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(エッセイ)猫が突然やってきた!


第一発見者は先住猫


 
8月末のある日、もともとキャンプに出かけようと予約をしていたのですが、台風の迷走で大雨となり、安くないキャンセル料を払って中止にしました。かみさんとなんとなくリビングにいますと、ベランダ方面から猫の鳴き声が聞こえてきました。窓を閉めていると隣の犬さんの声も聞こえないくらい気密はいいので、同じフロアの住人さんの猫が、外に向かって鳴いているのかな、かな、と思っておりました。しかし、時々れんげ(我が家の猫)が外を気にするので

先住猫のれんげ。保護猫で5年たっても触れない

わたしたちも外をベランダを気にして見ておりました。
 それからしばらく経って、普段は人のことなど気にしないれんげがひと鳴きして、隣の部屋の窓からじっと外を眺めています。しかし姿は見えません。妻が確認のためにベランダに出てみると、台車のわずかな隙間から、ぼそぼそのちっちゃな毛の塊が走り去るのを目撃しました。どうやら子猫が同じフロアのベランダを行ったり来たりしているという状況は理解できました。喉が渇いているかもしれないので、水を置いてみると、飲みに現れました。

水を飲みに来た毛玉



 低層階とはいえ、1階ではありませんので、マンションのベランダに猫がいるとすれば、他の家の子に違いありません。すぐに管理人さんにお願いして、同じフロアの住人さんに「猫がいます」という連絡をしてもらいました。
 翌日は妻は出勤。私は授業期間中ではないので在宅勤務(働いてなんかないだろう、といつも疑われておりますが)。れんげは相変わらず外を気にしていますが、昼間は鳴き声は聞こえてはいませんでしたので、どうやらどこかに回収されたようだ、と安堵しました。しかし、夜になってもれんげが外を見ているので、帰宅した妻が見たところ、台車の下に潜んでいた猫が飛び出していきました。

 捕獲作戦

 このまま放置しておけば、ベランダから出られないまま衰弱してしまいます。とにかく自力ではここから抜け出せないから、行ったり来たりしているわけです。しかも段々、うちにいると思われる時間が長くなってきました。外は真夏ですし、このままでは確実に死んでしまいます。とりあえず、体力を維持させるためにおやつを置くとあっというまに平らげます。でもベランダに出るとさっと逃げてしまいます。うちで保護するということも考えられますが、問題は先住猫のれんげ。とにかく警戒心が強く、飼って4年になりますが、いまだに抱っこもできません。宅配便のチャイムがなると、一目散にケージに逃げ込む始末。
 とにかく脱出だけさせて外に出す、というのも一つの選択肢かと考え、れんげを譲ってもらった保護猫センターの人に相談してみようということになりました。とにかく脱出だけさせて外に出す、というのも一つの選択肢かと考え、れんげを譲ってもらった保護猫センターの人に相談してみようということになりました。

「外に逃がしてやる、というのでも?」
「だめだめだめ、確実に死んじゃう。箱におやつを置いたりして捕まえられない?」と言われたので、試してみると、おやつは食べたあとがあっても、姿は見えませんでした。

 翌日。結局どの家からも「うちの子です」という申し出はなかったとのことだったのと、鳴き声が聞こえなかったのとで、何らかの手段でマンションから離脱できたか、他の住人さんが助けてくれたか、あるいは鳥に持って行かれたか、などと案じておりました。しかし、一応置いておいたおやつがなくなっておりました。どうやら鳴いていないだけでまだ保護されていないようです。その旨を保護猫センターの方に連絡したら

「捕獲器を貸すからまずは保護して!」

センターに行って捕獲器と当座のケージを借り、使い方を教わって捕獲作戦開始。なにぶん警戒心が強いので、本当に保護できるのか、かなり不安です。捕獲器はねずみ取りみたいなもので、中に入るとゲートが閉まるもの。奥におやつを置いてセット完了。

がしゃん!!

5分も経たないうちにゲートが閉まってしまいました。かみさんが「うーん、風でも閉まることがあるっていうからなあ」といいながらベランダを確認すると

「え??もうかかった」

よっぽどお腹が空いていたのか、あっという間に捕獲されてしまいました。

捕まって、シャーと弱っちい声を出すチビ

とにかく、病気を持っていてれんげに移してはいけないので、猫を立ち入り禁止にしている書庫に隔離します。ゲートを開けても逃げるのではなく、奥にじっとしているタイプの子でしたので、おやつの追加を入れてあげると、それも程なく食べました。れんげは、うちに来た日は、全く身動きせず、だいすきなかつお節にも見向きしませんでしたが、も3歳になっている子と子猫では大分ちがうのですね。


何が起きたかわからず、呆然とする子猫

幸い夏休み期間で、私は動きやすいので、翌日早速動物病院に。うちの近所にもあるのですが、保護猫センター御用達の日野市の病院に連れて行きます。捕獲器のまま、IK●Aの袋につめて、検査とワクチン接種。猫風邪をひいているものの、伝染病はクリア、抗生物質を投与していただきました。

「キジトラの女の子で8週齢ですね。怖がりさんで、攻撃性はほとんどありません」

また「キジトラの女の子」でした。

その場でケージに入れ替えて、捕獲器を拭き掃除し、保護猫センターに返しに行きます。まだ小さくて弱っちいので、「シャー」とか言っても簡単に取り押さえることが出来ます。これがれんげだと大捕物。普段は検便・検尿だけしてもらって、異常がないことを定期的に診てもらっているのですがこの前、妻がワクチンの更新で病院に連れて行くときは相当苦労したようです。おまけに病院でも脱走するという始末。

うちの子にするか、センターに預けるか

妻は、愛玩動物飼養管理士という資格持ちで、ちびの食事のプラン(いつまでは何を中心に食べさせるか)を立てて体調管理しました。おかげでちびはみるみる体力をつけました。ただ、飼い続けられるかどうかは別問題です。先住猫があくまで優先なので、れんげがストレスで調子が悪くなるようなら、センターで引き取ってもらうお願いをしました。なので、その見極めができるまでは名前もつけず、「ちび」と呼ぶことに。


ちび(仮)としてスタート


 ただ、少なくとも、2回のワクチン接種、できれば避妊手術まではうちでやってあげることにするとして、保護猫センターのアドバイスもいただきながら徐々にれんげと対面させます。最初は完全隔離。でも夜泣きするので、当然れんげはちびがいることを意識します。猫がいるようだがどこにいるんだろう、と気になって仕方ない感じで、却ってストレスになるかもしれないと思い、思い切って一度ケージをれんげの出入りできるエリアに移動させ、目隠しも利用しながら様子をみます。

ちびが来た直後は、自分のケージから様子をうかがっていた
大人の猫にびびるちび

れんげはちびを警戒する一方、好奇心もあるようで、徐々に近づいて観察します。


少し近づいて、一応身を隠しながら観察しているつもり



一方のちびは、やはり怖いのか「シャー」と威嚇、そうするとれんげも「シャー」とやり返す。

「こーら、れんちゃん、お姉ちゃんなんだからガマンしなさい!」
わたしがそういうと、妻はれんげの立場になって、「姉だからガマンしろというのはおかしい」といいます(妻は長女、私は次男)。

ちびはれんげに輪をかけて怖がりさんではありますが、やはり子猫で好奇心が強く、手を出してはケージの外にあるものを取ろうとしますし、ケージの中にボールを入れるといつまでも遊んでいます。

手が届かにゃい・・・

一歩ずつ

まだれんげと直接接触させるのは早いかと思いますが、れんげが見ている中、囲いの範囲の中で外に誘導することもはじめました。

ちょっとずつ、外に出てはすぐに逃げ帰ります


お外に行きたいが怖い

れんげと仲良くなれるのかはまだわかりませんが、少なくとも、もう、ちびがいても行動パターンは変わりませんし、積極的に排除しようと攻撃をするわけでもなさそうです。お姉さんの余裕はないのですが。

あんた、私より上にいるとは生意気っ!

のりちゃん

 なにごと??・・・(CV:佐倉綾音as中野四葉)

 冒頭にも書きましたとおり、そもそもうちのベランダに飛べない動物がいるということ自体が全く謎なのです。しかも、うちの周辺では野良猫を見かけることは皆無(タヌキはいます)。同じフロアの住人の子でもない。この子はどうやって来て、うちのベランダに行動を収斂させていったのでしょうか。
 もしこの子の発見初日、予定通りキャンプに行っていれば、(キャンプに行ける天気だったら)灼熱の集合住宅のベランダで衰弱し、数日後、うちのベランダでこの子の亡きがらを片付けていた、という可能性も十分にありました。

ひょっとしたら、本当にこれが存在しているのかもしれません

そもそも、ことの発端は、れんげが外をさかんに気にしていたことです。そこに猫がいる、と教えてくれなかったら、うちのベランダにちびがいる、という可能性は考えませんでした。

れんげがめっちゃ嫌がっている感じでないとすれば(同居が許容範囲っぽそうであれば)、うちの子にするしかないかな、というのが現在の判断。
妻は、二匹目が来たら、この名前、というのを決めていたようですが、うちの子にするという結論に至るまではその話はしませんでした。


へそ天

れんげちゃんの妹ののりちゃんです

時々Twitterで紹介しますので、ゆるっと見守っていただければ嬉しいです。

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