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ファッションと社会の交差点 〜GUCCI 2021 リゾートコレクションより〜

ウィメンズのドレスはカラフルなフラワー柄が中心で、往年のフラワーチルドレンを連想させる。メンズでは素肌にファーのベスト、カットオフしたデニムのショーツなんていうヒッピー色全開なルックもある。他のブランドを含めてヒッピー的な提案が増えているのは、今の人々の自然回帰、サステナブルな生活への憧憬をデザイナーが機敏に感じているからだろう。

前回、ヒッピーカルチャーへの注目を書いたけれど(コロナ後の社会とファッションを歴史から考える⑵ 〜ヒッピーカルチャーから未来へ〜 はこちら)今、トレンドを牽引するブランドの一つ、グッチがこんなコレクションを発表し、記事になっていた。(以前からデザイナー、アレッサンドロ・ミケーレのグッチはヒッピー色強いですが…)

さらにこのコレクションから見える「今」。

ヒッピーカルチャー含め反戦、学生運動が盛んに行われた60、70年代に…
今、世界で頻発するデモや、(記事にあるような)自然回帰、サステナブルな生活への憧憬を重ねる。

また、裏方であるアトリエスタッフをモデルとして起用していることを…
今、医療従事者など現場を支える人々が重要な存在であることに重ねる。

そして、別件ではあるけれど、
昨今の90年代ブームには、当時の東京で感じた自由な空気をまとったストリートカルチャー、ミックスカルチャーに…
今、社会で必要とされる「ダイバーシティ」「インクルージョン」といった言葉を重ねる。

こんな風にそれぞれを今現在の社会を見ることができる。

そんな「今の気分」を未来に向けてポジティブ変換して表現、そして着てみたい、手にしてみたいと思わせるクリエイションのマジック(このグッチで言えば、個人的にはドラえもんバッグ!)が「モード」と呼ばれる世界にはある。

冒頭のコレクションは従来通りのファッションショーができないことを上手に利用して見せてくれた、楽しい、素晴らしいコレクションだった。

あとは、そんなコレクションに今度は自分を重ねて…
こんな時代に自分が何を選んで着て、表現するかを大切にしたいと思う。
その一人ひとりの装いがまた社会の装い、在り方を作るのです(自戒を込めて)。

ファッション好きな方々、歯がゆい時間が続いていますが、今できる最大級のファッションを楽しんで世の中をより良く明るく変化させていきましょう!


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