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ホンモノをくれよ!!!

「ホンモノの水をくれよ!!!」
私が花の都、パリで声高らかに叫んだ言葉である。

人生、そうあるもんじゃないと思っている海外旅行。
美術史を学ぶほど、予てから文化に興味があった中世芸術をみるために渡仏した。

そんな夢の滞在2日目にして、悲劇が襲ったのである。
過去に経験のない腹痛。
石器ですり潰される類の痛みでやたら持続し、加えて強弱波のある嫌な感覚だった。

原因は水だ。ヨーロッパならではの硬水。
そんなこと忘れていたよ。気づいた時には遅かった。
独特の味がするな、とは思ったけれど「おフランスはやっぱり水も一味違うわね」という謎のマダム(心に棲息)のせいで違和感にはならず、普通にスルーしてしまった。

もうこれ以上悪化させるのは無理なので、血眼になって軟水を探し回るのだが、これが本当に売っていない。
腹痛のせいで集中力が普段の1/3もないせいもあるが、間違えて炭酸水(硬水)買ったりてんやわんやだった。
回りに回って多分6軒目か7軒目、やっと英語で軟水と書いてあるペットボトルがあり、しかもダース売りだ!!!と歓喜したのだが、ラベルをみると「eau dure」の文字。

硬水やんけアホ!!騙すなや!!!
ホンモノの水をくれよ!!!!!

東京都在住 25歳男性 魂の叫びがパリの街角に響き渡る。

※eau dureは仏語で硬水。軟水はeau douce。





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