書籍『新時代を生きる力を育む 知的・発達障害のある子のウェルビーイング教育・支援実践』と、学会シンポジウムのご案内
note執筆者:
西村健一(島根県立大学人間文化学部保育教育学科・教授)
水内豊和(島根県立大学人間文化学部保育教育学科・准教授)
2023年8月末に、『新時代を生きる力を育む 知的・発達障害のある子のウェルビーイング教育・支援実践』が出版されます。
また本書と連動して、日本特殊教育学会第61回大会(横浜国立大学)において、自主シンポジウムを開催します。
1.ウェルビーイングとは?
令和5年6月16日に示された、教育振興基本計画(以下、計画)では、2040年以降の社会を見据えた教育政策におけるコンセプトとも言うべき総括的な基本方針として「持続可能な社会の創り手の育成」と並んで「日本社会に根差したウェルビーイングの向上」を掲げており、ウェルビーイングは、教育関係者にとって必ず理解しておくべき重要事項と位置付けられました。
この計画の中で、ウェルビーイングとは、「身体的・精神的・社会的に良い状態にあることをいい、短期的な幸福のみならず、生きがいや人生の意義など将来にわたる持続的な幸福を含むものである。また、個人のみならず、個人を取り巻く場や地域、社会が持続的に良い状態であることを含む包括的な概念」と定義されています。
さらに計画では、日本社会に根差したウェルビーイングの要素として、「幸福感(現在と将来、自分と周りの他者)」、「学校や地域でのつながり」、「協働性」、「利他性」、「多様性への理解」、「サポートを受けられる環境」、「社会貢献意識」、「自己肯定感」、「自己実現(達成感、キャリア意識など)」、「心身の健康」、「安全・安心な環境」を挙げており、これらを教育を通じて向上させていくことが重要であるとしています。
2.書籍『新時代を生きる力を育む 知的・発達障害のある子のウェルビーイング教育・支援実践』
本書では、知的・発達障害のある人のウェルビーイングの実現のために、学校段階だけでなく、生涯発達の観点から、乳幼児期から卒後の生活を見据えた学校・家庭・地域など社会システムの連携が重要であると考え、以下のように編纂を心がけました。第2部・第3部にある34の事例は、それぞれの社会システムに関わる方が相互に読んでいただき、理解を深め連携が広がることを期待しています。
3.日本特殊教育学会第61回大会(横浜国立大学)自主シンポジウム
「知的障害・発達障害児・者とウェルビーイングー今とこれからを生きる力を育むために支援者が考えておくべきこと―」として、自主シンポジウムを開催します。
大会サイトはこちら。プログラムも公開されています。
2023年度の大会は、すべてオンデマンド配信+現地参加型プログラムとなり、オンライン参加はありません。
登壇者はこちら。
本書に所収されている34の実践のうち、今回は、学校教育、社会活動から3つを取り上げて話題提供していただきます。
話題提供として、門脇絵美(横浜市立矢部小学校)先生より「小学校特別支援学級におけるこころとからだの学習」について、山崎智仁(旭川市立大学経済学部、元富山大学教育学部附属特別支援学校)先生より「味噌作りをとおした健康的な食生活への取組」、酒井泰葉(一般社団法人日本障がい者スイミング協会)先生より「ウェルビーイングにつながる水中運動療育の取り組み」、の3つの実践をお話しいただきます。
そして、障害児・者の健康・スポーツに関わる研究の第一人者である澤江幸則先生(筑波大学)に指定討論をいただきます。
よろしければ、ウェルビーイングという、誰にとっても大切なテーマについて、一緒に考えてみませんか?
本学会には登壇者以外にも、本書の執筆者の方々が、ポスター発表などで参加しておられます。編者・執筆者一同、会場で多くの人とこのテーマで繋がれることを楽しみにしています! ぜひお気軽にお声がけください。
4.参考リンク
編者の所属先
島根県立大学サイト
https://www.u-shimane.ac.jp
島根県立大学人間文化学部保育教育学科サイト
https://www.u-shimane.ac.jp/undergraduate/ningenbunkagakubu/