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第五幕 天破の物語


「たとえ万策尽きたとしても」

「一万と一つ目の手立てがきっと」
「ここにある」


一度壊れたものは、元に戻ることは出来ない。
たとえ見た目は同じように見えても、厳密には同一ではない。
それが「モノ」である限り。
だが、「心」ならどうだろう。


あの日、男の心は砕けた。
希望の光を手にした後、味わうことになる絶望は破格の闇である。
もう自分には何もない。
何もできない。
何もしたくない。


傷つきたくないから。
下手に希望を手にしたくないから。
結局上手くいかないから。


無気力ここに極まりといったところだ。
だが、男に流れる血の宿命がそれを許さない。
砕けたはずの心の破片が集まり、再び熱を帯びてゆく。
そしてそれは溶け出し結晶となる。

戦え、命ある限り。
戦え、希望を絶望で終わらせないために。
戦え、生まれた本当の意味を知るために。

男の最後の戦いが今、幕を開ける。


次回「奈落(ならく)」
〜闇があるからこそ、光は強く輝ける〜


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