2024/10/13 「BEAT DOWN vol.1」に寄せて

まえがき

ARTIFACT OF INSTANT
再始動後初のライブが終わった。(ちょっと前に)

そもそも好きなバンドが解散、活動休止をした経験が僕にはそんなにない。
片手で足りる程度の数だ。
(KEYTALKの話はやめようね)

AOIの活動休止から再始動にかけての話は前にしたので割愛。
こちらをば。


昔はライブについて一回一回わざわざ投稿していたけど、
今は看板を載せるだけになった。
自分さえ覚えていればそれでいい、結局いつか忘れる。
ここ数年はそんなふうに考えている。
書いてよって言われたら書く時もあるけど。
(リクエストもらってる9/23@MOJO、8割書き終わってるからもう少し待っててください)

でもまた最近「書いといてよかったああああ」と思うことがあったので、
書ける時に書いとこう。

とはいえ。
正直何を書いたらいいのかわからない。
もしかしたら書くことがないのかもしれない。
頭から思い出します。

開演までの話

前日に佐賀にライブを観に行って、
友人の車で移動、そのまま熊本で宿泊。
(すごく綺麗で良い家だった)
朝起きてなんやかんやして宮崎へ。
着いてすぐホテルへチェックイン。
あの頃はホテルをとる余裕なんかなかったな。

宮崎のこの辺りを歩くのもかなり久しぶりだった。
先月はこっちの方来なかったからな。
記憶がどんどんハッキリしていく中で辿り着いたビル。
長い階段をいそいそと登った先には4年ぶりのFLOORが待っていた。

やっぱり、ここだったか。
あのアー写の女の子が立つ場所、見覚えのある場所だと。
朧げな記憶を辿ってここじゃないかと気がついた時に
「つまりはそういうこと?」と期待していた通り、
一発目のライブはFLOORだった。
今、その扉が開こうとしている。

入場特典のブックレットを受け取り、
「え、終演後がありがたいんだが」
と思いながら客席に足を踏み入れる。
ここから一時間、暇だなとブックレットを開くと……
おっとここから先は次のライブでブックレットを買ってね。
ステージには昨夜も観たお馴染みのさよならポエジーの機材が並んでいる。
そういえば最近またドラムを前に出さなくなったな。

……60分間、いろんなことを考えた。

今日はどんなライブになるだろう。
BEAT DOWN、打ち負かされるのは5年ぶりにライブをするAOIの方なんじゃないか?
そうなればザマァ無いこと、この上ない。
さよならポエジーもSIX LOUNGEもAOIがおらんやった時期もコンスタントにライブをしているんだから簡単に勝てる相手じゃないぞ……。

とか

殴り合ったその先にあるのは果たして勝ち負けなのか?
どうせ最後にはみんなで肩組んで笑ってるんだろう?
ここまではっきりとタイトルにして殴り合う意味ってなんだろう。

とか

BGMにはLONE、LILI LIMIT、ORANGE POST REASON、BAN'S ENCOUNTER、Red in Blue、神はサイコロを振らない、リーガルリリー、KOTORI、the chef cooks meなどが流れていて、
うわーまたこの人たちとも対バンしてほしいなー

とか

イヤホンをつけて歌詞カードを読んで自分のアテにならない予感が当たってしまった気がしてそれに喰らっていたり……

とか。

そうこうしてるうちにさよならポエジーが出てきた。

さよならポエジー

AOIと彼らは案外節目に対バンをしていたりする。
現状最後のツアーとなっているRecoilツアー、5年前の大分。
彼らも一度ライブ活動を休止していた時期がある。
(メンバー脱退に因るものだったので制作はしていたし、
結局半年程でライブハウスへ帰ってきたが)

ここ最近のさよならポエジーは「SUNG LEGACY」のツアーが終わっても尚、
ライブはツアーの雰囲気を継承している。
1曲目はボーイング、ラストはきずかないままが続投。

「良い一日にしたい」

「今日のお客さんの中にも宮崎にさよならポエジーが来るから来たって人おんのかな。……おらんな。笑」

と言葉は少ないままライブは進んでいく。
'邦学のススメ'という懐かしい曲も久しぶりに演奏されたのは、
いつかりょっくんが好きだと話していたからか。

「8年ぶりの対バン?
あの頃と全然変わってないって言いたかったけど、
何もかも変わりましたよ。
変わらないものはありませんでした。
変わっちゃったけど、唄だけはここにあったっちゅうかね。
おかえりなさい、AOI。」

「バンドやってて良かったって思いました。
さよならポエジーを呼んでくれてありがとう。
もうすぐ終わります。」


定石通り'きずかないまま'を演奏した。
あの曲はやらないのかな…と思っていたら、
「最後の曲です」と'オールドシンク'を。
そうだよな、この曲は今日やらないといかんよな。
ここ最近の定石を壊してこの曲を締めに持ってきた。
この曲の役目はこの日終わったのかもしれない。

時折雄叫びのような咆哮をあげるようになったオサキアユをタツロウさんは観たことがあったんだろうか。
あの頃と一見変わっていないようで、
実は緩やかな変化を遂げたさよならポエジーを観て、
どう感じたんだろうか。
袖にちらっと見切れる、記憶よりも細くなった彼の腕に思いを馳せる。

他のAOIのメンバー、早衣子さんは特に休止期間にも何度かライブを観ていたと思うけど、
AOIのために宮崎に来たさよならポエジーをどう思っていたんだろう。

1.ボーイング
2.抜殻

3.夜に訊く
4.觜崎橋東詰に月
5.邦学のススメ
6.二月の中を/February
7.金輪際

8.前線に告ぐ
9.きずかないまま
10.オールドシンク


SIX LOUNGE

当時のことだけで言えばAOIとよく対バンしていたのはSIX LOUNGEの方が多かった。
お互いのツアーや企画に出たり、
AOIを観に行けば彼らの姿があったり。
当時はまだ高校生だった。
(すごく覚えてるのは、
リクちゃんが高校の授業が終わってから福岡に向かうバスに乗るも渋滞で遅れてしまい、
出番をORANGE POST REASONと交代した話とか。)

正直彼らに熱心になった時期はない。
強いて言えば「東雲」というアルバムはよく聴いていたが、
それ以降は年に数回ライブを観るくらい。
この距離でライブを観たのはそれこそ8年ぶりくらいになるが、
どことなく懐かしさはあった。

この日は懐かしい曲は意外と特になく。
'SHEENA'と'メリールー'くらいかな。
前者はAOIとの対バンを意識した選曲なのかもしれないが、
最新のSIX LOUNGEで立ち向かうということか。

「久しぶりなんでAOIぶっ倒そうと思います!!」
と叫ぶユウモリ。
並々ならない気合いが見える。
5年前、大分のライブでAOIに惨敗も惨敗、
大敗を喫したことを思い出させる。

「8年前すごく泣きました、あれから8年も経ったのか。
ずっと憧れだし観たかったバンドだから、今日はもうそれだけで超嬉しいです。」


外野から言わしてもらえば実は彼らが一番変わってないのかもしれない。
見た目は少し変わったけど、
ライブには昔のガムシャラさを久しぶりに感じた。
AOIと対バンだったからかな。
暖かい気持ちになった。

1.カナリア
2.DO DO IN THE BOOM BOOM
3.SHEENA

4.言葉にせずとも
5.ナイトタイマー
6.アナーキー・イン・ザ・人生
7.スピード
8.トラッシュ
9.ピアシング
10.ピアシング

11.リカ

12.メリールー
13.天使のスーツケース
14.僕を撃て


ARTIFACT OF INSTANT

ライブを待つ間、誰とも話したくなかった。
集中したいわけでもなく、
転換の様子を観たいわけでもなく。
寧ろセッティングしてるのはあまり観たくなかった。

それでも視界に入ってしまうもので。
やはり4人の姿に想うのは「いつも通り」だった。
懐かしいとも感慨深いとも思わなかった。
5年ぶりにしっかりと観るタツロウさんの姿にも「痩せたな」としか思わなかった。
いや、早衣子さんの前髪だけは確認して安心していたな。

暗転、SEはあの頃死ぬほど聴いた'surround'
しかしいつもと違うのはあのタイミングで出てこない。
ゴタついてるのかと思っていたら遂にSEは終わった。
いや終わってなかった、この日のSEには続きがあった。

きっとみんな戸惑っていたからメンバーが出てきても歓声は上がらず拍手のみ。
SEが止まる。

「ARTIFACT OF INSTANT ver.2.3、軽微なバグを修正しました」
のアナウンスを遮るように始まったのは4年ぶりの新曲 '決別'だった。
この瞬間が来るまで誰も予想してなかったと思う、
新曲を携えて帰ってくるなんて。
やっぱり相変わらずAOIは規格外のバンドだ。

僕はというと少し複雑な気持ちでステージを眺めていた。
大好きなバンドの新曲に、その歌詞に、戸惑っていた。
新曲はおとなしく観てしまいがちだけど、
この日はいつものそれとも違う気持ちになっていた。
この曲についてはまだよく解っていません。
答え合わせするのも怖い。

「宮崎ライブしようぜ!!」
と懐かしい煽りを聞いてようやく僕のスイッチもバチンと入る、
いや歪みエフェクターを踏んだ時のような、
僕の中で何かが爆発した。

ともえ 改 '巴'のイントロの瞬間、
フロアも急に熱を帯びて、
'ナイトダイブ'で更に勢いは加速してった。
(峻さんはカポを外し忘れてましたね、どんまい)
随所に入るドラムのアレンジが懐かしかった。
ここ数年は音源でしか聴けてなかったからね!!
曲が終わった瞬間の歓声は、この日一番大きかった。

「8年前に活動休止をしました。
5年前に一度大分でライブをしまして、
その時はお祭りの引き立て役だったので言えませんでしたが……
ただいま。」


'極楽鳥'、'0℃'と追撃の手は緩まない。
0℃でりょっくんが立ちあがるところも懐かしかったなぁ。

この辺りのMCでタツロウさんが「あげぽよ〜」って言って信じられないくらい滑ってた。
令和になって初めて聞いた、AOIより懐かしいわ。

なんかいつもと違うなぁとずっと違和感があったのだけど、
早衣子さんがMCしてたからだ。
当時はしてなかったからね。

「さよならポエジーは俺らが活動休止した時に俺らのことを歌ってくれて、
今日やっとそのアンサーを返せます」

と'暁鐘'。

さよならポエジーへのアンサーもそうだけど、
あのコロナ禍で言っていた「この曲をライブで聴きたいと思ってくれるかもしれない」の言葉もこの瞬間果たされたわけだ。
1曲目とは打って変わって初めて聴くのによく知ってる、
よく知ってるのに初めて聴く、
不思議な気持ちだった。

そこから雪崩れ込むように'EGO'へ。
8年前に一度だけ聴いた繋ぎをまたここで聴けるとは。
一瞬の静寂の後、歌い始めた'僕と君'には驚いた。
これは元々タツロウさんがAOI脱退後にソロで歌っていたりカジカンで演奏したりしていた曲。
この日はAOI ver.ということでカジカンとも全く違うアレンジ、そこにひとつの完成をみた。

ここで最後のMCがあったのだけどそれについては書きません。
齟齬があったら嫌だし、これはこの場に居た人だけのものでいいかな。
本来ライブで話をするってそういうことやと思うから。
(俺は過去無粋にも色々バラしてきてしまった)

「迷える全ての人へ」
と始まった'葛藤と未来展望'
「それでは、いつかまた!!」
と叫んだ'いつか、また、'。

AOIを語る上では外せない2曲。
どちらも演奏されるのは8年ぶりだった。
上にも書いた「それでは、いつかまた」は当時からこの曲を演奏する前に必ずついてきたタイトルコール。
8年前のワンマンもそうだった。
5年前は演奏されなかった。

この日、8年越しにやっと約束を果たしてくれた。
最後のラララでマイクが客席に向けられた時の大合唱、
それを聴いたタツロウさんの「愛してるぜ!!」
もうこのライブは実質この一瞬のためのようなものだった。

本編終了。
拍手とわんもーの声に呼び込まれてステージに再び現れたメンバー。
新曲の説明をした後、'天邪鬼の行進'。
それでも足りず三度ステージに戻るメンバー。
ここから先はもう映像をご覧いただきたい。

この大合唱、すごくないですか?
ここサビやないのにこんなにみんな歌えるなんて。
もうこのライブは実質この一瞬のためのようなものだった。(2回目

「君が笑う顔が好きだ」
はタツロウさんの書いた歌詞の中で今一番好きなフレーズです。

記念写真撮影の後、ほんとのほんとに全編終了。
こういうのも何だか久しぶりだね。

1.決別
2.巴
3.ナイトダイブ

4.極楽鳥
5.0℃

6.暁鐘
7.EGO
8.僕と君

9.葛藤と未来展望
10.いつか、また、

en.1.天邪鬼の行進

en.2.不甲斐ない僕らは空を見上げた

あとがき

みんな、変わったよ。
りょっくんはライブ中よく笑うようになった。
早衣子さんはよく話すようになった。
峻さんは金髪になっていた。
タツロウさんは痩せていた。

でもそれ以外、何も変わってなかった。
俺たちが大好きなAOIだった。
ステージに居たのは俺たちがあの頃夢中だったAOI、そのものだった。
(勿論ブランクを感じる瞬間は所々あったけどご愛嬌の範疇)

そして何よりみんな笑っていた。
客も、バンドマンも。
「君が笑う顔が好きだ」と歌うバンドを中心に集った人々はみんな笑顔だった。
それがこの日の答えだし、それだけなのがよかった。
楽しかった、嬉しかった、それに尽きるよ。

BEAT DOWN、本当にあなたたち殴り合ったんですか。
打ち負かされた人なんて誰も居なかったじゃないか。
結局みんな笑ってるじゃないか。
最高じゃないか。

俺が俺の人生を歩めていること。
道中に人と出会って離れたりまた出会ったり二度と会えなくなったり。
結局その繰り返し。
今回はそのインターバルが長過ぎたけど、
時間を埋めるのに、大した時間は必要なかった。

ARTIFACT OF INSTANT、本当に出会えて良かった。
この人生で良かった。
ありがとう、これからもよろしくお願いします。

AOIの公式Twitterより引用。
ほら、みんな楽しそう。

で、次はいつやんの?

p.s.
Tシャツ黒、買えなかったんで再販してください。
ロンTeeも欲しい。
あとタツロウさん個人のやつも買えなかった。
そういや、新曲の話はどこまでしていいんですか?

p.s.2
熊本から宮崎への移動中。
友人が初めてAOIを観ると言い出した。
曲も全然知らないという。
「知らなくていい。観てしまったらいい。世界が変わるから」
と散々ハードルを上げていた。
終演後に「ハードルを余裕で超えてきた、本当に世界が変わった。」
と話していた。
まだまだAOIには知られてもらわないと困るなと実感した。

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