なんでネパールに住んでいるの?-(1)
何故ネパールなのか?
ネパールの山奥でニジマスの養殖をしている村田です。
初めてネパールに来てから13年、ネパールで結婚して定住するようになってから九年目になります。
日本へは結婚直後に二週間ほど一時帰国したきりでそれ以来一度も帰っていません。(単にお金が無くて帰れなかった。)
そんな私を見て不思議に思うのでしょう。
ネパール人の友人は口を揃えて言います。
「なんでネパールに住んでいるんだ?」
「ネパール人は全員日本に住みたいと思っているぞ!」
「お前はおかしい!」
私にとって、この質問に正確に答えるのはとても難しい。
何故なら自分でもよく分かっていないからだ。
生来生真面目な性格だった(過去形)私は社会人になってからは辺り一面の地面にこぼれている米粒の様なものを必死で拾い集める様に脇目も振らず仕事に没頭して来たような気がする。
地面にしゃがみ込んで必死で目の前の小さな粒をひとつぶ一粒拾い集める事に夢中になっていた。
で、ある日ふと我に返って顔を上げて辺りを見回してみると、そこはネパールという場所だった訳だ。
ただそれだけである。
何かに夢中になれば知らないうちに知らない場所に紛れ込んでしまうような事は誰にでもよくある事である。
だから答えようがない。
でも、逆に考えて「なんで日本に住んでいないのだろう?」と考えると答えは簡単見えて来るようだ。
私は日本人が仕事着の様に着込んでいるうちに身体と一体化してしまった様な金属製の西洋鎧のような物がとても嫌いだ。
何をするにも他人の目を気にしなければいけない所も耐えられない。
重い鎧を着込んで金属製のマスクで顔を覆い、視界も定まらずに、ぎこち無く動いている様は果たして血の通った人間なのかロボットなのか気味が悪くなる。
何故素直に鎧を脱いで地で行ってはダメなのだろうと思う。
それに、会社組織の中で馬鹿な上司の戯言に付き合わされて人生をドブに捨てるのも、朝から晩まで非生産的な業務を続ける事にも幸せを感じられない。
しかも、そおいった他の誰もがなんの苦労もなくこなしているように見える「他人と同じことをする」というここが全くできない自分自身が嫌でたまらなかった。(勿論全員がそうでは無いし、普段は重い鎧を着ていても親しくなれば素顔で語り合える人が殆どではある。仕事だって私が今まで係わって来た仕事はとても恵まれていたし、上司からも随分可愛がられたと思っている。でも、たまにそうでないことがあると酷く落ち込んで全てが悪く見えてしまうものなのである。)
要は私は現代日本人があまり好きになれない性格だったのだ。(友人は日本人とか何何人とかではなくやはり友人なので日本人の区分には入らない。)
そんな訳で私は日本に住み続けたいとは思っていなかった。
ならば、さっさと好きな国に行って暮らせば良いと思うのだが・・・若い頃から極端な外国嫌いで・・・警察などで取調官が外国人だったりしたら、どんな恥ずかしい秘密でも全て喋ってしまいかねない程で、それが原因で仕方なく日本で働き続けるしか方法は無かった。
そんな私が「これではいけない。」っと思ったのは24の時だった。
「どうしても今の自分を変えたい! もうこんな自分には耐えられない!」
そう思って色々な人にも相談した。
そして、ある先輩から耳寄りな情報を得た。
「自分を変えたかったら自分の一番苦手な事に挑戦しなさい。」
これにはなるほどと唸った。
自分が一番苦手な事・・・つまり外国に行くこと・・・具体的にはJICAボランティア(青年海外協力隊)に参加する事にした。
つづく