たゆたえども沈まぬ ∼花組公演 アルカンシェル∼ その①
花組公演 『アルカンシェル∼パリに架かる虹∼を観劇してきました。
私のお口にはとても合った作品でした。
ツラツラ書こうかと思います。
柚香光、星風まどか退団公演
この公演は花組トップコンビ、柚香光さんと星風まどかさんの退団公演です。
(他にも帆純まひろさんなど4名の退団公演でもあります)
名ダンサーでもある柚香さんの退団公演でショーが無いなんて!、とのご意見も目にしますが、私個人は冒頭でも書きましたが、自分の口にとても合いました。
不思議な役者柚香光
この公演を観て改めて気付いたことがあります。
『私は青臭く、理想に燃え、自分の前に立ちはだかる困難に立ち向かうお役の柚香光さんが好きなんだ』、と。
柚香さんの演じたお役で好きなのが、『アウグストゥス』、『二人だけの戦場』、そして『アルカンシェル』。うーん、見事だ!(笑)
二人だけの戦場を観たときに感じて、今回のアルカンシェルでも感じたのは、柚香さんってお役の中に入り込んで役=柚香光、にしてしまう役者さんなのかな、と。
これはあくまで私個人の意見なんですが、演じる人のタイプとしては、一つは何を演じても◯◯というタイプ。役者本人が持つカリスマ性で演じる方です。宝塚では真風涼帆さんや珠城りょうさんにはそう感じました。
そしてもう一つは憑依型、というか自分を消して役に化けてしまうタイプ。
宝塚では彩風咲奈さん、和希そらさんはそう感じました。
月城かなとさんはその中間だと感じています。
柚香さんもカリスマ型、と思っていたんですが、『二人だけの戦場』を観てからちょっと違うな、と感じるようになりました。
なんというか、実在していたらこんな感じになるのかな、っていう演技をされるんですよね。
『二人だけの戦場』を観劇したとき、柚香さんが演じたシンクレアは、理想に燃える青臭い青年将校が民族対立という自分ではどうにもできない現実に打ちのめされ、結果的に軍人としての未来を失う、という重厚なお役だったんですが、重さを感じさせずにシンクレア=柚香光にしちゃったように感じたんですよ。
なんとも言えない不思議な感覚でした。
そして、今回の『アルカンシェル』でも、マルセル=柚香光だと感じたのです。
トップスターに当て書きした役だからだろ、と思われる方もいらっしゃると思うんですが、そうじゃないんですよ。
何ていうんでしょう、化けるんじゃなくて、役の中に潜入して内側からカスタマイズして、柚香光仕様に替えて演じる、というんでしょうか。
ダンスに定評のあるスターさんは何人もいらっしゃいますが、このマルセル·ブランという役は柚香さんだからこそ、のお役ではないでしょうか。
柚香光の横で光る星風まどか
柚香さんを不思議な役者さんだ、と思ったとき、その傍らには星風まどかさんがいました。
『二人だけの戦場』では民族の違う主人公シンクレアを愛しながらも、自分が生きる民族としてのアイデンティティを捨てることなく、二度と会えないかもしれないシンクレアをひたすら待つ、という困難な道を選ぶライラを好演しました。
そして今回の『アルカンシェル』もナチス・ドイツ占領下のパリで歌うだけでなく、演出·構成を任され、気が合わないマルセルと協力しながらレビューの上演にこぎつけ、アルカンシェルでレビューが上演出来なくなったときは、ドイツに渡りアルカンシェルの再開のために尽力するカトリーヌを見事に演じています。
柚香さんを『不思議な役者』と言いましたが、それは星風さんの存在があってこそなのかもしれません。
これからそれを確かめることは出来ないのが残念で仕方ないです。
約7年間、宙組、花組でトップ娘役を務めてきた星風さん。
研4でのトップ娘役就任、異例のスライドなど大変な事も多かったと思いますが、彼女にとって最高の相手役柚香さんと作品を沢山作り、一緒に卒業するのは何よりのギフトなのかな、と思います。
トップコンビをエラく語りすぎてしまった…。
続きは頑張って早めに書きます。
長くなりましたが、お付き合いいただきありがとうございました。
#宝塚 #花組 #柚香光 #星風まどか