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2024年シーズンを振り返って

ジェフ千葉との開幕戦を迎えた2024年2月24日。前日までの快晴からうって変わり、凍えるような寒さと冷たい雨が降った関東地方。

始発でスタジアムへ向かう、なんてことを今までしたこともなく、朝5時の駅前のコンビニはまだ開店前で、
「今時のコンビニって24時間じゃないんだ、へえ」
なんて思ったことを憶えている。

この試合と翌週の栃木SCとの開幕2連戦を何れも逆転で制し、力強くそして鮮やかなその姿に、誰もが確信した「今年こそ」。

その上昇気流にいきなり蓋をされたのは、早くも翌節からだった。
後に昇格する横浜FCに完敗すると、ホーム2連戦をあっさりと落とす。
5試合で2勝3敗。
「昇格するチームって、1年間でどれくらい負けてんだろう…」なんて調べてみると、既に半分近くの負けを5試合で消化してしまっていた。

「今年こそ」はいつしか「やっぱり今年も」に変換され、いつも見た光景がやっぱりそこには展開されていた。

そこからのモンテディオの戦いぶりはひと言で言えば「パッとしない」。

去年8連敗した時のような絶望的な状態ではない。
一方で、快勝したかと思えばあっさり負けて、気合い入ったかと思えば力なく下を向く。

「今日こそ大丈夫でしょ!」と意気揚々とスタジアムへ向かっては、その余りに楽観的な希望は黒星という現実となって跳ね返ってくる。

オフの補強は他チームのサポーターからも称賛されており、なまじ、歯車さえ合えば勝ちだすんじゃないかという淡い期待がある分タチが悪い。

いつの間にか昇格は目標から夢物語へと代わり、降格は無視できない現実として迫ってきていた。

個人的なことを言えば、3試合に1試合のペースで現地に赴いていたにも関わらず、最後にブルイズを踊ったのは2節、3月2日の栃木戦。次に勝利を見届けたのは8月24日の藤枝戦。
実に未勝利期間は半年近くに及んでいた。

言わずもがなだが、この「いつもの感じ」を粉砕し、チームに力を与えてくれたのは3人の救世主。

6月20日 ディサロ燦シルヴァーノ 完全移籍加入
7月25日 土居聖真 完全移籍加入

一昨年、藤本佳希の大怪我離脱の穴を埋め得点を量産。モンテディオサポーターに未だ愛され続けていたストライカーが、今度は完全移籍で復帰。

山形出身で、古豪鹿島アントラーズのレギュラーでキャプテンマークまで巻いたファンタジスタ。元日本代表の郷土選手が初の移籍先に選んだのはモンテディオ山形。

確実にこの2人の加入はモンテディオに力を与えた…与えたというよりは、元々持っていた力を引き出してくれた、がしっくりくる。

モンテディオはここから障壁となっていた蓋を吹き飛ばし、再び上昇気流に乗り始める。

そしてもう1人忘れてはならないのが城和隼颯。
ザスパ群馬の主将として最終ラインを支えていた選手の完全移籍が発表されたのは8月13日のこと。
安部崇士-西村慧祐の2センターバックが安定感抜群だったため当初はなかなか出番がなかったが、西村選手の怪我離脱で出番が回ってきた。

それまでの安部西村コンビが不動だっただけに危惧する声も少なくなかったが、城和選手はこの危惧を杞憂にプレーで変えてくれた。

土居聖真が初めて出場した25節開始時点でのモンテディオは、プレーオフ圏内まで勝ち点差9。
残り試合を考えれば「限りなく全勝」が求められ、数字上進出の可能性はあったものの、現実的なそれは決して高いものではなかった。

しかし…

ここからのモンテディオはまさに「破竹」。
「そうは言ってもそろそろ止まるかな…」を一戦一戦跳ね返していく。
怒涛の如くの9連勝でリーグ戦をフィニッシュ。
4位でプレーオフ進出、初戦のホーム開催権まで得てみせた。

悲願のJ1復帰まで、あとたった2つ。

リーグ戦終了から3週空いたことで、初戦は勿論、2戦目がどこで開催になろうと対応できる準備は整っていた。

長崎で開催であればスタジアムシティホテルを確保し、現地であたふたしないように交通アクセスまで念入りに調べて。

ホームで仙台戦となるのであれば、始発の新幹線で行き、日帰りプランと1泊プランの両方どちらにでも転べるように準備。

ああ、これは好きな女の子と初めてのデートに行くときの感覚。
浮かれていたのとはちょっと違う、ドキドキしながらも念入りに準備するこの時間の愛おしさたるや。

結果はあまりにも残酷だった。

好きな女の子は、残念ながら他の誰かを選んでしまったとでも言おうか。

旅程は全てブレイクとなり、ワクワクしながらその時を待つはずだった一週間をファジアーノ岡山とベガルタ仙台のサポーターに譲り、こちらには一つ一つ、抜け漏れがないかを確認しながらキャンセルをしていく虚しい時間が待っていた。

迎えた12月7日。

NDソフトスタジアムでベガルタ仙台を迎え撃つはずだったその時間、私は一切プレーオフには意識を向けず、ひたすら家のキッチンの大掃除に勤しんでいた。

J2昇格プレーオフ決勝も、J1昇格プレーオフ決勝も、結果をネットで調べたのみ。
ハイライトも未だに見返してはいない。

2025シーズン、モンテディオ山形はJ2からスタートする。

こんなにも虚無感に襲われ、こんなにも喪失感を憶え、そしてこんなにも悔しかったことはなかった2024年シーズンが終わった。

今年現地に赴いたのはホーム7試合、アウェイ10試合の18試合。
18戦7勝4分7敗。

あるサポーター仲間が、意気消沈したプレーオフ岡山戦の帰路で呟いた。

「今はこうだけど、日程が発表されれば目を輝かせて旅程作るし、新ユニフォーム発表されれば心躍って買う」

その通りだ。

現在チームは更新・満了・移籍のリリース真っ只中。もう次に向かって走っている。
そこに悲喜こもごもがあるのも、モンテディオを愛しているからこそ。

それぞれにそれぞれの着火点があり、熱量がある。

もしかしたら、来年は、今年ほど現地には行けないかもしれない。

それでも、モンテディオ山形が自分の心のど真ん中にズドンといてくれること、それは変わらない。

2024年、ありがとうございました。

#モンテディオ山形
#montedio

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