
で、SurfaceLaptopStudioは誰向けのPCだったのか
誰向けだったんだんだろうね。
SurfaceLaptopStudioとは
Microsoft社のPCブランドSurfaceシリーズのラップトップ最上位モデル
SurfaceBook3の後継機。いずれの特徴も、ラップトップ型での利用と(ギミックは異なるが)タブレットモードへ変形できる変わり種2in1モデル。
公式サイトクリエイターにも開発者にもと書いてあるが真の購買層は不明。
誰向けのSurfaceなのか
解像度問題
私はまじで購入して画面を点灯するまで気が付かなったが、SurfaceLaptopStudioは近年のハイエンドラップトップとしては画面解像度が高くない。14.4インチ(アスペクト比3:2)201ppi。解像度と精細度はディスプレイサイズの関係で変わってくるのでppiで比較するとSurface3、SurfacePro8が260~267ppiみたいなので、従来機や(価格、処理性能の比較だが)下位モデルよりも画素密度が低い。というかSurfaceBook3 13.5インチモデルより画面解像度が低い。どういう事?
スマホが2Kなのか4Kなのかはぶっちゃけようわからん、みたいなところがあるが14インチもあるとはっきりとこの差は目視で分かる。
なんでこうなったのか、技術的な問題と思いたい。20万以上するPCでそこをケチる意味が分からない。消費者なめてるだけだったらさすがに泣いちゃう。
さすがにフルHDなどと比べると別世界ではあるが、これは使う人によっては致命的な気はする。
絵を描く板としてのSurfaceLaptopStudio
私はクリエイターではないが、PCやタブレットで絵を書くことはある。
まず普通に絵を描く、という観点で行くと、SurfaceLaptopStudio+Surfaceスリムペン2を使いタブレットモードで利用することになる。
大前提としては前述の解像度問題はあるが、個人的には絵を描くという観点ではそこまで気にならない。それよりもタブレット端末としては非常に重たい、ディスプレイが軟質であることの方が気になった。
前者の問題として、SurfaceLaptopStudioは重量が1.7キロほどあるのでタブレットモードにして抱える形で絵を描くのは困難である。きちんと机に置いて使う必要がある。また、OSがWindowsなのでWindows用というかPCOS用のイラスト描画アプリは基本的に左手にキーボードを宛てながらショートカットを併用して利用するUI設計になっている為、快適に操作したいのであれば外付けキーボードなり入力デバイスが必要になってくる(これはソフト側の考え方が変わっていく問題かもしれない)。
後者の問題は盲点であり地味に気になる。
SurfaceLaptopStudioのディスプレイはいわゆる普通の高級ラップトップのディスプレイと同じような質感なので指でぎゅっと押すと液晶がもわんする。当然スリムペンを利用して画面に筆圧をかけると液晶がもわんとする。これが地味にだがそれなりに気になる(不安にもなる)。
ペンの精度、レスポンスは実用レベルであるがiPadPro+ApplePencilの方が使用感が高い。iPadProのペン入力性能が高すぎるという話もある。
総じて、絵を満足に描く事は可能であるが、使用感とコスパはiPadPro+ApplePencilの方が上である思う。
開発者にとってのSurfaceLaptopStudio
私は仕事がWEB屋なので私生活でも簡単なおもちゃを作ったりすることはあるが、PCにあまりハードな仕事はさせていないのでCPU,GPUの評価はしない。メモリは32GBモデルを選択しているのでそこの恩恵はあると思う。
開発者として、という目線に立つとハードウェア云々よりもまずWindowsであるという点で気になる点が多い。
私は仕事ではMacかLinux系のOSしか触らないのでPowerShellもコマンドプロンプトもイマイチ使いきれず、基本的にWSL2の中で過ごす。別に私生活で仮想マシンをあえて使いたい理由はないのでそこに生まれる小さな障壁がそのままデメリットとなる。
個人的にVBも触らないので、開発者としてWindowsOSを選ぶ理由はハード側に魅力があるか否かというところだけになる。
絵を描く板としてのSurfaceLaptopStudioは必ずしも最適解ではないが、ラップトップ筐体としてのSurfaceLaptopStudioは中々魅力的であると思う。
マグネシウム合金の筐体は触り心地がよく、実際手にするとうっとりとする高級感がある。今どきの14インチとしては重量級であるが、片手で持てる重量感ではあるので日々家から持ち出さない前提であれば問題にはならない(これを持って毎日通勤しろと言われたら会社に行きたくなくなるとは思う)。
また、日本モデルはJIS配列しか選べないという制約はあるものの、キーボードの使用感は素晴らしい。これはMacBookProシリーズに比べ大幅に勝っている点と言える。
ラップトップながらメカニカルらしく、適度な重さとストロークがあり非常に打鍵感が良い。(通常のSurfaceLaptopシリーズは触ったことがないが、同じような仕様のキーボードであれば非常にコスパの良い筐体と言えると思う)
仕事用のMacBookProは基本的に本体キーボードで長時間作業することはない(普段はHHKBを外付けしている)が、このSurfaceLaptopStudioのキーボードであればそれなりの時間の入力作業をストレスなく行えると思う。
開発者にとって、と言いつつエンジニアリングな話は殆どないのは恐縮だが、基本的にWEBエンジニアリングの世界で趣味程度の利用を考えるとこのレベルのスペックのPCで性能的な不満が出ることは殆どない。
難なのはやはり前述の解像度で、テキストを日々見つめる時こそ解像度は気になってくる。
フォントサイズに普段はそこまでシビアなポイント設定はしないのだが、一覧性が欲しい時にどうしても小さいポイントを設定することがある。そうした時に高精細ディスプレイの方が目にかかるストレスが明らかに少ない(嘘、気持ちの問題かも、いずれにせよ高精細である方がストレスが少ない)。
まあ開発者にとってPCがタッチパネルであるかとかは割とどうでも良い話なので、このスペックのラップトップが欲しいだけであれば他にもっと安価な機種があるだろうとは思う。
SurfaceLaptopStudioは何者でもない、しかしオンリーワンな存在である
SurfaceLaptopStudioは(コンセプトは尖っているが)専門性という点ではイマイチ尖っていない。
ぶっちゃけいくつかの点を割り切れるのであれば同じような性能のPCが2台買える価格なので、もうちょいコスパの良いラップトップ+iPadでいいんじゃない?とも思う。絵を描くならiPadの方が良いし、本当にマシンパワーが欲しかったらゲーミングなラップトップを選んだ方がコスパもいい気がする。
それでも私はSurfaceLaptopStudioを購入して後悔はしていない。何故かとても愛おしい(これは筐体の完成度かもしれない)。
SurfaceLaptopStudioは何かの専門家向けのPCではないと思う。最終的には何者でもないあなたの魂が震えたかどうかで選べば良い。