思い通りには…
元旦早々風邪をひき、その後体調が回復しないまま今に至ります。
編曲が遅れてしまったのでパソコンに向かって楽譜を作っていますが、何度となく楽譜の修正をする始末です。
普段なら絶対間違えないような基本的な音楽用語すら間違えていますし…。(D.S. al CodaとすべきところをD.S. al Fineにしていたり…)
そんなこんなで余計に時間がかかっています。
全曲書き譜
次のライブは15曲ありますが、アドリブで演奏できない(書き譜ならできる)奏者が数名いるため、全曲書き譜です。
そしてその譜面を全曲自分が作るので、編曲も全曲自分がやることになっています。
書き譜と言うのは、いわゆるオーケストラの総譜のように全パートの音がすべて書かれている楽譜のこと。
一般的なポップスの譜面は、各シーン最初の数小節だけ基本パターンを載せて「こんな感じでよろしく」ということが多く、アドリブは全部お任せです。
しかし書き譜ではそれができないので、アドリブも音符で記載して渡すということになります。
そのため厳密にはアドリブではなくアドリブ風の旋律であって、「アドリブは頼めば書き譜でもらえるもの」と勘違いされても困ります。
お任せでは省略表記が使えるので、場合によってリピート記号(一番括弧など)も使えるのですが、全編書き譜となると繰り返しが使えないので、その分楽譜も長くなります。
アドリブができる人からしてみたら、事情を知らなければ「繰り返しで良くない?」と言われてもおかしくない譜面ですが、全く同じアドリブを2回弾くだなんてありえませんからねぇ…。
自分とは違う世界
自分は音楽に関してそういった「どちらかしかできない」ということがなく…。
演奏なら書き譜でもアドリブでも構わないし、編曲はオリジナルアレンジも原曲準拠のアレンジもできますし、そもそもクラシックもポップスもやってますし…。
演奏家は「音楽ならなんでもござれ」というのが普通だと思っていたのですが、現実は全然違うことを知りました。
演奏では、どちらかしかできないという奏者が多いことに驚きました。
書き譜しかできない(アドリブ無理)、逆にアドリブしかできない(書き譜無理)。
そして、オリジナルアレンジの譜面を渡すと楽譜からどんな曲か想像できない奏者も多いです。
音楽に限ったことではないとは思いますが、自分で考えて想像して、自分ならではの表現を追求できる人はごく一握り。
今までそういうことがなかったのは、ベテラン勢とご一緒することが多かったからかもしれません。
お客様のために
ライブは、お聞きいただいているお客様に良い時間を過ごしていただくために、音楽を届ける側はできる限りのことをするものです。
全曲書き譜というお題も、お客様に良い演奏をお届けしたいからこそできることでもあります。(時間がかかる作業なのですけどね)
ただ、奏者が譜面に雁字搦めになってメトロノームのようにやったとしたら、楽譜をなぞって鳴らしてるだけで、それは演奏とは言えません。
要は棒読みですが、それなら打ち込みのほうが正確ですし、揺らすこともできますから思い通りの音楽が作れますし…。
音楽に自由な余白を作ってこそライブは楽しいのですが、書き譜にすればするほど余白が減るので、アドリブができる奏者たちでその余白を表現する方向性で編曲しています。
こういう編曲をするのも珍しいと思うので個人的には楽しんで取り組んでいますが、体調が悪いのが困ったもので…。