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【真夏の真駒内漫遊記】 〜SPITZ JAMBOREE TOUR 2021 "NEW MIKKE" 北海道 真駒内セキスイハイムアイスアリーナ公演 7/17,7/18〜

2021年7月17日(土)と18日(日)に札幌市真駒内で行われたスピッツのライブに両日参加してきたのでその感想を綴っていきたいと思います。今回は久しぶりに生の有観客ライブで、さらに2日連続で参加できたということで、ただ演奏された曲目の感想を坦々とまとめていくといういつものスタイルでは満足できないと思い、ライブ会場の様子、またその会場に辿り着くまでの道のりなどの写真も多く撮影してきたのでそれらと交えて2日間の想い出を書き記していきたいと思います。もちろん記事の後半はいつものレビューを一曲一曲展開しています。ある意味、旅行先の写真をまとめた一個人の日記という感覚で楽しんで読んでいただけたら嬉しいなと思います!


それでは



最初に

ライブが行われた札幌市南区にある真駒内セキスイハイムアイスアリーナ、そもそも「真駒内ってなんて読むの?」とよく札幌市外や道外からやって来た方々から聞かれることがあります。結論から言うと「まこまない」と読み、三文字目の"ま"にアクセントがかかります("エスカルゴ"や"けもの道"と同じイントネーションです)。北海道内には"〇〇内(ない)"という地名の地域が多く存在していますが(稚内、幌加内、歌志内、木古内、静内など)、その理由として道内の先住民族アイヌ民族が使っていた言葉、アイヌ語の"ナイ"が"小さな川"という意味があり、その地域には必ず川が流れているという地理的な根拠と由来があります。北海道の地名はアイヌ語由来のものが多くて無理やり感じに当て字をしているので取っ付きにくい印象があると思います。面白いですよね。ちなみに「真駒内」の地名の由来は"マク・オマ・ナイ(背後にある川)"から来ていて、この会場がある真駒内地区には札幌市を2分する豊平川(とよひらがわ)が流れています(「豊平川」の名前の由来は"トゥイェ・ピラ(崩れた崖)"から来ているみたいです)。たまに熊の出没があって世間を騒がせたり(そんなことどうでもいい

その豊平川に沿って会場まで自転車を漕ぎながら南下して行きました。2日間とも絶好の快晴。最高のサイクリング日和かつライブ日和でした。

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札幌市を二つに分けるこの豊平川を結ぶミュンヘン大橋。この川に沿ってひたすら真っ直ぐ南へ向かいます。

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アリーナ敷地内には駐輪場が無いため、会場最寄りの地下鉄真駒内駅に自転車を停めました。最寄り駅と言っても会場まではそこそこ距離があり、決して近くではないためここから30℃超えの炎天下の中30分弱は歩くことに…笑

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札幌市営地下鉄南北線の南方終点駅、真駒内駅。"地下鉄"とは言ったものの線路はシェルター付き高架線の中に敷かれており、地上を走っています。1972年に行われた札幌オリンピックにて、メイン会場を真駒内競技場を使用したことから最寄り駅となったこの場所にその記念時計塔が駅前広場に聳え立っています。

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会場が近づいて参りました。敷地の入口にはこんなものが。

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よくよく見ると本番の2日前から会場の準備を進めていたらしいです。スピッツのメンバーも早めに来てリハーサルを行っていたのかもしれない。

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会場の月間スケジュール表とガイドラインに則ってイベントを開催するという宣言を示した張り紙がありました。こういう張り紙が出されるのももう今年で最後になって欲しいと願うばかりです。

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また、かき氷を売っている小さなブースもあり夏らしさを感じました。「熱中症の危険があるので開場までは日陰でお待ちください〜」などのアナウンスなんかもあったり。

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ここ、豊平川の畔で藻岩山(もいわやま)の麓ということもあり大自然に囲まれたまさに北海道を凝縮したかのような環境なんですよね。自分は生まれも育ちも札幌ですが真駒内地区は決して近所ではなく頻繁に訪れる機会は無い場所なのでまた今度時間ができたらのんびり散歩してみたいなと思いました。

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いつも通りの物販ブースの光景が窺えて嬉しかったな。このご時世、ツアーグッズはネットでしか販売していないのかも...という勝手な思い込みがあった僕にとっては朗報。キーホルダーとTシャツとツアータオルを購入しました。

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アルバム「見っけ」のCDが終始流れ続けていたこのブースの空気感が非常に心地良かったです。ライブ中の興奮だけじゃなくて、こういうふうに現地でグッズを買うという行為も配信ライブでは味わえなかったことだし、会場をワクワク待ち侘びるお客さんたちが続々とやってきてブースを覗いたりタオルを持っている大勢の人々の姿を見るとやっぱり有観客って良いなぁと思ったそんな瞬間でした。

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この炎天下の中マスクをつけた人々が並んでいる様子。先ほどの会場入り口にあった張り紙にしても、もしかすると今しか見れない異例過ぎる貴重な光景かもしれない。

会場の外観形状はパッと見、武道館っぽさが。

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座席は本番当日入場して発券するまでは分からないシステムとなっていました。1日目はステージ上手側の北側スタンド、2日目はアリーナ下手側のA3ブロックという場所で参加できました。2日間で全く違う角度から観れたので広い範囲から細かい部分まで隅々演出を観察して楽しむことができました。

最高の2日間でした。

以下、セットリストと感想です。マサムネさんが使っていたギターもメモ程度ですが一緒に紹介します。今回のライブではグレッチの緑色と白色のフルアコースティックギターをそれぞれ1本ずつ、Sagoの黒色と白色のストラトキャスター(リアとフロントがハムバッカー)をそれぞれ1本ずつ、またMartinのアコギを2本使用していました。

※アコギはサンバーストのMartin&Co横ロゴがD-28でナチュラルのMartin縦ロゴがD-45っていう説があるけどその辺は確証がないので触れないことにします。

※所々間違ってるかもしれません

※MCはうろ覚えなので若干文脈を勝手にアレンジしている箇所があります。




1.見っけ

フルアコ グレッチ緑

 緑色のグレッチのフルアコが置かれた無人の舞台上ボーカルマイク前方、ステージ正面を塞ぐように左右方向に並んだ22本(しっかり数えました)の縦型ライトが真白に光出し会場が暗転、鳴らされる爆音のGコードから始まるイントロと共にその輝くライトがステージ上空へ吊られて開幕。"再開へ!"の歌いだしでステージ全体の照明はフルマックスに明転し、一気に会場の空気感はひとつに。2020年1月に事実上打ち止めとなってしまったMIKKEツアーから約一年半ぶりとなるNEW MIKKEとしての再開の歓びは、一曲目のこの曲、このワンフレーズに詰まっていたと思う。この曲に関してはマサムネさん曰く、「『醒めない』からさらに何かを見つけたみたいな感じ」らしい。生で聴くことでロックミュージシャンとしての音楽に対する貪欲な拘りだったりまだまだバンドは続いていくんだぞという強い姿勢がより感じられる。Mr.Childrenの未完ツアーの一曲目が「未完」だったように、このライブツアーの代表、顔としての一曲目は「見っけ」以外には絶対考えられなかった。

 ところで今回この曲でマサムネさんが使用された緑色のフルアコ(正しくは"Gretsch G6118"というらしい)、最近「みなと」や「ありがとさん」などでも使われているあの名器であるがこの楽曲との相性もまた抜群であった。

アルバムのタイトル曲、リード曲であるにも関わらずテレビ出演時には演奏されることはなくまたYouTubeにもMVが投稿されていない。先日公開された映画トレイラーにも一切映らない。リード曲にして意外にもスピッツのメンバーがこの曲を演奏しているシーン自体が貴重である。ただ1つ、あのアルバム「見っけ」初回限定盤のDVDに収録されている本楽曲のMVで弾いていた白いギブソンのSGとは一体何だったのか...?という疑問だけが残ってしまった()


2.はぐれ狼 

ストラト黒

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開幕を告げる一曲目の熱い余韻に浸りつつも時を移さず鳴り響くは会場の空気感をビリビリに切り刻んでいくかのようなC♯m(2カポでBm)のコード。マサムネさんがローポジションでコードを押さえながら低音弦をダウンピッキングで叩きつける感じでドゥドゥドゥドゥ…というCD音源で印象的だったあの音を大迫力の3Dで目の当たりにした。これ、テレキャスだったらこんな1音1音が大粒の塊みたいな響きは絶対生まれないんだろうなぁと思ったし、マサムネさんのストラトキャスターに対するこだわりも少なからずあるのではないかと相変わらず勝手な自己解釈が捗る。今後も間違いなく盛り上がるライブ映えする一曲に成長していくんだろうなぁと感じた(親目線)。アルバム終盤に配置されている楽曲がこうしてライブでは序盤で披露されるというパターンが堪らなく好き。


3.エスカルゴ

ストラト白

前曲が終わり間もなくして﨑ちゃんがスポットライトを浴びながらスネア連打。直後のジャカジャーン!でステージライトアップ全開、マサムネ氏、ボーカルマイクスタンド前方のお立ち台の上に降臨。この時点で勝ちを確証した。カッコよすぎて言葉にならなかった。イントロや間奏のあのジャジャジャジャジャ、ッヘイ!の掛け合いの部分で声を出すことこそできなかったが、観客は総立ちで腕を立て振りでステージへと向けていた。マサムネさんもそのリズムに乗せてギターのネックを上に振り翳していた。歌いだしの「だめだなゴミだな~」何度も聴いたこのフレーズであるが、なんか音ズレてる…?これってもしかして。そう思った瞬間マサムネさんのギターに目を向けるとなんと1フレットにカポタストが付いているではないか…!なるほど、理解した。半音上がったライブアレンジだったのだ。一発目のジャカジャーン!はFではなくF♯の音だったのだと正しく冷静に判断できたのは2日目だった。同じく真駒内公演へ赴いた某フォロワーさんと感想共有している時に僕がエスカルゴのキーについて触れたところ、"最近のライブではよくやるアレンジらしい"という指摘を頂いた。無知だった僕はエスカルゴが演奏された最近のスピッツのライブを隈なくチェックしていたところ、「THE GREAT JAMBOREE 2014“FESTIVARENA”日本武道館」という1本の作品に辿り着く。それを改めて観たところ確かに1カポで半音上がったアレンジで演奏されていた。スピッツの復習不足だった僕にとってはある意味新鮮に聴こえたこのアレンジは結果的に刺激的なサプライズとなり、感動を倍増させてくれた。

それにしてもこの半音上げバージョン、とにかく高揚感が凄まじい。会場が一気に一つにまとまる感じ。このグルーブ感とスピード感、勢いはもう止まらない。"いつか原キーで聴いてみたい"という普通では考えられない意味不明な欲さえ抱えてしまうのはマサムネさんの広すぎる音域が生んだファン特有の悩みなのかもしれない。もう文句なしの神曲ですね。これ以上は感想が上手くまとまらない。


4.けもの道

ストラト黒

エスカルゴの余韻が切れない曲間、暗転した舞台上から響くは赤い照明だけが当てられたリーダー田村明浩による歪んだベースのもはや熱唱しているかのような唸る旋律。早速強烈なバンドサウンドも一気に加勢し、先ほどの高揚感が再び訪れる。もちろん出だしの歌詞は"札幌の日の出すごいキレイだなあ~"と公演会場の地名をなぞるアレンジを施して歌ってくれた。

"あきらめないでそれは未来へかすかに残るけもの道"

スピッツの楽曲でここまでストレートに訴えかけるフレーズも珍しい。去年の自粛期間、未曽有の事態で感じたことのなかったストレス、今年度から始まった新生活の悩み、この空白の一年半で感じた全ての感情、様々な思いが一気に込み上げて来た。辛い思いをした回数は今まで生きてきた中で特に多かった時期かもしれない。音楽ライブに参加することもままならない状況を過ごしてきたが、ようやく今日再開できた奇跡。この日の為に長い自分なりのけもの道を歩んできたのかなと考えさせられたし、そしてこれからも未来へ続いていくけもの道を作り進んで行きたいと自分の心に素直に響いた。本当に素晴らしい演奏だった。サビに入る頃には大量の涙が溢れて止まらなかった。人間ってこんなに涙が出るものなのかと思うくらい恐ろしいほど泣いた。

サビで終始鳴り響くライドシンバルとそれに絡み合うようにギターのストロークと同じリズムで重なり合うスネアの鼓動。これぞ生粋のバンドサウンドだなと思わせてくれるスピッツの名演。曲のアレンジが刺々しいハードなロックサウンドかつアップテンポで中々気付きにくいが、実は旋律自体は非常にキャッチ―でメロディアスな一曲。こういう複雑に作りこまれた細工が多くの人の心を掴んで二度と離さないのかなと思った。改めてこの曲を生で聴いて、最高の応援歌だなと確信した。


5.稲穂

アコギ(サンバースト)

マサムネさんがアコギに持ち替えてスポットライトを浴びた状態での弾き語りから始まり、"あり得ない明日に憧れ~"からバンドの演奏が合流する。イントロがなくいきなり軽快に進んでゆくAメロ、流石はCキーのカノンコード、この上なくキャッチ―で軽やかに鳴り響く音が心地良い。前曲の興奮から醒めないタイミングで演奏された本楽曲は、僕の脳の処理が追い付かずサビまでは「海を見に行こう」だと思っていた。

シンプルなライトアップ。テツヤさんが黄色のテレキャス(Mr.Childrenの「足音 ~Be Strong」のMVで桜井さんが持ってるやつに似てるもの)を使ってるレアな演出があったりリーダーはバイオリンベースで比較的落ち着いた雰囲気。この曲でクージー氏がアコーディオンを弾いていたような(?)

愛知1日目、広島2日目、宮城1日目の公演では本楽曲の枠が「小さな生き物」だったらしい。こちらもぜひいつか生で聴いてみたい。いずれにせよ驚くべきは、ここまで5曲ぶっ通しで演奏されてきて一切シングル曲が無いということ。


MC①

-1日目-

マ「どうもこんばんはスピッツです~真駒内セキスイハイムアイスアリーナ、セキスイハウスって言っちゃいそうになるけど笑 本来の使い方はアイスアリーナって言うくらいだからスケート場なんですよね?うちの舞台監督のM君が札幌出身で、デートでここのスケート場に来たことがあると聞いて... (中略)﨑ちゃんなんて昔田んぼの天然リンクで滑ってたもんね?...」

-2日目-

マ「こんばんはスピッツです~ここは"セキスイハイム"アイスアリーナなんですよね?"セキスイハウス"って言ってしまいそうになるんですけど笑 積水ハウスは、、、(アコギを弾きながら歌う)"家に帰れば~せきす~いはうす~♪"で、セキスイハイムは、"帰りた~い 帰りた~い あったかハイムが待っている~♪"なんですよ。(大拍手)小林亜星さんにリスペクトを込めて歌わせていただきました。あっ、ちなみにセキスイハイムと積水ハウスは、全然違う別の会社らしいです。スピッツとSMAPくらい違います笑 (大爆笑)」


6.遥か

アコギ(サンバースト)

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さざなみOTRぶりにMIKKEツアーで演奏され、引き続き今回のNEWMIKKEでも披露されたそこそこのレア楽曲。今回って「三日月ロック」のアルバムを引っ提げたツアーだっけ?そう思わざるを得ないここまでのセトリ。「見っけ」と「三日月ロック」の相性は抜群なのかもしれない。歌に関してはスピッツ史上最高難易度を誇る高音キーの本楽曲を当たり前のように原キーで丁寧に歌い上げるマサムネ氏には脱帽。ミックスボイスをフル活用した綺麗すぎる(もはや相応する形容詞が見つからない)サビの浮遊感が温かなピンクの照明とも相まって妖艶な空気感を創り出していた。それでいてバンドサウンドは非常に重厚でこの空気感はスピッツにしか作り出せないだろうなと思った。

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7.快速

ストラト

これ1カポCだったか4カポAだったか忘れた。ギターもストラトなのは間違いないけど何色だったかも覚えていない...早く映像で確認したい。()

スピッツにしては非常に珍しいキーがC♯の本楽曲、出だしとメインパートのC♯→F♯m(Ⅰ→Ⅳm)の繰り返しという浮遊感のあるコード進行が何と言っても特徴の一つ。最後の"向こうまで~"の部分はA→B→C♯と、トニックに向けて全音ずつ上がっていく勇気のある展開やその最後を鮮明な輪郭で描かない曖昧な響きを持つトニックのadd9で締めるという仕上げも一貫して完璧。この歌、おそらく人生という名の長いレールを走る自分自身を列車に喩えた楽曲であるのだろうけど、CD音源で聴いた時に特に響くものはそれほど感じられなかったが生で演奏されているところを観ちゃうと最高の応援ソングだなぁとシンプルに感動。そして中盤のOh~Oh~の部分の高揚感が半端ない。みんな腕を上に突き上げていたし、スピッツ版東京VICTORYか?と錯覚するほど。(最後に全音ずつ上がっていくコード展開も相まってより似てるなと)


8.放浪カモメはどこまでも

ストラト白

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跳ねた。泣いた。リーダー大暴れ。カッコよすぎ。夢が叶った(ライブハウスではないけども)。

一番聴けて嬉しかった曲。感無量。神。


9.1日目:ワタリ 2日目:点と点

「ワタリ」はtourあまったれ2005以来の披露となる超絶レア楽曲。個人的にアルバム「スーベニア」の中でも特に大好きな最強のロックンロール。まさかここで聴けるなんて絶対予想できなかった。全体的に7thやM7、add9等の洒落たコードまみれだしトニックであるGコードがほとんど登場せず不安定、さらには曲の終わりに全音下のFで締めるという王道からはやや逸れた構成であるがこの加速感のある重厚なロックサウンドと力強い歌詞がライブでは全開に映えていた。

2日目は「点と点」。このC♯mから始まる特徴的なイントロ(今回C♯m楽曲多い(?))を耳にした瞬間、セトリ変えてきたか!と驚愕。リアルに盤が擦り切れるんじゃないかってくらい冗談抜きで学生時代に何度も聴きまくった名盤「さざなみCD」、そのアルバムに収録されている本楽曲を実際に生で目の前で演奏されているのを見ると、もはや"感動"一言じゃ済まされないくらいエモい気持ちに。前曲「放浪カモメはどこまでも」ではノリノリで楽しんでいたけど、こちらはただただ呆然と立ち尽くすことしかできなかった。もちろん当たり前のようにカッコいい音と迫力にまるで頭をぶん殴られたかのような衝撃を受けた。

二曲とも赤いライトアップが印象的で、強い迫力があってかっこよかったです(小並感)


10.ラジオデイズ

ストラト黒

黄色の眩しいライトアップと躍動感のあるバンドサウンド。マジでカッコよかった。1カポDなので本楽曲のキーはスピッツの中でも極めて珍しいE♭。ポップで明るいんだけどどこか懐かしさというかノスタルジックな雰囲気を感じる独特な一曲。テツヤさんは後々MCで、"この会場(真駒内セキスイハイムアイスアリーナ)の少しレトロな建物の雰囲気がこの曲のギターソロとマッチしてた"という旨の発言をされていた。

サビでステージ上空に吊り上げられた縦型ライトがグラフィックイコライザー風に波打つように光出す。まるでステージが一つのラジカセで、その中から鳴らされるスピッツの音楽が我々観客席へと届けてくれているかのような空間を創り出していた。

そして、個人的にアルバム「見っけ」の中でも特に大好きな一曲。ライブレポとはやや逸れてしまうが、個人的にこの楽曲にまつわるエピソードをここで一つ。本楽曲のタイトルは何を隠そう、「ラジオデイズ」である。僕は音楽を聴くことが趣味の1つだが、ラジオを聴くこともまた長年続けている紛れもない趣味の1つである。中学2年生の頃に技術の授業で小型ラジオを作製したことをきっかけにハマったのだが、自分の手でチューニングを合わせて顔の知らない人間の会話を聴く、当時それまで体験してこなかったその不思議な感覚に心を踊らされ、気が付けば毎日のように学校から帰ると色々な周波数に合わせて誰かの喋り声を聴くということに面白さを感じ、気が付けば日課となっていた。次第に聴く番組は一定数絞られていき、学校で嫌なことがあった日には大好きなパーソナリティさんの声を聴いて癒されたり、その番組を同じ時間帯に聴いているリスナーからリアルタイムで送られてくるメッセージやお便り、また番組内で流れる素晴らしき音楽に感動し、誰一人として面と向かっていないのにも関わらずこの「ラジオ」というツールを利用して同じ時間を共有している仲間がたくさんいるんだなぁとラジオの魅力を知りたての頃の僕は無邪気に感動したのを鮮明に覚えている。たまたまチューニングを合わせた時に流れてきたパーソナリティの方の声や話し方に好意を持ち、一目惚れならぬ"一聴き惚れ"をしたことさえある。今でももちろんそういう経験は度々あるし例えば自分がリクエストした楽曲や心を込めて綴って送信したメッセージを番組で取り上げてくれてそれが公共の電波に流れて多くの人の耳に行き届く、これはなんて素晴らしい行為なんだろうなと思い耽ることも多い。特に自粛期間中なんかにはテレビから飛び込んでくるニュースに胸を痛める機会が多くなり、ラジオの世界に逃避した経験も個人的にはまだ記憶に新しい。孤独感に苛まれた時や心を痛めた自分にとっていつも救いの手を差し伸べてくれるのはラジオなのである。

"足が重くて心も縮むようなそんな日々を拓く術を授けてくれたのはラジオ"

そんな僕の気持ちを代弁してくれているかのような楽曲を大好きなバンドであるスピッツが奏で、歌っている。そんな曲が存在していること自体が嬉しく思う。「ラジオデイズ」、音楽とラジオ。僕の趣味が合わさった奇跡的な名曲であるなぁと。これからもずっと大切に聴き続けていくことであろう。


MC②

1日目 

マ「数年前、朝ドラの主題歌を担当させていただくというお話を頂いて帯広に来たことがあって「ますやパン」という所に寄って美味しいパンを頂いて…それとは別にちょくちょくプライベートでも北海道に来てるんですよ。セイコーマートのヨーグルトが大好きで...今回も差し入れでもらいました。釧路にも行ったことがあって、その時チェブラーシカ展というのがやっていて、釧路関係ないじゃんって思いました笑 そんな旅の中で、ルルル~♪のこのフレーズが降ってきました。お届けします。」

2日目

マ「個人的にプライベートで実はよく北海道に来てるんですよ。釧路に行ったとき、コーチャンフォーというお店があって…札幌にもあるのかな?北海道の方には馴染み深いお店なのかもしれませんが、「Coach&Four」、4つの馬車みたいな意味があるそうで…その名の通り、本、文房具、音楽、飲食の4つの部門があって取り扱っているお店…?ということを初めて知りました笑 話は変わりますが前回のツアー、MIKKEツアー中に楽屋でやってた遊びで優しいあの子のメロディーに乗せて流行りのメロディーに変えていくというのをやってまして…"優しいあの子にも教えたい~あの日の悲しみさえあの日の苦しみさえ~♪"・・・あとは、"優しいあの子にも教えたい~どうしたって消せない夢も止まれない今も~♪"・・・みたいな感じです笑。それではお届けします。」

11.優しいあの子

アコギ(サンバースト)

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ついにこの名曲が初めて北海道で鳴らされたという事実が非常に感慨深い。それが全て。ほのぼのとしたCD音源とはまるで違うアレンジを施したバンドサウンドが新たなグルーブ感を増幅させていた。それでいて全く変わりないのは優しいメロディー、歌。2019年下半期に多くの音楽番組に出演した時にも本公演と似たアレンジで完全生演奏で披露されており、改めてライブの生演奏って凄いなと思わされた。

まるで奥原なつのような真っ直ぐな心と輝きを感じさせるテツヤさんのリードギター。路上でタップダンスを披露し喝采を浴びていた咲太郎の様に常にウキウキ、ルンルンとスキップしてるかのようなリーダーの躍動感あるベースライン。厳格な柴田家のおじいちゃん、泰樹のような開墾・開拓者精神剥き出しか?と錯覚するほどバンドを引き連れてザクザク突き進む﨑ちゃんのドラム、そして雄大な北海道の大自然のようにどこまでも伸びてゆくマサムネ氏の柔らかな歌声。本楽曲のタイアップが付いたNHK連続テレビドラマ「なつぞら」に重なる部分が垣間見えたのはきっと僕以外にもいたと信じたい。


12.ヒビスクス

アコギ(ナチュラル)

「優しいあの子」が終わりステージが暗転中、何やら別のアコギに持ち替えたマサムネ氏。3050の楓で使っていたアコースティックギターと同じナチュラルウッドのもので、本公演ではこの曲唯一の使用。前曲「優しいあの子」からの流れで同じアコギを持ったままでも良さそうだし、別に半音下げチューニングという訳でもなく、この曲だけ違うアコギで弾きたいというサウンド的にもビジュアル的にも強いこだわりがあったのだろうか。

照明演出としては本楽曲が始まる前にステージ空中に備え付けられていたトップライトがメンバー頭上くらいの高さにまで下降し、その下で演奏されるという本楽曲、Mr.Childrenの重力と呼吸ツアーにおける「SINGLES」の演出に近いクールさを醸し出していた。(※完全なこじ付けであるが「SINGLES」も「ヒビスクス」も楽曲のキーはE(C♯m)という共通点がある。)

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雰囲気としては黒×赤のこんなイメージ(?)本公演の「ヒビスクス」での照明はこれよりもっと控えめで、メンバーの表情とかはアリーナ席から目を凝らしてようやく見えるレベル。スタンドから観させていただいた一日目は何やらメンバーの影が動いているような印象で、ある種不気味な怖さとメロディーの切なさとバンドサウンドの強靭さ。一言ではまとめられない不思議な空気感に包まれていた。

歌詞の自然、海っていう世界観の感じと本楽曲が収録されたアルバム「醒めない」の発売時期とも相まって夏に開催された今回のツアーにピッタリな一曲。この夏感は途切れることなく次の曲にも続いて行く。


13.1日目:プール 2日目:水色の街

ストラト白

今回のツアーにおける屈指のレア曲&神曲枠。二曲とも的確な言葉では表現し難いくらいの幻想的な瑞々しさと涼やかさ。まるで水中にいるかのような錯覚に陥り、青い照明とも相まって余計清涼感のあるひんやりとした空気に包まれていた。

初期の隠れた名曲として名高い「プール」は意味深な歌詞と爽やかな曲調のギャップが不気味なんだけどこれぞスピッツの音楽の神髄だろうなと改めて。もはや音楽を聴く・観て楽しむという次元を超越した、五感を研ぎ澄ませて取り入れる一つの芸術作品として成り立っていた。そしてある意味名イントロとも言える冷涼感のある一発、DM7から始まる「水色の街」。このコードが会場に鳴り響いた瞬間、「えっ、マジ??」とリアルに思わず声に出してしまいそうだった。セトリを変えてきた衝撃とまさか遂にこの曲を生で聴くことができるのか…という感激から来る衝撃。この刹那に忙しく働く自分の神経系が今までにないくらい刺激され、思考回路がバグを起こしそうだった。

この時間と空間を真空パックしておきたいと願いたくなるほど素晴らしい名演だった。


14.まがった僕のしっぽ

ストラト

前曲の余韻が凄まじすぎてギター変えたのか把握しきれなかったしカポついてたような気がするけど覚えていない。2か5?

この曲のポイントは何と言っても中盤でテンポが加速していくパート。元々三拍子だった譜割が急に四拍子になるのでここでガラッと空気が変わる。ライトがすんごい転回の仕方してたしマサムネさんはギターを弾かずスタンドマイクに手を添えて力を込めて歌い上げていたし、もちろんめちゃくちゃ盛り上がったしとにかく最高。CD音源にはここでクラップパートがあるので実際に自分もやったけど、周りにはあんまりやってる人いなくてちょっと浮いてたかも() 

あとはクージー氏がフルートを吹いていたのが強く印象に残っている。ロックかつケルト音楽風な(?)異国情緒漂う、ある意味混沌としたこういう楽曲というのはスピッツにしては珍しいと思うのでこれからもライブ常連曲として大切に育てていって欲しいなと願わざるを得ない。



MC③

マ「最近は若い人がスピッツの話題を出してくれることが多くて…あいみょんとか、上白石さんとかsumikaの方とか...若いアーティストに感化されることも多くあって、あとこの歌の優里さんとか…"声も顔も不器用なとこも~全部全部嫌いじゃないの~♪"」

(一節だけ「ドライフラワー」を、しかもなんと1オクターブ上でミックスボイスをフル活用で歌ってくれました。"嫌いじゃないの~"の部分はキーが高すぎて掠れ気味で"あれっこんな高かったっけ?笑"というくだりがありました)


15.青い車

ストラト白

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ここからは新曲を携えた大ヒットシングルメドレーでライブは再び盛り上がりを見せる。サビではみんな腕横振り(通称:ワイパー)やってて会場の一体感が完璧だった。感想のギターソロはテツヤさんだけでなくマサムネさんも一緒に弾いていた。


16.YM71D

ストラト白

マサムネさんはストラトで開放だったけどテツヤさんは1カポのテレキャスという、何もかもズラしてきた意外な組み合わせ。常に会場の床が揺れていたかのような重低音が響くファンク×バンドサウンドの激震が堪らなく心地良かった。照明はまるでSENSEカラーを思わせるピンク×青の色合い。


17.ロビンソン

アコギ(サンバースト)

天下の大名曲、ここに降臨。未だに演奏されるたびにイントロで震えるよね。木漏れ日みたいな優しいグリーンの色合いのライトアップが美しかった。「完璧」の一言に尽きます。


18.ありがとさん

フルアコ グレッチ緑

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各パート楽器はMVと同じ。リーダーのあのヘッドレスタイプのベースを拝むことができて満足。最後の"君と過ごした日々は~"の部分でマサムネさんのソロ弾き語りパートみたくなるところが感動。

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この歌、生粋のバンドサウンドが光るスピッツらしい一曲なんだけどそれに寄り添うように奏でられるクージー氏によるピアノの音もまた味があって良い。他のスピッツの楽曲に比べて鍵盤の一定の主張の強さは感じられるが、決して邪魔するわけでもない、そんなやさしい恋人のような存在を感じた。"死"と"愛"を感じさせる重みのある歌詞と電球が照らし出すような温かみのある穏やかな照明がとても神秘的だった。大切な人への愛情と別れを描いたこのコンセプトはこの次に演奏される名バラードへもまた繋がってゆく。


19.楓

アコギ(サンバースト)

スピッツ屈指の名バラードがここへ来てようやく御目見え。なんだかんだ言って毎回ツアーで演奏されてるんじゃないかと言うくらい最近ではライブ定番曲。ラスサビの一節目の"さよなら~"はマサムネさんソロの弾き語りになる毎度恒例のライブアレンジ。ここに毎度胸を打たれるしリアルに泣く。このパートに入る直前(間奏の最後)とか、曲の最後アウトロでクージーのピアノソロになる手前の瞬間とか、必ず﨑ちゃんが振動しているシンバルをしっかり手で止めていて。今まで重なっていた各楽器の音が鳴りやんでソロを引き立たせるシーンへの心配りというか配慮というか。アンサンブルを考慮した﨑ちゃんの優しさみたいなものが垣間見れて特にお気に入り。

何回聴いても素晴らしい音楽。


MC④

マ「皆さんついてこれてますかー!脚とか腰とか痛くない??あと暑いのでしっかり水分補給とかしつつ…俺らも無理しない程度に頑張るんで笑」


20.渚

フルアコ グレッチ白

イントロのモンモンモン…の音が大拍手と同時に迎えられ、曲が始まる。早速気になったのは、え、何かキー違う?俺の知ってる渚とはちょっと違う…けど間違いなくこれはあの「渚」だよな…?マサムネさん持ってるギターってさっき見っけとかありがとさんで使ってたフルアコ?キーが違うとしてもカポ付いてないし、Gあたり押さえてるからやっぱ原キー?、いやいや絶対違う、明らかに低いような。ありがとさんからこの短時間でチューニングって変えるものか?・・・スタンド席から参戦した一日目はそんないくつかの疑問を感じていた。全てが解決したのはアリーナ13列目という神席を確保できた二日目、至近距離でそのギターの秘密を探ることができた。実はこの曲のみ単独で使っているグレッチのフルアコで、「見っけ」「ありがとさん」が緑掛かった色合いのフルアコであったのに対し、これはアイボリー系統の白みがかったボディのフルアコであることが判明。どちらもグレッチのフルアコースティックギターということで間違いないが、よく見ると別物であった。パッと見ホワイトファルコンかと見間違えそうなくらい大きく膨らんだ白色のボディであったが、それともまた別である。マサムネさんの指は開放でGを押さえていたので、元々半音下げチューニングとして用意されていたものなのだろうという分析もできた(原キーがGで半音下げるなら最初からレギュラーチューニングで1カポFで弾けばいいじゃんという話はまた今度で)。

結論を言うと、本公演で演奏された「渚」は半音下げアレンジで、マサムネさんはこの時だけで使用していた半音下げチューニングされたギターがありました、という話です。

長々と語ってしまったが、この半音下げアレンジの渚、初めて聴いたのでとても新鮮味があった。そして相変わらず凄いのは2番から終始叩きつけられる﨑ちゃんのタム回し。まるで何度も海岸へ打ち寄せる波を表現しているかのような躍動感あるリズム。めちゃくちゃカッコよかった。


21.8823

ストラト白

やはりこの曲無くしてスピッツのライブは成り立たない。マサムネさんの安定した歌声、絶対にブレることない﨑ちゃんのドラム、堂々と立ち尽くし冷静にギターを弾きこなすテツヤさんの丁寧なプレイ、そして暴れまくるリーダー。改めて、スピッツって凄いバンドなんだなと思わされるのは毎回この曲だし、スピッツの良さとか各パートの特徴なんかは全てこの曲に詰まっているといっても過言ではないなと思った。最高に熱いパフォーマンス、何度でも観たい。


22.俺のすべて

ハンドマイク

左手にハンドマイク、右手にタンバリンを持ってステージを縦横無尽に駆け回るマサムネさんが愛おしい。終始ハンドクラップの嵐でライブは終盤ということもあり大盛況に。ライブならではの長いアウトロの毎度恒例のアレンジもお見事。


23.紫の夜を越えて

フルアコ グレッチ緑

現状(2021年9月時点)でスピッツの最新曲。MVで使用しているSagoの黒いストラトではなく、CDTVに本楽曲を披露した出演時と同じ緑色のグレッチのフルアコを使用。今回のツアーでも「見っけ」や「ありがとさん」で使われていたものと同じで、1カポGを熱くかき鳴らしていた。ここまで20曲を超える歌を届けてきているが、とてもライブ終盤とは思わせないくらい強烈なほど声が出ていた。オリジナル音源の2倍の長さを誇るライブアレンジでのテツヤさんによる瑞々しいアルペジオのイントロはより一層この楽曲の幻想感を引き立たせていた。タイトルの通り紫色の照明がまた印象的で綺麗だった。アップテンポな前曲8823→俺のすべての流れに比べてやや温度感は下がるが、完璧すぎるバンドの熱いグルーブ感が会場を揺らしていた。本編最終曲に相応しい有終の美を鮮明な紫色と共に見せつけられた。



《ENCORE》

EN1.1日目:群青 2日目:恋のうた

盛大な拍手と共に迎えられたアンコール一曲目、1日目は「群青」。またこれも夏らしい選曲だなと。中々演奏されることのないシングル曲代表格の1つだと思っているので聴けて大満足。ノリノリでアコギをかき鳴らすその姿はまるでMVの中からそのまま飛び出してきたかのような演出。

2日目は「恋のうた」。マサムネさんはいつものシェイカーを持ちながらスタンドマイクで丁寧に歌い上げていた。この曲、オリジナル音源の原キーがGに対してライブで披露されるときは全音上がったAで毎回演奏される。今回ももちろんそのアレンジだったんだけど、改めて凄いなぁと。しかもシェイカーを一定のリズムで振りながら歌いこなす。単純なように見えて相当練習しないと素人は絶対に真似できないスゴ技だと思っている()


MC⑤ メンバー紹介

(うろ覚えなので掻い摘んで)

1日目

田「田村です。立ち位置テツヤの所が良かったからさっき入れ替わって弾いてました。結成当初は逆だったんですよ。」

マ「しばらくそれでやってたっけ?」

田「いやいや、最初だけだよ。」

マ「ミスチルはどっちだっけ?」

田「ミスチルは逆?うちらは対抗してたんじゃない?」

マ「そうか笑 ブルーハーツはどうだっけ?」

田「ブルハーツはうちらと一緒なんだよ笑」

テ「ラジオデイズを今までの公演でやって来たけど今日が一番しっくり来た。このレトロな感じの建物(真駒内セキスイハイムアリーナ)の雰囲気とも合っていて...」

﨑「スピッツってちょうど34年前の今日がバンド結成日ということで...そんな瞬間を一緒に過ごせて光栄です!」


2日目

マ「愉快な仲間たちの紹介をしたいと思います!」

田「田村です。あのさ、スピッツが今年デビュー30周年ってことはさ俺たち北海道30周年なんだよ。」

マ「ライブで初めてきたんだよね」

田「うん、名前のないツアーをやっていて、さっきの恋のうたもやってたんじゃない?…」

マ「見た感じ皆さん若そうなので今日、30年前の当時のライブに来てた人なんていないと思いますが...まさか、来てた人います??もしいらっしゃったら一緒にお酒を呑み交わしたいのですが笑」

(なんと僕の目の前の席に座っていた方が手を挙げる)

マ「おー!!本当に?ありがとうございます笑 あの時、事務所の先輩の浜田省吾さんが見に来ていて、mcのダメ出しをされました。新千歳空港から札幌までの道のりに牛がいて~なんてシンプルなmcをしていたので笑」

田「あと、話は変わるけど8823って曲あるじゃない?今日もやらせていただいたのですが。あの曲の時ステージ左右のモニターにうちら4人の姿が映るらしいんだけど、俺だけいないことが多いんだよね。多分動き回ってるから笑 あと8823の最初、このモニターでうちらの静止画が動くんだよね。うちらの切り抜きの顔写真みたいなやつが編集でたくさん動く映像があるんだけど。今日なんかヤバい顔してるのあった??自分で観れたらいいんだけどさ。いつかスピッツのライブを生で観るのが夢です笑」

マ「続いて、キーボード・クージー!」

ク「先日、新千歳空港から札幌に来る道のりで鹿がいました。」

(会場爆笑)

ク「そういえば昨日言い忘れてましたが、ホッカイディー!!」

(会場大拍手)

ク「北海道に住んでいる人って意味ね。あと昨日、田村とテツヤの立ち位置について話してたじゃない?今日テツヤが珍しくこの辺(田村ポジションのやや後方を指差す)まで来たのよ。3曲目くらいの時だったかな?これって初めてじゃない?」

マ「試しにテツヤ今1回そこ行ってみてよ笑」

(テツヤ氏、そこまでは行かずボーカルマイクの前に立つ。会場爆笑)

ク「やっぱり結界みたいなのが張られてるのかな?? ホッカイディーの皆さん、今日はどうもありがとうございました!!」

マ「続いて、ドラム、﨑ちゃん!」

﨑「本当に素晴らしいライブをありがとうございました!すごく楽しかったです!ところで昨日はスピッツが初めてライブをして34年だったらしいじゃん?俺とテツヤが当時通ってた専門学校の食堂みたいなところでライブしてたんだけど、その時10バンド出演しててそのうち5つ俺参加してたんだよ笑 その中でスピッツは順番が最後の出演だったんだけど。俺栃木出身だったからトッチーって呼ばれてたんだけど、友人に"トッチー、スピッツが一番似合ってたよ!"って言われて嬉しくてね笑…」

マ「続いて、テツヤ!」

テ「﨑ちゃん、スピッツが一番似合ってるよ!」

(会場大拍手)

テ「いやぁ、今日は本当にありがとうございます。よく、スピッツのライブに来てくれた人が元気もらったとか言ってくれることがあるんですけど俺らもそれより元気もらっているので!!最後に、ボーカル・草野マサムネ!」

マ「本当に素晴らしい夜をありがとうございました!残念ながら中止になってしまいましたが本来なら訪れる予定だった帯広や釧路での公演があったんですけれど、絶対にまた機会があれば行きたいです。個人的にも、なつぞらの帯広には行きたいし、ナイタイ牧場って場所に行ってみたいです。あと2年後くらいには野球の新球場もできるじゃない?あと、石狩(いしかり)!「あそびーち石狩」ってありますよね、綺麗な砂浜で有名らしくて。そこに行くまでは死ねないなぁと笑… この会場の誰かひとり欠けたら今日のこの空気感は絶対に作り出せなかったと思います。本当に今日はありがとう!」


EN2.1日目:猫ちぐら 2日目:野生のポルカ

1日目は「猫ちぐら」。昨年末に行われた猫ちぐらの夕べと同じくアコギで優しく丁寧に音を紡ぎ、奏でるシーンに穏やかさと温もりを感じた。昨年の自粛期間中に作成された楽曲であるが、実際に生でバンドとして集まり、演奏しているという目の前の現実が感慨深くなって涙がこぼれそうだった。

2日目は初日とは打って変わって加速感が半端ない「野生のポルカ」。直前のMCからの流れも汲んでなのか、サビでは"飛び回りたい石狩の空を~♪"と替え歌をしてサンバーストカラーのアコギをかき鳴らしていた。控えめに言って、本楽曲が今回のライブのセトリ全曲で一番盛り上がったんじゃないかなっていう認識。みんな跳ねすぎていてもうヤバい。個人的に今回のツアーで聴けて嬉しい楽曲TOP3には間違いなく入る。学生時代から長年聴いてきた名盤「小さな生き物」からの選曲というだけでも十分嬉しいのに、その中でも特に好きな歌をやってくれたという奇跡。終盤の"細道駆ける最高の野生種に~"の部分ではリーダー、マサムネさん、テツヤさんの3人がステージ前方スタンドマイク前に一列に並びハモるという神々しい光景を目の当たりにした。その背後で神のごとき異常な速度でドラムを連打する﨑ちゃんの姿もまた人間を超越したオーラを放っていた。


EN3.ヤマブキ

ストラト白

今回のライブを締めくくるはアルバム「見っけ」と同様、この曲。最後の最後まで全部出し切って欲しいと叫んでいるかのようなバンドの鬼気迫る演奏が最後の最後に牙を剥いた。それに対し有り余るオーディエンスの力も存分に応えていた。そんな僅か3分間。タイトル通り山吹色の眩しいライトアップが溌溂としたパフォーマンスにさらに磨きをかける。良い意味でホントに50歳を超えた人達が30年以上続けてきたバンドなのかな?と疑問を持ってしまうくらいとにかく無邪気で真っ直ぐで若々しくて迫力のある音像だった。さらには曲の終わり、"崖の上まで~~"はCD音源よりも遥かに長いロングトーンを飛ばし、そこに被せるように「見っけ」のアウトロの音が入るという予想だにしないアレンジが施される。一曲目から最後の最後までが実は一つの楽曲だったんじゃないかって錯覚してしまうくらい壮大なスケールでライブが行われていたことを知る。これぞ徹頭徹尾かと思わせる最高のアレンジで余韻を作り、幕は閉じる。





最後に

本当に素晴らしい2日間でした。執筆中もスピッツのライブに行きたいなぁとひたすら思いながら手を進めていました。新曲の「大好物」、楽しみですね。

そういえば会場の座席に着くとこのようなものが。

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アー写が描かれたツアーグッズのカタログのような冊子とメンバーのサインが書かれた色紙風のカード。カードの右下には公演日の日付と公演会場のご当地キャラのイラストが描かれており、初日は札幌市手稲区のマスコットキャラクター「ていぬ」、2日目は水曜どうでしょうでもお馴染みのHTBの「onちゃん」でした。これらがスピッツのメンバーに認知されているという事実だけでも嬉しい…ていぬなんて割とマイナーなのに笑

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サインの裏側はこんな感じのツアーロゴ。終演後に会場の外で夜空に浮かぶ月を背景に撮りました。偶然にも建物の真上に月が浮かんでいました。まるでこの星自体が2日間の公演を讃えているかのような奇跡的な演出。最高の夜でした。

更新が大変遅くなってしまいましたがこの度は読んでいただき、ありがとうございました!




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