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【初心者向け】カメラの映像ノイズを減らすには 〜ISO・ゲインとノイズの関係性〜
今回のテーマは、カメラの映像とノイズの関係について。
配信に乗るカメラのザラザラしたノイズ、あれはなぜ起きるのでしょうか。
今回はカメラのISO・ゲインの設定から、映像ノイズを減らす考え方を初心ん者向けに整理していきます。
この記事について
この記事は、先日公開した記事を初心者向けに書き直したものです。
あちらは機材比較というマニアックな内容でした。この記事では「カメラの映像ノイズ」という、より大きなテーマに焦点を当て直しています。
結果的に全然違う内容になっていますが、前提理解としてこの記事をお読みいただければと思います。
ISO(ゲイン)について
カメラ・ビデオカメラで撮影する時、映像の明るさを決める設定に「絞り(アイリス)」「シャッタースピード」「ISO(ゲイン)」があります。
この3つをうまく調整することは、自分の意図した映像作りに繋がります。カメラを使う上で大事な設定です。
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引用:「【初心者向け】配信におけるカメラの基本設定 前編 〜映像の明るさを決める3要素 絞り・シャッタースピード・ISO〜」より
中でも「ISO(ゲイン)」は、高い値にするほど映像が明るくなる設定です。「感度の設定」と呼んだりもします。
しかし、ISO(ゲイン)は高めるほど映像のノイズが増えていきます。電気的に明るさを増幅する機能なので、無理矢理明るくした状態になるのです。
そのため、ノイズの少ない映像にするには、ISO以外の方法で明るさを稼ぐことが大事になります。
ISO(ゲイン)によるノイズの変化
「ISO(ゲイン)」の設定でどの程度ノイズは増えるのでしょうか。
こちらはライブ配信で使われることの多い「SONY FDR-AX700」で比較した動画です。
※映像の明るさが大体同じになるよう、照明で調整しながら比較しています
いかがでしょうか。最初の33dBではかなりノイズが目立ちますが、0dBではノイズが全くありません。
9dBでも目立たない範囲だと思います。10dB前後ならそこまで気にせず使えそうです。
ノイズの現れ方は機種によっても異なるので、お手元のカメラで挙動を試すのが良いかと思います。
ISO(ゲイン)の調整方法
では実際にカメラではどう設定を行うのでしょうか。感度の設定には「ISO」と「GAIN」の2種類の呼び方があります。
呼び方は違いますが、どちらも同じ感度の設定です。歴史的な経緯から、スチルカメラではISO、ビデオカメラではGAINと呼ばれることが多いです。
メーカーによって扱われ方も違うのですが、例えばPanasonicの製品では明確に使い分けられているようでした。
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ISOは「ISO640」のような数字で、数百〜数万の幅で調整します。低すぎると逆にノイズが出るので、大体600〜800辺りがベストなことが多い印象です(機種によって違います)。
GAINは「dB」の単位で、ゼロ〜数十の幅で調整します。昔は原則ゼロdBで運用していたようですが、カメラの進化で多少上げても大丈夫になってきた、とVIDEOSALONの記事に書かれていました。
お使いのカメラにはISOかGAINの設定があります。機種によって異なるので、マニュアルを見ながら設定してみてください。
ノイズを増やさず明るくするには?
ノイズ少なく映像を明るくしたい時は、ISO以外の方法で明るさを稼ぐ必要が出てきます。
カメラのISO・ゲイン以外の設定でも稼げるのですが、最終的には照明が重要になってくるはずです。
1.カメラの設定を変える
カメラには他にも映像を明るくできる設定があります。それが「シャッタースピード」と「絞り」です。しかし、これらはISO・GAINに比べて変えづらさがあります。
例えば「絞り」は、低い数字にすると映像が明るくなりますが、同時にボケみが増します。ボケ過ぎは見づらくもなるため、番組によっては自由に変更できないこともあります。
また「シャッタースピード」ですが、基本的には1/50・1/60・1/100・1/125のいずれかに設定します。これは違和感のあるブレやフリッカー(蛍光灯などの点滅)を防ぐためです。
詳しくは以下↓の記事をご覧いただきたいのですが、シャッタースピードも自由に変られる設定ではないのです。つまり、カメラの設定以外の方法で明るさを稼ぐことが大事になってきます。
2.照明を置く
ここまでカメラの話をしてきましたが、映像を明るくする上で照明の活用は重要です。天井照明だけだと暗い会議室も少なくありません。
絞り・シャッタースピード・ISOを決めたら、照明で明るさを調整。最後に、足りない分をISOで調整ができると良いのかなと思います。
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引用:「私の仕事でのライブ配信振り返り 〜意外な照明配置で印象が変わりました〜」
とは言え、照明も非常に奥深い世界です。会場の広さ、観客の有無、作りたい映像の雰囲気によって、使う照明機材も変わってきます。
色々な照明機材を比較したこともありますが、あくまで登壇者を間近で照らす前提の検証です。有観客のイベント会場になると、他も含めてトータルで考える必要が出てきます。
この辺りは自分に知見がないので、ぜひコミュニティの皆さんからもノウハウを得ながら学んでいきたいテーマです!
3.センサーサイズの大きいカメラを使う
最後に、より性能の良いカメラに買い替えるという選択肢です。センサーサイズの大きなカメラを使うと、より低い感度でも映像を明るくすることができます。
カメラには光を取り込むセンサーがあり、サイズが大きいほど映像は明るくなります。サイズの種類には、例えば「フルサイズ」「1インチ」などがあります。
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1インチより小さいセンサーもあります
ビデオカメラは大きいものだと「1インチ」を搭載しています。そのため、1インチセンサーのカメラに変えるのは手の一つです。
より大きいセンサーもありますが、これらは主に一眼カメラに搭載されています。そのため、高価格になりやすく、また熱暴走のリスクも上がるデメリットがあります。
いずれにしろお金のかかるお話ですが、一つの選択肢としてお考えいただければと思います。
以上、ノイズの観点からカメラの設定や運用の考え方を整理してみました。
色々と書きましたが、普段はオート設定で運用している方も少なくないと思います。もちろんオートの運用でも問題なければ大丈夫です!
オートを使っていてもしノイズが気になるという方がいれば、この記事がご参考になればと思います。