地球に全力で抵抗する21歳
地球が最近、調子に乗っている気がする。確かに地球温暖化とか森林伐採、勝手に地面をアスファルトでガチガチにしているのは人間だから、地球からしたらいい迷惑なのかもしれないが、その見返りとして訳分からんぐらいの嵐をぶつけてきたり、謎のタイミングで馬鹿みたいな雨が降り出したりすることが多すぎる。勘弁して欲しい。
私は特に気を使っていた訳では無いのだが、他の人達に比べれば地球に優しい人間だったと思う。移動は極力自転車でやってきたし、カップラーメンの残り汁を流すと環境に悪いから、自分の健康を犠牲に全て飲み干してきたし、重度の花粉症だけれども杉やヒノキの木をぶっ倒したりはしていないし、地面を踏みしめる時は常に感謝の気持ちを持っていたし、太陽に対する感謝の気持ちも忘れたことが無い。なのにこの仕打ち、非情にも程がある。
だから、私は全力で抵抗する意志をもって地球を迎え撃つ。そこら辺に生えている草は蹴散らすし、朝起きて外が晴れていたら暴れるし、地団駄も踏みまくるし、拳で抵抗するし、やはり心理的に攻撃するのが1番効果的なので夜になったら空に向かって絶叫する。これくらいのことでは今までの仕打ちに対する報復の3割も出来ていないが、何だかこの文書を書いていて情けない気持ちに段々なってきてしまって、いたたまれない。私は、既に白く光を失った月を仰いで、二声三声咆哮したかと思うと、又、元の叢に躍り入って、再びその姿を見なかった。
(山月記 〜完〜)
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