった。隣にいる人達と、ただ純粋にひたすら楽しんでいた。
規模もそうだけど、Wackenは皆の心も豊かに大きくしていく場所なんだろうな~とそう感じました。

ーー続くーー

私、Marinaの今後の取材や活動費、または各バンドのサポート費用に充てさせていただきます。よろしくお願いいたします!