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都市計画と環境政策が近づいてきた

先日、国土交通省が主催している「GX Creation Meeting 都市と緑とカーボンニュートラル×世界の都市政策の最前線」というセミナーを受講しました。私はオンラインで講義のみ参加しましたが、現地参加であれば参加者でグループディスカッションもできるようです。

金曜の午後、有給休暇をとり、ほんっとに久しぶりにセミナーを受けました。日々の仕事と育児だけでは思考も狭まっていることを感じ、新しいことを知りたいという欲で、当セミナーをたまたま見つけたときポチッと申し込んだわけです。

“都市と緑”、“カーボンニュートラルと都市政策”というキーワードについては、実は、私は大学と大学院で環境工学と都市計画を学んでいたため、ドンピシャに関心があるテーマでした。

セミナーの中では、世界中の多くの都市で、カーボンニュートラルに向けて、都市分野での具体目標・計画を定め、都市を大胆に変革する動きが起きているというお話がありました。

東京大学の小泉先生のお話では、欧州やアメリカにおいては、日本でいう都市計画マスタープランや地区のマスタープランで環境面の具体の目標が立てられていたり、欧州では2050年までに緑地を5%増やすことが法律で定められているということでした。

私は、学生時代、環境工学と都市計画を学びましたが、卒業後、地方自治体に就職し、都市計画の部署も経験し、思っているのは、地方自治体の仕事の中では都市計画と環境政策は遠く離れているということです。都市計画は都市計画部門の部署が、環境政策は環境部門の部署があり、たいていは部や局が異なっています。都市計画では都市計画マスタープランが、環境政策部門では環境基本計画が、それぞれ最上位の計画として掲げられています。もちろんお互いの計画において、例えば都市計画マスタープランでは、緑や環境に関する記述はあります。緑地や生態系を守ろう、であったり、環境に優しい持続可能なまちづくり、といった文言は出てきますが、具体的な数値目標を定め、都市の政策の中で環境政策を実行するのは現状難しいのだと思います。

その理由として考えられるのは、セミナーの中でもお話がありましたが、環境に優しいまちづくりって総論賛成各論反対になりやすいことがまずあります。

一方、面的な都市ではなく、単体の建物で考えたとき、住宅で言えば、省エネルギー性能を備えた「長期優良住宅」は住宅ローンや税金の優遇があり、個人にもインセンティブが働くので取り組みやすいと思います。

しかしながら、面的な都市計画で考えると、日本では如何せん所有権、私有権が強く、あまり強い規制をかけられません。それに、緑地って管理が大変でコストがかかります。大きな開発なら緑地の分容積率のボーナスを組み合わせればインセンティブも生まれますが、個人の宅地レベルでは厳しそうです

国土交通省では今年度「都市環境課」が発足したようで、自治体でも都市計画と環境が近づく日が来そうです。久しぶりに自分の関心がある分野のことをアップデートできた気がします。このセミナーはあと何回か続くようなので、また受講してみようと思います。

ではまた。