見出し画像

#097読者から旅する (11)

今週読んだ本はこちら。

平均思考は捨てなさい 出る杭を伸ばす 個の科学 トッド・ローズ著/小坂恵理訳 早川書房 2017年

タイトルからして、個人の尖った個性を打ち出せ、という自己啓発、或いは、世の中に違和感を感じて窮屈な思いをしている人向けの励まし本かと思って手に取ったが、完全に誤解だった。

平均思考を前提にしている、学校教育や会社組織、体制づくりに携わる人々向けの啓発本だった。

読後の感想としては、まず、前半の『平均』の成り立ちが興味深かった。そもそも、『平均』そのものが、とある学者による創造物であることを知り、また一つ私の中の当たり前がひっくり返った(読者の本質はココにあると思う)。

後半は筆者の経験を含む実例実証だが、正直、(タイトルやテーマから粗方推測可能な内容であるので)目新しいものはなく、少々退屈だった。

また、原題はこちらだが、内容とあまり合っていないように思う。
THE END OF ABERAGE  HOW WE SUCCEED IN A WORLD THAT VALUES SAMENESS
邦題も、原題の微妙さに引っ張られた感がある。

私がタイトルを付けるなら…
『平均』のまやかし 人の多様性が世界を明るくする
AVERAGE IS A ILLUSION  DIVERCITY BRIGHTES THE WORLD

社会が個性重視にシフトしつつある現代だが、「ある型」を前提とした物事の判断や組織体制の変革にはもうひと押し必要か。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?